「あなたの不幸は私の幸福」という本音
先日、日本の事情に詳しい韓国人でこのブログの読者さんが、韓国人の日本に対する考えを「最も適切に表している」という言葉を紹介してくれた。
それは、「あなたの不幸は私の幸福」という強烈なものだ。
韓国のネットメディアでは、調子が悪くて活躍できなかった日本のメジャーリーグ選手を取り上げ、強く非難するニュースが毎日のようにあるという。
以前、知り合いの韓国人も、メディアが日本の選手をからかうようなニュースを掲載していると指摘し、その背景を次のように説明してくれた。
新聞と違ってネットメディアは扇動的で、韓国人の心の奥底にある日本に対する「憎しみ」の感情を刺激するような記事をよく載せる。
実際の話、日本が何かで失敗するのを見ると、気持ちがスカッとする読者は多い。
「日本サゲ」の記事を書くのは簡単で、読者の反発もない。しかも、そういった記事はアクセスが集まって利益に結びつきやすい。
メディアにとってローリスク・ハイリターンで「コスパ」が良いから、総合的に見てオイシイ。
だから、多くの韓国メディアが日本をネガティブに描く記事に手を出す。
好きでも消えない複雑な感情
そんな事情を話してくれた知人は、子どものころから日本に興味を持っていた。
日本の大学に留学する前に、日本語能力試験(JLPT)の最高レベルである1級に合格したから、彼がかなり親日的であることがわかる。
彼は全体的に日本が好きだが、それ以上に韓国が好き。
だから、やっぱり心の中には、「日本が活躍してほしくない」「失敗してほしい」と期待する一面があると正直に語る。
この複雑な感覚は本人も自覚していて、「理屈ではなく感情」らしい。
たとえばサッカーのワールドカップでは、韓国代表の成績を超えない範囲なら、心から応援することができる。
(ということは、ことし開催された大会でも韓国が一次リーグで敗退し、日本が決勝トーナメントへ進出したから、内心では「早く負けろ」とか「どうでもいい」と思っていただのろう。)
日本にもある同じ感情
親日家であっても、「あなたの不幸は私の幸福」という感情は完全に拭いきれない。
しかし、日本でも韓国に対して、大きさの違いには個人差があるものの、そんなネガティブな見方を持っている人は多い。
本音をぶちまけられるネットの書き込みを見ればすぐにわかるはずだ。
建前ではなく、「あなたの幸福は私の幸せ」と心から言えるのは、両国を探しても聖人と言っていいほどの例外だ。
現実は「国」として見れば、相手の失敗をいつも願っていたり、知人のように自国以下の活躍なら応援できたりする人が大半ではないか。
違いがあるとすれば、その表現の仕方と強さだ。
日本の非常時に現れた韓国の一面
最近、熊本で地震が発生し、現地では大きな被害をうけた。
すると、韓国のアーティストたちから、「一日でも早く安心して日々を過ごせるようになりますことを、心よりお祈り申し上げます」といったお見舞いのコメントが相次いだ。
李在明大統領も「X」を通じて、日本語で次のような声明を発表した。
「熊本県で発生した大地震により、人的・物的被害が生じているとの報に接し、心を痛めております。(中略)日本政府と国民が力を合わせ、早期に復旧・復興を成し遂げ、日常を取り戻すことを心より祈念申し上げます。韓国国民も、連帯の心をもって、常に寄り添ってまいります」
韓国で同じような悲劇が起これば、日本からも同様の反応があるはずだ。人間としての温かい心の交流は確かに存在している。
日本の悲劇を「チャンス」ととらえる視点
しかし、中央日報が掲載したこの記事(2026.08.04)は、日本のメディアならきっと見送った。
販売不振と地震で止まった日本車…現代自動車・起亜には機会
日本の悲劇を「チャンス」ととらえる韓国メディア
現在、熊本地震の影響で、トヨタや日産、三菱などの日本の自動車メーカーが工場での生産を停止した。部品を供給できなくなったことで、ほかの県の工場も操業停止に追い込まれている。
具体的な数字はわからないが、日本の自動車業界が大きなダメージを受けていることは確実だ。
それをうけて、韓国の自動車業界の関係者はこう話しているという。
「日本車の生産影響が長期化すれば現代自動車・起亜が米国市場で代替需要を吸収する可能性が大きい」
簡単に言えば、いま韓国では「日本のピンチは韓国のチャンスになる。この機会を利用すれば、韓国企業が大きな利益を手にする可能性が高い」と期待する人たちがいる。
これはビジネスとして見れば合理的な発想だが、日本人の感覚では違和感をおぼえる報道だろう。
災害という不幸と結びつけて金儲けの話をするのは、あえて言うなら「ゲスな発想」だから、日本人ならそういう考えが頭に浮かんでも、不謹慎で表では見せられない。
もし、どこかの新聞が関係者からそんな話を聞いて記事にしたら、きっと会社から抗議がくる。
地震直後でまだ多くの被災者が苦しんでいるのに、こんな無神経な記事を載せる感覚は日本にはない、と信じたい。
「考えること」と「口に出すこと」の距離の違い
アクセス稼ぎの扇情的なネットメディアではなく、韓国で「三大紙」の一つと言われる代表的なメディアがこんな記事を堂々と掲載したから、日本では驚きあきれる人が続出した。
・日本の不幸がよっぽど嬉しいらしいな
・まさに火事場泥棒
・取らぬ狸の皮算用ww
・なんでこういうのまで日本語版で流すかな。嫌な気分にさせてやろうという精神攻撃なの?
・そんな姑息な思考をニュースにするから韓国の印象が悪化しつづける
日韓では「考えること」と「口に出すこと」の距離が違う。
韓国では、感情や本音をストレートに表現する文化が強いから、結果として「日本の不幸は韓国の利益になる」と気持ちがそのまま記事で言語化された。
それに対して日本では、同じ感情があっても、抑えたり隠したりする傾向が強いから、その感覚の違いが違和感につながった。
「あなたの不幸は私の幸福」という見方や気持ちは日韓両国にあるが、全体的には韓国のほうがその傾向が強い気がする。その気持ちを比較的率直に表現するから、そう見えるのかもしれないが。
しかし、キレイゴトだけではない、こうしたリアルな感情があることを知るのも隣国を理解する手がかりになる。

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