【大洪水】大国に挟まれた国、ポーランドと韓国の歴史的な共通点

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最近のポーランドと韓国の関係

ヨーロッパの中央に位置するポーランドと、アジアの最も東方に位置する韓国。
この二国はとんでもなく離れていて、20世紀に入るまで直接的な接点はなかった(はず)。

しかし、いま両国の関係は「軍事」を通して近づきつつある。

ポーランドは韓国製のK2戦車180両を調達することを決め、2025年に韓国側と契約を結んだ。
実はポーランドは2022年にも、韓国の防衛産業企業からK2戦車、K9自走砲、戦闘機FA50、多連装ロケット砲の4種の兵器を調達することで合意している。

ポーランドが大量の武器を購入している理由は、ロシアによるウクライナへの攻撃が激化していることにある。
戦火はウクライナ西部、ポーランド国境へと迫っている。
もしロシア(プーチン大統領)がウクライナ以外の国に侵攻するとしたら、それはポーランドになると想定されているから、攻撃力と防御力を高めるのは当然の選択だ。

韓国は主要な兵器供給国となり、ポーランドの安全保障をサポートしている。

現代では、この二カ国は需要と供給という利害関係で結びつきを密にしているが、歴史をひも解くと、どちらも「大国に挟まれ、蹂躙された」という過酷な過去を持つという共通点がある。

大洪水時代|ポーランドの受難

ポーランドは1569年に隣国と結びつき、「ポーランド・リトアニア共和国」というパワフルな国となった。
16世紀から17世紀のヨーロッパにおいて、最大級の面積と人口を誇る国の一つがポーランド・リトアニア共和国だった。

しかし、1655年に野心的なスウェーデンに攻撃され、首都ワルシャワを占領されて大打撃を受けた。
侵攻した側のスウェーデンはこれを「北方戦争」と呼び、侵略されたポーランドは「大洪水」と呼んでいる。

同時期に、ポーランドはロシアとも戦争をしていたため、それを含めて「大洪水」と呼ぶことがある。
聖書に出てくる「ノアの箱舟」で有名な大洪水にちなんで、この名称がつけられた。

ポーランドはその前から内乱(フメリニツキーの乱:1648年〜1657年)を抱えていたうえに、スウェーデンとロシアの侵攻を受けて大ダメージを負ったのだ。

「大洪水」の結果、ポーランド・リトアニア共和国は人口の約3分の1を失い、大国としての地位も喪失したという。

During the wars, the Commonwealth lost approximately one third of its population as well as its status as a great power due to invasions by Sweden and Russia.

Deluge (history)

時代と内容は違うが、太平洋戦争での日本の死者数は当時の人口の3%〜4.5%と推定されている。
人口の3割を失う大惨事は、世界の歴史を見てもなかなか無い。

スウェーデン軍は占領地の絵画、絨毯、楽器、家具、中国の磁器、武器、書籍、大理石など手当たり次第に貴重品を奪い、大洪水の後、ポーランド・リトアニア共和国は「文化の砂漠」となったといわれた。

これによってポーランドの国際的地位は低下し、ロシアが台頭するきっかけとなった。

韓国における「大洪水」|朝鮮出兵と丙子の乱

韓国もポーランドと同じような悲劇を経験した。

まず16世紀末、豊臣秀吉による2度の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)によって、首都・漢城は占領され、民衆の手によって王宮が焼かれた。
朝鮮半島は激しい戦場となり、国土は破壊されて焦土と化した。

さらに、今度は1636年に、中国大陸の覇者となった清が侵攻し、朝鮮を制圧して服属させた。
この「丙子の乱(へいしのらん)」では、追い詰められた朝鮮国王が清の皇帝に対し、何度も頭を地面に打ち付ける屈辱的な礼(三跪九叩頭の礼)をして降伏を余儀なくされた。

日本と清という強大な国から立て続けに攻撃を受けたこの時代は、韓国にとっては「大洪水」と言っていい受難の時代だった。

韓国の高校生の歴史教科書によると、これによって朝鮮の支配体制は大きく揺らいだ。

朝鮮王朝の統治秩序は、両乱を経験して大きく動揺していった。そのなかで農民は、暴政に耐えられず農村から離脱する現象が目立つようになった。これは支配体制の維持を難しくするものであった。

「韓国の歴史 (明石書店)」

大国に挟まれた「地政学の宿命」

ポーランドと韓国には逃れられない地理的宿命がある。

ポーランドは、スウェーデンやロシア、ドイツ(プロイセンなど)といった強国に囲まれていて、ポーランドの意思は完全に無視され、何度も攻め込まれた。

ポーランド(Poland)は英語で、ポーランド語では国名を「ポルスカ(Polska)」という。
ポルスカとは「野原」を意味するらしい。
ポーランドは山脈などの障壁が少なく、平原が広がっているため、大軍が侵攻しやすい地形なのだ。

周囲を強国に囲まれているのは韓国も同じ。
北には女真族や契丹族などがいて、西には中国、そして海を隔てた南には日本があり、韓国は何度も攻撃を受けてきた。

2000年(半万年?)におよぶ韓国の歴史で、外部勢力から侵略された回数は960回や、1000 回以上とも言われる。
これはかなり盛った数字で、実際にはそれほど多くはなかっただろうけど。

ほかにも日清・日露戦争では、朝鮮半島が戦場になって国土が荒廃した。

ポーランドも韓国も大国の侵攻を何度も受け、国家滅亡という最大級の悲劇も経験している。
そのため両国の人の話を聞くと、歴史教育では「二度と同じ悲劇を繰り返してはいけない」ということが重視されているという。
実際、「祖国を守り抜く」という国民の意識はとても強そうだ。

現在、韓国が武器の主要な供給国として、ポーランドを支えているのも、歴史的において何度も「洪水」を経験し、痛みを味わった国同士のシンパシーが関係しているのかもしれない。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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