旭日旗騒動|韓国が日本に厳しく、東南アジアが韓国に冷たい理由

SNSのタイムラインを見ていたら、いま北米で開催されているW杯について、こんな嬉しいことを言ってくれる韓国人がいた。

「축구도 잘해 경기장에서 매너도 있어
인종차별 제스쳐도 안해
감독도 전술 좋아
일본 국민들도 한마음 한뜻으로 응원해
일본 축구에서 단점 찾아볼 수 없음」

(サッカーも上手いし、スタジアムでのマナーもいい。
人種差別的なジェスチャーもしない。
監督の戦術もいい。
日本の国民も心を一つにして応援している。
日本のサッカーには欠点が見当たらない。)

「相手が自分に好意を見せてくれたら、自分もそれに応えて好意を示す」という『魚心あれば水心』の法則で、日本人からはこんな温かいメッセージが届いた。

「ありがとうございます😊 韓国も頑張ってください!」
「いっしょに頑張りましょう!」

しかし、日本と韓国の関係はそんなに甘くない。
その一方で、『目には目を、歯には歯を』の応酬も繰り広げられていた。

目次

旭日旗をめぐる日韓の温度差と「戦犯旗」論争

きっかけは、試合がおこなわれた会場に旭日旗があったことだ。誰かがそれを持って応援し、テレビ画面に映ったらしい。
するとさっそく、あの人が動き出した。

日本のウィキペディアに「韓国の造園学者、反日・反中民族主義活動家」と紹介されているソ・ギョンドク氏が、旭日旗はアジアのサッカーファンに「戦争の恐怖」を思い出させるため、W杯で使用するのは不適切だと非難し、全国紙の中央日報が記事でその声を伝えた。

もちろん、旭日旗にまったく問題はない。
昇る太陽をかたどったこのデザインは、日本ではめでたいことの象徴として、昔から使われてきた。
外務省も「伝統文化としての旭日旗」という動画でくわしく説明している。

また、イギリス海軍は「Konnichiwa, Kyokujitsu-ki… 🇬🇧 🇯🇵」と歓迎し、米軍は日米友好のシンボルとして旭日旗のデザインを採用しているのだ。

問題はないとはいっても、国際大会での応援は日の丸で十分で、旭日旗を振る必要はないと思う。それに、もし韓国を挑発するためにこれをアピールしたとしたら、旭日旗の使い方を間違っている。

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しかし、韓国での見方はまったく違う。
旭日旗はアジア侵略や軍国主義の象徴になっていて、ナチスのハーケンクロイツと同一視され、忌み嫌われることが多い。
韓国では「戦犯旗」という独特の表現が使われ、ソ・ギョンドク氏の「全世界戦犯旗撲滅キャンペーン」に賛同する人もいる。

旭日旗が確認されるとSNSでは「日本人は歴史を正しく学んでいない」、「狂っている。日本がアジアにしたことを絶対に忘れない」といった非難に対し、「お前たちこそ正しい知識を知らない」といつもの“日韓戦”がはじまった。

東南アジアからの異論:インドネシア人が「問題ない」

しかし今回は、別の地域から斜め上の反応が返ってきた。
あるインドネシア人がこんなコメントをした。

「Hanya orang-orang Korea dan Cina yang suka mempermasalahkannya.
Jangan bawa-bawa seluruh nama Asia, di Indonesia motif bendera ini adalah hal umum yg dianggap biasa saja.
Kami jg tidak ada masalah dengan anting Tanjiro seperti yg terjadi di negara anda.」

(それを問題にしているのは韓国人と中国人だけだ。
アジア全体を巻き込まないでくれ(アジア全体の名前を出さないでくれ)。インドネシアでは、この旗のモチーフは一般的でごく普通のものだと考えられている。
それに、あなたの国とは違い、私たちは炭治郎の耳飾りについて何の問題も抱えていない。)

『鬼滅の刃』で炭治郎がしていた耳飾りが、韓国では、旭日旗のデザインに見えるという理由で別のデザインに変えられた。
しかし、インドネシアやタイ、フィリピンなどではそんな声は上がらなかったため、変更はなく、日本と同じように配信された。

「shopee Tanjiro Earrings」で検索すれば、韓国ではタブーとされた「炭治郎の耳飾り」が普通に販売されていることが分かる。

 

バンコクのショッピングモールで売っていたTシャツ。
タイ人に聞いたら、旭日旗のデザインは富士山や桜と同じような「日本のシンボル」と答えていた。

 

とくにインドネシアでは、独立をかけてオランダと戦った「郷土防衛義勇軍(PETA)」の旗とそっくりのデザインなのだから、旭日旗に文句が出るはずがない。
中国系インドネシア人なら怒るかもしれないが。

 

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すると、このインドネシア人のコメントに怒った韓国人が「それは、お前らが歴史を知らないからだ」と言うだけでなく、「サル」と差別的な暴言までぶつけたため、インドネシア人とのバトルに発展した。
日本人がインドネシア側についたのは言うまでもない。

