日本と韓国のネット上では、お互いの国の「恥部」や「闇」を暴き合うような動画や記事があふれている。
「成功よりも転落する姿を見るほうが楽しい」という人はどの国にもいるけれど、日韓ではそれがとくに多いらしい。
なぜなのか?
韓国の「闇」を暴く日本人
10日ほど前、ある日本人が韓国の人たちをイラッとさせる動画を公開した。
それは「韓国の首都・ソウル駅前で見た『厳しい現実』…韓国経済の素顔」というタイトルで、YouTubeにアップされると5日ほどで20万回以上も再生された。
その日本人は、韓国経済は好調でソウルは大都市だと思っていたが、ソウル駅とその周辺に、ホームレスの人たちがあまりにも多くいるのを見て言葉を失ったという。
日本のネットユーザーも動画を見て、「これはひどい」、「若い人は知らないだろうが、昭和20年代の上野駅の地下道も、こんな状態だった」、「新宿や池袋でも見かけるけど、数が桁違いだな」などと感想を寄せた。
「韓国はもう日本を追い越した」という先入観を持っていた人ほど、イメージと現実の落差に驚いていた。
「恥部」を公開された韓国側の反応
すると、韓国側ではこの動画に全国紙の朝鮮日報が反応した(2026/07/30)。
『ソウル駅のホームレスを撮って「韓国経済の素顔」と紹介…日本のユーチューバーの動画が物議』
動画で映し出されたものは正しいから、事実認定で争う人はいない。しかし、韓国人にとって社会の「暗部」が日本で知られることは、はっきり言って不愉快だから、議論を呼ぶ結果となった。
「再生回数を稼ぐために、意図的にこのような場所ばかり探し回って撮影したのではないか」と撮影者の悪意を指摘する人がいれば、「韓国にも日本の暗い面を探し回って撮影する制作者がいる」と冷静に受け止め、この動画を問題視することは難しいと指摘する人もいた。
これは「日韓あるある」だ。
どちらかが相手に怒ろうとすると、実は過去に自分たちも同じようなことをしたという指摘が内部から出てきて、「どっちもどっち」という両成敗の議論(DD論)になる。
ただ、その様子を「韓国経済の素顔」と紹介したのは行き過ぎだった。
それだと繁栄している部分が「ウソ」で、こちらが本当の姿になってしまう。韓国社会には首都の代表的な駅にたくさんのホームレスがいるけれど、それが韓国経済を象徴しているわけではないのだから。
日本の「闇」を暴く韓国人
先ほどのコメントにもあったように、韓国側にも日本のネガティブな面を強調して発信する人は多い。
今もネット上で、日本を訪れた韓国人がSNSに投稿した映像が物議をかもしている。
それは、ある居酒屋で店員がビールジョッキの残りを捨て、スポンジでさっと拭き取るもので、投稿者は、
「일본은 안그럴줄 알았는데…후쿠오카의 한 식당에서 맥주 컵 세척하는 법…」
(日本はそうじゃない(そんなことしない)と思っていたのに…)
と絶句している。
韓国でこの動画は、「日本の清潔なイメージが崩れた」と話題になったという。
しかし、日本の反応は違って、動画を見た人からは「これは食洗機を使う前の予洗いだろ」と指摘する声が相次いだ。
逆に、「待って、韓国では食洗機を使わないの?」と韓国側を問題視する人もいた。
これはほんの数秒の切り抜き動画だから正確に判断できないが、個人的には、間違いなく食洗機の予洗いだと思う。
客から見えるところで、ジョッキにビールの泡が残ったままで「洗浄完了」とする店があったら確実につぶれる。
日本の「恥部」を指摘する韓国メディア
再生数アップのために、相手の恥部をあばく行為は日本にも韓国にもある。しかし、大手メディアがその「禁じ手」に手を伸ばすことは、日本では見た記憶がない。
たとえば、韓国最大の全国紙・朝鮮日報が載せたこんなコラム(2024年05月27日)だ。
韓国出稼ぎ売春「列島の少女」に対する日本社会のまなざし
当時、韓国のネット上で「列島の少女たち」と宣伝するサイトがあって、数十人の日本人女性が性行為をして金をかせいでいた。
朝鮮日報は、日本国内ではこの事件を知って多くの人が恥じ入り、「日本でお金を稼げない人間が海外で体を売って外貨を稼いでいる。日本に未来はあるのだろうか」と嘆いていると報じる。
ただし、このコラムの内容からすると、「列島の少女たち」のほとんどがいわゆる「セクシー女優」の人たちだ。
だから、「貧困のために海外で体を売る」というのは実態と違って、朝鮮日報はかなり誇張していると思われる。
それと、これを仕掛けたのは韓国人の男で、彼らは後に逮捕されて裁判で実刑判決を受けた。
また、朝鮮日報はコラムで日本を暗く、韓国をポジティブに描いている。
日本はバブル経済が崩壊して「失われた30年」に入り、まだそこから脱出できずに苦しんでいる一方で、韓国経済は好調らしく、給料では日本を抜き、その年の経済成長率見込みは2.6%に上方修正されたという。
朝鮮日報がコラムでとくに強調しているのはこの部分だ。
列島の少女たちが韓国に来たのは日本の不景気の断面であって、備えをしなければ韓国人も、予想外の国から届く恥ずかしいニュースを耳にすることになる
このときネット上では、「日本は落ちぶれた」「そこまで貧しい国になったのか」と驚く韓国人が多かった。
朝鮮日報はこのコラムのほかにも以下の記事のように、「日本女性の韓国遠征売春」について力を入れて報じている(2024/05/11)。
ソウル・江南で1回最高155万ウォンもらった…日本から来た「列島の少女」、高額売春の手口とは
日韓で「反日・嫌韓」コンテンツが人気を集める理由
日本と韓国のあいだで、相手の「恥部」をあばくコンテンツが人気を集める背景には、両国に存在する「嫌韓感情」と「反日感情」が強く影響している。
悪意や敵意があると、「韓国はこんなに貧しい」とか「日本はこんなに不衛生だ」と知って溜飲を下げたり、優越感を感じたりするから、そうしたコンテンツは注目や人気を集めやすい。
アクセス数が伸びれば、それは制作者の利益に直結するから、そこに目をつけ、ビジネスとして相手の恥部を探し回る人間が両国にいる。
「5日で20万回再生」というのはかなり美味しいはずだ。
日本側が違う点は、読売新聞や朝日新聞といったクオリティペーパーはそれに加担しないことだ。
日本の全国紙が、先ほどの朝鮮日報のような報道をするのを見た記憶がない。
相手国の暗部をさらして自国の優位性をアピールし、「こうなってはいけない」と反面教師として扱うのは、日本ではネットメディアや週刊誌に多い。
最近も韓国メディアが、自国のYouTuberの間違った情報をベースに記事を書いて掲載し、日本の店に大きな損害を与えた。
こんな出来事も日本のメディアでは聞いたことがない。

韓国では大手メディアがそんな偏った報道をするから、結果的に、日本で「韓国サゲ」コンテンツの需要をさらに高めてしまうのだ。

コメント