東南アジアに反日感情はある?→「日本はいつまで謝ってるの?」

 

はじめの一言

「他国が発展させてきた成果を学ぼうとする意欲が盛んで、学んだものをすぐ自分なりに使いこなすことができる。(ペリー 幕末)」

「日本賛辞の至言33撰 ごま書房」

 

 

今回の内容

・東南アジアの国に「反日感情」はあるの?
・日本はいつまで謝るのか?
・憎いのは近隣の国
・東南アジアに反日感情ってあるの?

 

いまアジアでは、アニメや日本料理などの日本文化が広く受け入れられていて人気も高い。
海外旅行をしている経験から、日本の文化アイテムを見る機会は15年前に比べて確実に増えている。
たとえば中国を旅行していて、ふらりと入ったケンタッキーの店で「ワンピース」がデザインされた商品を見た時はビックリした。
その2年前には反日暴動が起きて、日本のショッピングセンターが焼き討ちされたはずなのに。

 

 

ボクが初めて東南アジアに旅をしたのは20年ほど前で、当時はちょっとした不安があった。
太平洋戦争で日本がしたことを今でもアジアの人たちは忘れてなく、人々の心にはまだ「反日感情」があるのでは?
でも、結果からいうと、これはまったくの杞憂、必要のない心配に終わった。
これまで10回以上、東南アジアを旅行をしてきたけど、現地で反日感情というものを感じたことはほとんどなかった。
もちろんゼロではなく、博物館の展示で「残酷な日本兵」の説明や展示を見たことはある。

 

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マラッカ(マレーシア)の博物館にある「日本兵」
意図的に顔がゆがめられている。

 

博物館の中で「反日」を感じたことは会っても、実際に接したアジアの人からそんなネガティブな感情を感じたことはない。
ボクのまわりで東南アジアに旅行に行く人の中には、そんな情報を目にして現地の冷たい反応を気にする人もいるから、そういう場合は「そんな心配はイラナイ。行けば分かるさ」と言うことにしている。
ただ、本やネットでは「東南アジアの人たちは今でも強い反日感情を持っている」と書いてあるものもあるから、完全に消えてはいないのだろう。
「アジアの人たちは親日的だ」なんて明るく思っていると、博物館に入った時に衝撃を受けるかも。

 

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マレーシアの民家

 

・日本はいつまで謝るのか?

それに東南アジアでは「日本が何度も謝罪することが理解できない」という声があるのだ。
1994年に村山富市首相は東南アジア諸国を訪問し、フィリピンとシンガポールで戦争責任問題について謝罪し、事実上のODAの増額を約束した。
そんな日本の首相を前にして、マレーシアの首相はこう述べた。

そしてマレーシアでは、マハティール首相に「日本が五〇年前に起きたことを謝り続けるのは理解できない。過去のことは教訓とすべきだが、将来に向かって進むべきだ。日本はこれからアジアの平和と安定のために国連安保理常任理事国入りして、すべての責任を果たしてほしい」と求められ、面食らってタジタジとなってしまった。

「アジア人と日本人 (小学館) 大前研一」

 

過去の出来事は歴史として学ぶ必要はあるが、それにこだわって、現在の日本との関係を悪化させてはいけない。同じアジアの国として、明るく豊かな未来を築くことがもっとも重要だ。
東南アジアの人たちは一般的にこう考えているだろう。

でも、日本人の中には、マハティール元首相の言葉を信じられなかった人がいて、大前氏が怒った。

マハティール首相の安保理常任理事国入り支持発言の裏には、日本の援助に対するが期待があるから素直に受け取れない、という趣旨の解説をしていた。
私は怒りを通り越して、解説したジャーナリストの見識を疑った。マハティールは日本の援助がほしい、金がほしいと言ったことは一度もない。

「アジア人と日本人 大前研一(小学館)」

 

「日本のお金が欲しいから、日本に謝罪を要求しないし、日本の安保理常任理事国入りを支持する」

これは偏見と悪意に満ちた見方で、アジアの人たちを侮辱しているが、「見たいものしか見えない」という日本人は今でもいる。

 

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マラッカの人力車(マレーシア)

 

・憎いのは近隣の国

実際のところ、現在の東南アジアで日本の人気は高く、人々の「嫌」や「反」といった暗い感情は隣国に対して向けられている。
カンボジアには「我われの領土を奪った!」とベトナム人を嫌う人はよくいるし、「ビルマ(ミャンマー)はアユタヤを滅ぼした」とミャンマーに冷たい視線を送るタイ人は多い。

これはタイに住んでいる日本人から聞いた話だ。
タイで外国人がトラブルにあって警察に行った場合、日本人なら警察は対応してくれるけど、被害者がラオス人やミャンマー人だとタイ警察はほとんど相手にしない。

タイ人の友人に聞いても、すべてがそうではないが、彼らを門残払いする警察官は多いだろうし、日本人、ラオス人、ミャンマー人がタイで「対等な扱い」を受けることはないだろうと話す。

 

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ビルマ軍の攻撃を受けて廃墟となったアユタヤ

 

現在の東南アジアの人たちは「日本が過去に何をしたか」ではなく、「日本はいまアジアに何をしているか?」に大きな関心がある。
だから、東南アジアを旅行すると、「日本の支援でこの橋ができたんだ!」といった声を何度も聞いて嬉しくなった。
とはいえ、太平洋戦争では東南アジアが戦場になり、苦しい思いをした人たちがいたことは事実で、それは知っておく必要はある。
でも、いま東南アジアにいる人々の対日認識は、戦後の支援に対する感謝が一般的だ。
だから、日本人は安心して旅行に行ってヨシ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。