旭日旗と最近の韓国：敏感すぎる反応に広がる困惑や分裂

今回のサッカーW杯で日本は、初戦で強豪ドイツに勝って世界を驚かせた思ったら、FIFAランクとしては格下のコスタリカに負けて全日本を失望させた。
そんなコスタリカ戦の敗因について、隣国のメディアはとても独創的な分析をする。

サーチコリアニュース（2022年11月30日）

日本のコスタリカ戦敗北は「当然」と韓国メディア…敗因に挙げた“2つの業報”「旭日旗応援と…」

ドイツ戦から先発を５人も入れ替えた日本には、コスタリカの力を軽視するような”傲慢”があった。
そして会場には、旭日旗を設置するサポーターがいた。
この傲慢と旭日旗応援の「2つの業報」が敗北につながったと、韓国メディア『OSEN』は主張する。

前者についてはその通り。
なんでこの試合で（主力を休ませる）ターンオーバーをしたのか？そんな「舐めプ」をするから負けたんだ！といった批判が日本中でわき上がったから、”傲慢”については異論も反論もない。
問題は後者だ。
サポーターが旭日旗を使って応援をしたから、日本代表はコスタリカ戦に敗北した、だと？
そんな説は、アフリカで行われたサッカーの試合で、コウモリの死骸を見つけて「相手チームが呪術を使ったに違いない！」と言い出すのと同じレベルだ。

アフリカサッカーの“黒”歴史：試合で“呪術”が使われた実例

太陽をかたどった旭日旗は、日本ではめでたいことの象徴とされている。
戦時中に軍隊が使うこともあったが、全体的には日本文化の一つで、政治的・差別的主張であるといった見方は的外れだ。
まあ日本代表の応援なら、日の丸で十分だと思うけど。

旭日旗が「逆神」になって日本に不幸をもたらすのなら、韓国側はスポーツの日韓戦で、日本のサポーターに思いっきり旭日旗を降らせればいい。
「敗因は旭日旗」なんてネットの書き込みじゃなくて、メディアが言うのがすごい。でも、そこにシビれないし、あこがれもない。
「戦犯旗（旭日旗）追放キャンペーン」なんてことをして、国民の反日情緒をあおり立てるソ・ギョンドクさんのような人がいると、メディアがそんな記事を出して、読者がそれを受け入れるような空気が形成されてしまう。

過敏症で猪突猛進のソ・ギョンドクさんには、韓国政府もきっと戸惑っている。

中央日報（2022.11.01）

徐ギョン徳教授、韓国国防部長官に公開質疑…「旭日旗と自衛艦旗がなぜ異なるのか」

日韓関係を重視する韓国政府は、日本で行われる観艦式への参加を決めるも、このとき自衛隊の掲げる旭日旗が問題視されて、反対世論が巻き起こった。
それで国防部が「旭日旗と自衛艦旗は違う」と言うと、怒ったソ・ギョンドクさんが国防部長官に「どう異なるのか？」と公開質問する。
上の外務省の動画にあるように自衛艦旗は間違いなく旭日旗で、これが”違う”となったら、旭日旗なんて存在しなくなる。
観艦式への参加という結論が先にあったから、国防部はこんなナゾ理論を展開したのだろうけど、これはいくら何でも強引すぎ。
そんな苦しい心情に忖度ナシで公開質問されると、政府としてはめんどくさい。

でも、本質的な問題は「反日扇動」をする人間だ。
10年以上前は韓国も受け入れていた旭日旗を（これも動画にある）、いまになって「戦犯旗」とレッテルを貼ってあおる勢力がいるから、世論もその方向へ誘導されてしまう。

ただ旭日旗は新しい問題のせいか、慰安婦や竹島問題に比べると、韓国でも見方が分かれているようだ。
知人の韓国人も政府と同じで、感情的に反発は抜きにして、ここは観艦式に参加して日本との関係を深めるべきという立場だから、過剰に反応して反日感情をあおり立てる人間には腹が立つ。
自分のSNSで言ったりシェアはしないけど、「旭日旗騒動」で韓日関係を悪化させることに反対する韓国人は多いと思うと彼は言う。
旭日旗をいいとは思わないが、問題はそれに敏感すぎる一部の人たち。

数年前、清州市の役所にある天井を見て、「きょ、旭日旗だ！」と言い出す人が出て騒動になった。

他にも屋上には富士山、欄干には日本の伝統様式を模倣したモノがあるという主張を市長が認め、この建物の撤去を決めた。
すると、この建物の文化財的価値は高いと判断した韓国文化財庁は手続きの中止をうながす。
そして世論も割れた。

中央日報（2022.11.08）

「倭色論議」韓国清州市役所旧庁舎本館棟の撤去決定に賛否論争

（倭は日本の蔑称で、倭色とは「日本の影響」という意味と考えていい。）

ある市民団体は弾記者会見を開いてこう怒る。

「清州市が根拠のない倭色を引き込んで清州市役所本館棟を撤去しようとするのは『めちゃくちゃな行政』」

あれは旭日旗に見えて不快だと言う人は撤去に賛成するし、文化財庁のように建物の価値を認める人、撤去に巨額の税金を使うのはおかしいと思う人は反対する。
旭日旗については「見える、オレにはそう見える！」といった個人の主観によるところが大きい。
そんなあいまいさのせいか、他の問題に比べると、この問題では韓国世論が分かれることが多い。
社会の分裂こそ大きな問題と思うのだが。

それにしても、コスタリカ戦の敗因を「旭日旗応援」としたり、あの天井が旭日旗に見えて、海上自衛隊の旗が「旭日旗と異なる」と言うとか、韓国には不思議がたくさん詰まってる。