韓国人女性を怒らせた日本人客の質問
5年ほど前、知人の日本人が韓国を旅行したとき、ツアーに参加していた日本人が韓国人を怒らせる瞬間を目撃した。
その日本人の団体が空港に着いて、ミニバスに乗ってソウル市内へ向かっている途中、20代の女性ガイドがツアーについて簡単な説明をして、最後に「なにか質問はありますか?」と聞いた。
するとある男性で無邪気に「犬の肉を食べようと考えています。おすすめの店はありますか?」と尋ねた。
すると彼女は怒って、「それは昔の話です!韓国にそんな文化はもうありません!」と言い放ったという。
実際にはこれは間違いで、当時の韓国に犬肉料理を出す店はあったし、今でも存在している。
しかし、もうすぐその女性ガイドが言った言葉が現実になる。
19世紀のイギリス人が見た朝鮮の犬肉食
韓国(朝鮮)において、犬肉は身近な食べ物だった。
19世紀末に朝鮮を旅したイギリス人のイザベラ・バードは、当時の食文化について次のように記録している。
「 犬肉は需要が高く、広く飼われている。その他、豚・牛・魚・動物の腸肉を、生肉、干肉、塩漬け肉で食べる。料理法はあまり重視されない。漢江で釣れたばかりの魚に、赤唐辛子のソースを付け、丸ごと食べているのを見たこともある。」
「富裕層はこれに加えて酒を飲み、果物・木の実・糖菓子も食べる。牛肉と犬肉は大皿に盛られる。1.3㎏を越える肉や、25個の桃を一度に食べるのを見たこともある。」
ちなみにバードは、朝鮮の人たちにとってキムチは、ドイツ人にとってのザワークラウトと同じように重要な食べ物だったと書いている。
引用:「イザベラ・バード 朝鮮紀行を読むⅡ(山野井 一美) Kindle 版」
日本人も犬肉を食べていたが、徳川綱吉の時代からその習慣が消えていった。

価値観の変化と「犬食用終息法」の制定
しかし、近年の韓国では動物への価値観が大きく変化し、「犬」への見方も変わってきた。
今では、犬をペットや家族の一員と考える人が多く、「食用」とすることをタブーとする見方が一般的になっている。
国際的にも「犬肉」に対するイメージは悪いから、冒頭のガイドは「そんな文化はない!」と否定したのだろう。
そんな流れから2024年に「犬食用終息法」が制定され、来年2027年2月7日からそれが施行されることになった。
つまり、食用を目的に犬を飼育したり販売したりすることが全面的に禁止され、韓国社会から「犬肉」は完全に姿を消すことになる。
「犬食用終息法」が社会に与えた影響は大きかった。
2024年に食用犬を育てる農場は1500カ所以上もあったのに、2年ほどで約82%が廃業し、約46万頭いた食用犬の数も、現在では2〜3万頭にまで激減している。
朝鮮日報の記事によると、犬肉の減少を受けて、いま韓国では犬肉料理の値段が急騰しているという(2026/07/13)。
犬肉禁止が来年に迫る中… 補身湯の価格が2倍に
消える韓国の「夏の風物詩」
日本では夏になると、暑さを乗り切るためにうなぎを食べる習慣がある。

同じような夏の風物詩は韓国にもあって、最も暑い時期とされる「三伏」に、犬肉の鍋料理である「補身湯(ポシンタン)」を食べる伝統が長く続いてきた。
しかし、それも今年が最後だ。
韓国に数百年、あるいは千年以上も存在したひとつの食文化が、いま完全に終わろうとしている。
それも時代の流れだから仕方ない。
といっても韓国人ガイドのように、それを望んでいた人は多いはずだ。
韓国では代わりに(?)ヤギ肉を食べる人が増え、消費量はここ数年で2倍以上に増加した。
来年からポシンタンは「違法」になるため、ヤギ肉の鍋料理「ヨムソタン」を出す店が増えているという。
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