【辛さと自尊心】日本にいた韓国人がショックを受けたこと

 

個人的な印象になるけれど、韓国料理は「赤の洪水」で、辛いか、すごく辛いものが多い。
あまりの辛さで人体に危険があるという理由から、デンマークで韓国のラーメン製品が回収されたことは記憶に新しい。
これは製品に含まれる「カプサイシン」の量が多く、消費者が急性中毒を起こす危険があると判断されたらしい。でも、デンマーク以外でこんな対応をした国は知らない。
それでも、韓国の消費者はもっと辛く、刺激の強い食べ物を求めているようだ。

朝鮮日報のコラム(2024/07/07)

「もっと、もっと、もっと辛くしてください!」 お腹を壊しても負けられない戦い、激辛にかける韓国人のプライド

もともと辛い食べ物が多かった韓国では、数年前に「ブルダック炒め麺」が大ヒットしたことで激辛ブームが定着し、最近の消費者はさらに高いレベルの刺激を求めている。
SNSではインフルエンサーが激辛料理にチャレンジする動画が人気を集めていることもあり、相乗効果によって、韓国では「もっと、もっと、もっと辛くしてください!」と訴える人が続出しているという。
メーカー側もそんなリクエストに応えて、激辛のチキン、ハンバーガー、お菓子、ラーメンなどを開発・販売している。

若い世代では、「メウンマッ(辛い味)」を食べることで「チャブシム(プライド、自負心)」が満たされる「メップシム」の影響が大きいらしい。
しかし、強すぎる刺激は人体に危険だから、「流行に乗るのも悪くはないが、絶対に健康には気をつけて食べるべきだ」とコラムは警告している。
たとえ、おなかを壊したとしても、他人より辛いものを食べようと競い合う。その戦いでは絶対に負けられないという韓国人の思いやプライドは、日本人には理解がむずかしい。

 

朝鮮王朝時代の王族を祀った霊廟で、現在はソウルの観光名所として人気の宗廟を訪れたことがある。
その際、案内してくれた日本語ガイドのおばちゃんが、韓国に唐辛子が伝わったのは豊臣秀吉の朝鮮出兵の時で、それまでのキムチは白かったと説明していた。
だから、そのおばちゃんは朝鮮出兵より前の時代を舞台とする韓国ドラマで、赤いキムチが出てくると「ウソをつくな!」とテレビにツッコむという。
韓国で辛い食べ物が民衆にまで浸透したことについては、戦後に朝鮮戦争がぼっ発し、空腹に苦しんだ人々が辛さの刺激でストレスを軽減したため、という説がある。

 

インドで出会った韓国人旅行者が持っていた食品は、どれも辛いものばかりだった。
旅行中に韓国をたまらなく恋しく感じたら、これを食べて心を満たすつもりだと。
いわば「愛国3点セット」だ。

 

「なんで韓国の人たちは辛い物が好きなのか?」

友人の韓国人女性は東京に1年間ほど住んでいて、日本人から何度もこのことを聞かれてウンザリした。
彼女は韓国の気候にその理由があると考えている。
韓国の冬は日本よりも寒いから、昔の人は辛いものを食べることで体を温めた。そして、夏は暑いから、辛い物を食べて汗をかき、体の熱を外に出した。だから、韓国人の食文化で辛さは欠かせない。

今では韓国人にとって、辛さはアイデンティティーの1つになっている。
先ほどの韓国人女性は日本に住んでいる間、できるだけ日本人と交流し、日本語を使い、そして日本料理を食べて、韓国の要素はできるだけ遠ざけていた。
彼女は日本の文化にどっぷり浸(つか)かり、1年後に帰国する。
久しぶりに再会した友人たちが「ウェルカムパーティー」を開いてくれて、彼女の大好きだった料理をごちそうしてくれた。

「みんなありがと~」と言ってそれを口にしたとたん、顔から笑顔が消えた。
日本料理のマイルドな味付けに舌が慣れてしまっていたから、あれだけ好きだった料理が今は辛すぎて食べられない!
「これは無理っ」と水で舌を鎮火する様子を見て、友人たちは「アンタはもう韓国人じゃなくなった」と驚いたりあきれたり。
本人もショックを受け、そう言われても何も言い返せなかった。
その後しばらくは、辛い物を食べる時にはミルクが必要になり、1ヶ月ぐらいしたら、韓国人の舌が復活したという。

 

それから数年後、ボクと話をしていると、彼女はその時の自分の状態を「自尊心が崩壊した」と表現した。辛い物を食べられないことで、韓国人として大事なナニかを失ったらしい。
「そんな大げさな」とこの時は思ったけれど、辛い物を克服することで自尊心が満たされる「メップシム」という現象や、激辛にかける韓国人のプライドについて知ると、彼女の気持ちが分かった気がした。
日本人も海外に長くいて、刺し身やすしなどの生肉を食べられなくなったら、日本人としてのアイデンティティーや誇りを失ったとショックを受けるかも。

 

 

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3 件のコメント

  • 韓国人の中には若者を中心に辛さに挑戦する趣味を持つ人がいますが、主流ではありません。
    辛すぎることが健康に有害であることを知っている人はたくさんいます。
    日本に旅行に行く韓国人が多くなり、日本の食べ物の中で辛いものがないことに衝撃を受ける韓国人が多いです。日本も韓国、中国と同じ食文化を持っていると思っていたのですが、意外と唐辛子を使う辛い食べ物が全くないのに驚くのでしょう。いろいろな面で韓国と日本は差があります。

  • たしかにこれは若い世代のブームでしょうね。
    日本もそうですが、若い人たちは深刻な危険のないチャレンジが好きで、それをSNSで発信します。

  • > 案内してくれた日本語ガイドのおばちゃんが、韓国に唐辛子が伝わったのは豊臣秀吉の朝鮮出兵の時で、それまでのキムチは白かったと説明していた。

    歴史や民族文化の専門家でもないであろう女性が知っているくらいだから、唐辛子の伝来が豊臣秀吉によるものであることを知っている韓国人はかなり多いと推定します。
    なのに、どうしてその点はプライドが傷つかないのですかね? しかも、豊臣秀吉と言えば、韓国人が嫌っている日本人の中でも5本の指に入ることは間違いないだろうに。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。