日本や国際社会との圧倒的温度差 韓国人は旭日旗をどう思う?

 

まえに浜松市内にある宝くじを売り場の近くを通ったら、こんな旭日模様を発見。
昇る太陽をかたどったこのデザインは、日本ではめでたいことや勢いの良さの象徴として、むかしから人々に親しまれてきた。
それでいまでは、旭日旗は日本の伝統文化の1つになっている。
くわしい説明はここで。

 

 

でも韓国へ行くと、世界観はひっくり返る。
旭日旗が戦前・戦中の日本軍で使われていたことから、韓国社会では軍国主義や侵略の象徴として「戦犯旗」とよばれ、憎悪や敵意の対象となっているのだ。
それでこんな扱いを受けている。

 

ところで、テコンドーとハチマキの起源はどこだっけ?

 

この「聯合ニュース」(Yonhapnews)は韓国政府から資金を受けて運営している国家通信社で、国内のいろんなメディアにニュースを配信しているから、この動画の内容は旭日旗に対する韓国人の常識を表しているとみていい。
つまり、すっごく嫌われている。

 

でもそれは国内の認識で、そこから一歩外へ出ると世界はまた変わる。
2022年に海上自衛隊が Royal Navy(イギリス海軍)と共同訓練を行うためにイギリスへ行くと、練習艦隊の「かしま」と「しまかぜ」は旭日旗と一緒に大歓迎を受けた。

 

 

太平洋戦争でイギリスは日本と激しく戦った。
海軍の誇る戦艦プリンス・オブ・ウェールズは日本軍の攻撃を受けて撃沈したし、シンガポールの戦いに負けた時、首相だったチャーチルは「英国軍の歴史上最悪の惨事」と肩を落とす。
日本はかつての敵国なのに、いまでは「こんにちは、旭日旗」とイギリスは親しみと礼儀をもって迎えてくれるのだ。
この反応は例外ではない。
旭日旗の見方については、イギリス側にいる国が世界では圧倒的だ。

同じくあの戦争では最大の敵同士だったアメリカ軍も、旭日旗には親しみや敬意を持っている。
京都の宿で同室になった在日米軍基地に所属する軍人がそう言って、後日、「この栓抜きを使っていつもビールを飲んでいるよ!」と写真を送ってくれた。

 

 

ということで旭日旗に対する認識は、国内と海外ではあまりにも違っている。
だから韓国社会では旭日旗を「戦犯旗」と呼んで、一回転して蹴って粉々にしても問題はないのだけど、外務大臣や防衛大臣のように日本や世界と直接接点のある立場の人だと、内外の認識のギャップに苦しむことになる。
きょねん海上自衛隊が主催する観艦式に韓国政府が軍の参加を決めると、それでは旭日旗に頭を下げることになる、屈辱的だと野党は大反発した。
そんな批判に対して与党・政府は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代(2003年-2008年)、旭日旗を掲げた自衛隊の艦船を韓国が受け入れた事実を指摘。

朝鮮日報の記事(2022/11/01)

旭日旗観艦式問題に韓国外相「盧武鉉政権時代には海自艦が自衛隊旗を掲げて仁川港に入港」

「旭日旗問題」について問われたパク外相は、

「自衛隊旗が周辺国をはじめ国際社会でどのように認識されているか、われわれも十分に確認する必要がある」

と答えた。
たしかに韓国と国際社会では、旭日旗に対する見方が天地のレベルで違うから、その板ばさみにされる人は呼吸することも困難になる。
だから外務大臣としては、「われわれも十分に確認する必要がある」と国際社会の認識に目を向けようと示唆するのも当然。
実際、韓国でも15~20年前は、旭日旗を掲げる海上自衛隊と韓国海軍が親善行事を行っていたのだ。
それだけでなく、金大中(キム・デジュン)政権時代にも日韓がたがいの観艦式に参加した事例を挙げて、外相は「国際的な慣例を総合的に考慮して政府は判断した」と答弁した。

いまの野党が与党だった前政権のころ、韓国が主催する観艦式に日本が参加を表明して、「旭日旗問題」が起こると、当時の国防大臣は「国際慣例に従うほかない事案」と述べた。
いまは「屈辱的だ!」と怒る野党も、数年前は同じことを言っていたのだ。

 

2022年にソウルの梨泰院で群衆事故が起こると、それを“利用”して、与党・野党の支持者が一斉に相手を非難する様子を見て「事故を政争の具にする韓国社会」と朝鮮日報が嘆いた。
以前、知人の韓国人男性と話をしていて、旭日旗の話題が出ると、

「それに反応するのは一部の敏感な人だけですよ~。社会全体では旭日旗に大きな関心はありません。みんなそんなにヒマじゃないですから。」

と笑って言う。
たしかに韓国社会には、国際社会の認識や自国との温度差に気づいていて、「割とどーでもいい」と思っている人が多いような気がする。
それでも旭日旗は国民感情を刺激する。
だから、自分の望む方向に世論を誘導する「政争の具」にされているのでは?

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

若い在日韓国人が考える、国内の「反日」の現状と原因

「旭日旗はハーケンクロイツだ!」をドイツ人はどう思う?

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。