東南アジアの現状|旭日旗は「クールな日本のデザイン」

結論から言えば、先ほどのインドネシア人が指摘したように、東南アジアで旭日旗は問題視されていない。
政治的な意味はなく、若者にとっては「日本風デザイン」の一つでしかない。

東南アジアで「JDM(Japan Domestic Market)」のカーアクセサリーは人気で、「Rising Sun Car Decals」を検索したら、旭日旗ステッカーなどが大量にヒットする。
軍国主義や侵略の象徴ではなく、クールな日本文化のアイコンと受け止められている証拠だ。

認識の差は、未来を志向する東南アジアの歴史観にある

なぜ、ここまで認識に差があるのか。

その答えを探すには、このインドネシア人のコメントが参考になる。
というか、そのまま答えになっている。

「Bukan berarti kami melupakan kejahatan yang terjadi selama pendudukan Jepang, tetapi kami tidak menyimpan dendam yg sama layaknya kalian.」

(私たちが日本占領中に起きた悪行を忘れたわけではありませんが、私たちはあなたたちのように恨みを抱いていません。)

第二次世界大戦時、東南アジア諸国も戦場となったり、日本の占領下におかれたりして過酷な経験をした。
しかし、多くの国の歴史教育では、戦中の数年間よりも戦後の数十年に焦点を当て、日本がODAやインフラ投資を通じて自国の発展に貢献したことを教えている。

そして、現在では日本を「重要な経済パートナー」と位置づけ、良好な関係の構築を強調しているのだ。
日本はその期待に応え、今では高い信頼を獲得している。

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過去を忘れたわけではないが、韓国と違って日本に憎悪や敵意をもっていない。
だから、旭日旗のデザインを見て単純に「かっこいい」と感じるのは自然なことで、コスプレイヤーが使っても問題は起こらない。

アジアの総意|俺たちを巻き込むな

そして韓国が歴史問題で日本を非難するとき、東南アジアの中には「主語が大きすぎる」とウンザリする人もいる。

「韓国が」か「韓国と中国が」ならいいが、「アジアの人たちが旭日旗に怒っている」と他人を巻き込むと、それに抵抗を感じる人がいて、韓国人に文句を言う人をこれまでSNSで何人も見てきた。

そもそも、東南アジアの人たちは韓国を「アジアの代表」と考えていない。
「アジアのハーケンクロイツ」ではなく、「韓国にとってはハーケンクロイツ」が正解だ。
ナチスのシンボルを自分の車に貼るわけがない。

東南アジアの人たちにとっては、日韓で繰り返される歴史問題は「東アジア特有のローカルな政治対立」でしかない。
彼らは中立的で、日本とも韓国とも良好な関係を築きたいと思っているだろうから、韓国の反日感情に巻き込まれたり、「アジア人の総意」として勝手に代弁されたりすることを嫌う。

過去よりも、現在や未来に目を向けている東南アジアの人たちにとっては、「お前たちでやってろ。俺たちを巻き込むな」というのが本音だ。
実際のところ、ソ・ギョンドクさんの「全世界戦犯旗撲滅キャンペーン」にはウンザリする韓国人も多いと思う。

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

【旭日旗と韓国人】大嫌いでも、台湾人を殴ってはいけない

若い在日韓国人が考える、国内の「反日」の現状と原因

「旭日旗はハーケンクロイツだ!」をドイツ人はどう思う?

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 一人の造園学者が韓国を代表して国際スポーツ界にメールを送り、抗議するのも情けないことですね。
    しかし、それ以上に情けないのは、メディアが歴史を正しく理解せずに、旭日旗に対する反感を記事にし、それを見た多くの読者が反日感情を抱くことです。
    現在の韓国社会が直面している混乱と歴史の後退に対する責任の大部分は、メディアにあります。
    世界中のメディアが堕落する傾向がありますが、韓国はその中でも最も大きく堕落しています。 やはり韓国人は優れています。

  • やはり、旭日旗反発と同じ文脈ですが、スタジアムの清掃をきれいにする日本のファンの中で、あるファンの妻が「外で見せかけのショーをやめて、家の掃除をきれいにしろ」と一喝したというニュースを韓国のSBSが報じています。 (笑)
    わぁ………….
    本当に、韓国人が日本を傷つけようとするその態度に、同じ韓国人としてもう疲れました。

  • >一人の造園学者が韓国を代表して国際スポーツ界にメールを送り、抗議するのも情けないことですね。

    台湾は旭日旗に文句を言いませんし、東南アジアも関係ありません。これは韓国的な現象です。
    ソさんの行動力を迷惑に思う韓国人もいて、彼は決して全韓国民に支持されているわけではありませんが、あまり反対の声を上げられないでしょう。
    もう仕方がないですね。

  • 日本国内でも、日本が世界に称賛されるのを嫌がる人がいます。
    しかし、日本の影響でイギリス、サウジアラビア、ポルトガルなどにも「掃除文化」が広がっています。
    世界に目を向けたほうがいいですね。

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