タイ人が日本を選んだ理由|タイの不正や警察腐敗がひどすぎる件

目次

タイ人女性が日本を選んだ理由

知人に、静岡の大学を卒業した後、母国へ帰らず、そのまま日本に住み続けているタイ人女性のプロイ(仮名)がいる。
プロイ(พลอย)とはタイ語で「宝石」という意味だ。

彼女が日本を選んだ大きな理由は、タイに比べて、「安心」と「信頼」の2つの面で日本が圧倒的に優れているからだ。
日本では、日常生活に潜む詐欺などの不正行為が少ないし、警察官も信頼できる。

日本の常識は世界の非常識ともいう。
この2つは日本人にとっては当たり前のことかもしれないが、彼女にとってはまさに「宝石」のような貴重なものなのだ。

日本のタクシーで起きた外国人観光客のトラブル

最近、SNSである投稿を見て、そんなタイ人女性のことを思い出した。
ある日本のタクシー運転手が「X」にウンザリしたように、外国人が絡むトラブル体験を報告していた。
その展開はこうだ。

運転手が羽田空港から外国人のカップルを乗せ、都内へ向かって高速道路を走っていたところ、突然、乗客が「お前がボタンを押してから、急にメーターが早く回り出した!」と怒り出し、これはボッタクリだと訴えはじめた。

高速道路では「高速ボタン」を押して、時間ではなく距離によって料金が計算されるメーターに切り替えるのが日本では常識だ。

運転手は車を停めてそれを説明したが、2人はまったく納得しないので、仕方なく下道に降りて警察を呼んだ。
駆けつけた警察官が事情を説明すると、乗客はやっとタクシー代を払ったが、最後まで納得していない様子だったという。

この外国人が激怒したことには、「スキーマ」が関係しているかもしれない。

「スキーマ」が引き起こした誤解?

人間はすでにもっている知識や経験から、目の前の出来事を判断・把握しようとする。その枠組みを心理学で「スキーマ」という。
もし今回の外国人がタイ人なら、そのスキーマから「ボッタクられている!」と誤解しても不思議ではない。

20年ほど前、自分もタイでそんな経験をした。
そのときはバンコクの空港からタクシーに乗って、高速道路を使ってホテルへ向かっていた。
過去の経験に比べて明らかにメーターが早く動いていると感じたから、ドライバーに聞くとタイ語で返事をされ、話はうやむやになった。

ホテルに到着すると、以前の2倍以上の料金を請求され、「この前とは違うタクシー会社だからか?」と違和感を覚えつつ、その金額を払ってしまった。

後にタイに住む日本人から聞いた話によると、それは「ターボメーター」だったらしい。運転手があるボタンを押すと、メーターの数字や料金が通常の数倍の速さで上昇するボッタクリの手口だ。

タイではそんな不正行為がよくあって、しかも手口が明らかになるとさらに進化する。
だからタイ在住の日本人は詐欺に引っかからないように、常に最新情報をアップデートしているという。

今でも、SNSを見ていると、配車アプリを利用してボッタクリの被害にあったと報告する日本人がよくいる。

先ほどの外国人もタクシーの運転手が「高速ボタン」を押すのを見て、過去の経験(スキーマ)から、それを「ターボメーター」のスイッチだと誤解したかもしれない。
タイ人なら十分ありえる話だ。

詐欺師は本物の警察官?タイの信じられない現実

どの国でも悪い人間はいるし、詐欺行為はなくならない。
それは仕方ないとしても、タイの社会についてプロイが心底嫌がったのは、「正義が信用できない」ことだ。
タイでは警察官ですら、金で魂を売ることがある。

以前、バンコクを歩いていると、制服を着た警察官に声をかけられ、こんな話をされた。

「最近、市内で偽物の宝石を高値で売りつける詐欺が横行していて、日本人がとくに狙われている。自分は警察官だから、安心できる宝石店を案内する」

そんな警官が地球上に存在するわけないと思って、もちろん案内は断った。
彼は本物そっくりの制服を着て警察手帳も見せたから、「かなり完成度の高い偽警官だ」と感心した。

※現在でもタイで日本人がこうした詐欺師の被害にあっているため、日本大使館が「郵便関係者や警察官などを名乗る者による詐欺事案の発生」という注意喚起を出している。

しかし後日、現地の日本語ガイドにその話をすると、思いがけない言葉が返ってきた。

「あまりにも本物っぽかったら、それは本物の警察官かもしれません。タイの警察には“制服を着たヤクザ”みたいな人もいるんですよ〜」

 

バンコクのショッピングモールで売っていたTシャツ。
タイで「ヤクザ」の知名度は高い。

深刻なタイ警察の腐敗

タイでは昔から、警察官の腐敗が深刻な社会問題になっている。

たとえば、本物の警察官が外国人に職務質問をして、持ち物を確認すると言って「職人技」でカバンから財布や現金を抜き取ってしまう。

また、バイクの取り締まりなどで、反則切符を切るべきところを、「数千円のワイロを出せば見逃してやる」と持ちかける。

タイに住む日本人に聞けば、きっと「タイ生活あるある」と笑って言うだろう。

2024年には、(日本の感覚では)前代未聞の出来事が起きた。
タイ警察のトップである警察長官が、違法なオンラインギャンブルの胴元からワイロを受け取っていた疑いが浮上し、懲戒処分を受けた。

100人以上の警察官が関わっていたため、この件を調べていた弁護士は、警察が組織的に反社グループから「上納金」を集めていると強調した。
日本のマスコミ報道では、タイの警察を「まるで暴力団」と表現している。

2023年にもオンライン賭博運営で逮捕された容疑者が、地元の警察司令官らから、事件をもみ消すため代わりに1億4000バーツ(約6億8300万円)の賄賂を要求され、支払わされたと警察に被害届を提出した。
警察のカツアゲを警察に訴えるというのは、もはやコメディーだがタイではまったく笑えない。

「タイの警察は上から下まで腐っている」とタイ人に言ったら、きっと同意してくれるはずだ。
そんな知識や経験がスキーマとしてあれば、日本のタクシー運転手から連絡をうけて、警察が駆けつけたとしても、「この警官もタクシー会社から金をもらっていて、自分たちを罠にはめている」と疑ってしまう気持ちはわかる。

日本の宝|安全と信頼

タイでは日本の常識がまったく通じず、アニメや小説で起こるような出来事が現実になる。
逆に考えると、日本は完璧ではないが、日常生活で不正行為の被害にあう確率が低く、警察官もしっかり正義を実行してくれる。

そんな安全と信頼性が高い環境は、ほかに代えられないほど高い価値がある。
プロイが日本を選んだ理由がそれだ。

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

日本で迷惑行為をした強気なタイ人 批判が殺到し最後は「降伏」

タイ人を困惑させ、ニュージーランド人を喜ばせた日本人の贈り物

日中のトイレの違い「日本人の良さを中国人も見習うべきです」

【日本の食文化】タイ人・インド人が感じた疑問や驚き

【日本人と海苔】簡単な歴史とタイ人・ヨーロッパ人の感想

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメントする

目次