【旭日旗と韓国人】大嫌いでも、台湾人を殴ってはいけない

同じものを見ても、立ち位置によって見え方は大きく違う。
歴史に対する日韓の見方がまさにそれで、特に近代史では認識が一致することは珍しい。旭日旗についても同じで、日本とは見方の前提が違うから、なかには(韓国人にとっても)信じられないことする韓国人が出てくる。

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以前は問題にならなかった旭日旗

タイの首都バンコクにはカオサンロードという、世界中の旅行者が集まる「聖地」がある。20年以上前、タイを旅行していてお腹が減ったから、カオサンロード沿いにあった食堂に入ると、トップ画像の女の子を発見。
彼女はそこの店員で、Tシャツに大和魂を感じたから、料理を持ってきてくれたときに頼むと、快く写真を撮らせてくれた。本人は「神風」の意味を知らなかったが、「なんか元気が出る」という理由でこのデザインを気に入っていた。
当時、カオサンロードには欧米やアジアなど、世界各地から来た旅行者がいたが、誰も問題視しなかったということは、彼女の白い歯を見ればわかる。

2010年にソウルで、主要20か国と欧州連合(EU)の首脳が参加する国際会議(G20サミット)が開催された際、韓国政府は旭日模様のあるロゴを使っていた。
これを見て、怒り出したという韓国人は聞いたことがない。つまり、このころは例外を除いて、韓国内でさえ旭日旗は問題にならなかったのだ。

 

旭日旗に対する日韓の見方

太陽は人類共通の「宝」だから、旭日(朝日)のデザインは北マケドニアの国旗やアリゾナ州の旗などにも採用されている。
日本では、勢いのある「旭日模様」は漁船の大漁旗や出産の祝いなどで使われ、日本の伝統文化のひとつになっている。旭日旗はそれ以上でも以下でもなく、特定の政治的メッセージや差別の意味合いはない。

しかし、玄界灘を越えると見方は一変する。
紅白の旭日旗は戦前・戦中の日本軍が使っていたため、韓国では軍国主義のシンボルとして「悪魔の旗」のように嫌われている。日本はホロコーストをしていないが、韓国ではそんな歴史的経緯をすっ飛ばして、ナチスの「ハーケンクロイツ(鉤十字)」と同一視する人も多い。
法的に使用を禁止するべきと主張する人もいて、実際、政界でそんな動きもあった。
日韓で旭日旗に対する見方は天と地ほど違っている。

台湾人を殴った韓国人

韓国では、旭日旗を見ると自動的に負の歴史が思い浮かぶため、不快感を感じて問答無用で拒絶する人が多い。しかし、「郷に入っては郷に従え」のゴールデンルールを無視して、そうした国内の常識を海外へ持ち出すとトラブルの原因になる。
中央日報の記事(2025.09.26)によると、最近、30代の韓国人が台湾で一線を越えてしまった。

「なぜ旭日旗の服を着ているんだ」…台湾で現地大学生を平手打ちした“泥酔”韓国人男性

台湾人の学生が街なかで、赤い放射状のイラストのあるTシャツを着ていたところ、それを見つけた韓国人男性が旭日旗とかん違いし、服を引っ張って頬を2回殴った。学生は「私は台湾人で、このデザインの意味は知らない」と言うと、彼はさらにもう一度、学生の顔を殴りつけた。
この韓国人は酔っ払っていたというから、理性が消えて「本性」の部分が出やすくなっていたのだろう。男は警察に捕まり、傷害罪の容疑で立件された。

 

親日的な韓国人は旭日旗をどう思う?

知人の韓国人は今年の9月まで日本の大学で学んでいて、今は帰国して母国の大学に通っている。日本が好きで日本語がペラペラの彼に、台湾での事件について感想を聞くと、まっ先に「とても恥ずかしいし、申し訳ないですね」と言う。
彼は日本に住んでいたとき、旭日旗(大漁旗)を見たことがある。もちろん、良い気持ちになることはなかったが、かといって不快になることもなく、世の中にあるデザインの1つと思ってそのままスルーしたという。

彼の意見では、韓国人が海外で旭日デザインの服やアイテムを見つけた場合、そんな感じに「スルー」する人がいちばん多い。
現地の人に「正しい見方(韓国の見方)」を伝えて注意したり、写真を撮ってネットで報告したりする人もいる。それは愛国的で模範的な行為だから、社会的には称賛される。
韓国人の常識の範囲内にあるのは「注意」までで、外国人を殴る行為はまったく支持されない。しかし、その気持ちに共感する人は多いだろうと言うから、やっぱり韓国の認識は日本とは銀河系レベルで違っている。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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