韓国の人たちは日本の統治時代(1910〜1945年)をどう思っているのか?
中学生用の歴史教科書『躍動する韓国の歴史』(明石書店)を開くと、こんな象徴的な文があった。
「貧しさは日帝がもたらした唯一の産物」
「日帝の経済侵略によって工業発展が遅れ、どこでも働き口を探せなかった」
いまの韓国の歴史認識では、日本の統治は「暗黒時代だった」というのが一般的というか一択で、それと異なる認識を持つ人は「極右」とレッテルを貼られ、排除されてしまう。
ナチス・ドイツを引き合いに出して、日本を批判することも「韓国あるある」だ。
第二次世界大戦時に行なったユダヤ人虐殺について、ドイツはその戦争犯罪を直視し、しっかり謝罪したが、日本はそうではない。
日本は過去の歴史から目を背け、反省や謝罪を拒否している。
韓国ではそんな考え方が主流で、たとえば10年ほど前、中央日報がそんな内容のコラムを掲載した。(2012.09.07)
戦争犯罪の前でドイツとあまりにも違う日本
ハンギョレ新聞も2年前、ドイツに比べて、日本の“誠意のなさ”を強く非難した。(2022-09-17)
日本の安倍晋三元首相が慰安婦合意に関連して「これ以上謝罪しない」と厚かましく強弁したのとは、あまりにも異なる歴史認識である。
日本はいつドイツを見習うのか
ナチスが建てたブーヘンヴァルト強制収容所(1945年)
昨日、ナチスが犯した戦争犯罪について記事を書いていて、改めて日本とドイツはまったく違うを痛感させられた。
ナチスはユダヤ人を「劣等民族」と見なし、絶滅させることを決定し、国家としてそれを実行した。
一方、日本は朝鮮人について、「絶滅政策」を考えたことは一瞬もない。
日本には、それをする理由やメリットが何もないのだから。
第二次世界大戦がはじまる前、ヨーロッパには1000万人のユダヤ人がいたと言われる(数については諸説あり)。
そのため、「効率良く」絶滅させるにはユダヤ人を一箇所に集めて、一気に命を奪う方法が良い。
そこでナチスはヨーロッパ各地に強制収容所を建設し、ユダヤ人を捕らえては次々と送り込む。
健康な者は死ぬまで働かせ、女性や子どもなどの弱者はガス室に送られ、短時間で大量虐殺を行なった。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所では、1日で最大8000人の殺害が可能だったという。
こうして約600万人のユダヤ人が虐殺された。
こうした収容所に入れる前に、ナチスはユダヤ人をゲットーと呼ばれる隔離地域に強制的に住まわせた。
ポーランドのクラクフ・ゲットーには、15,000人ものユダヤ人が詰め込まれる。
そして1943年3月14日までに、全員が殺害されるか強制収容所へ移送され、ゲットーは無人になった。
1910年の日韓併合で主権を失い、その後の日本の統治によって、朝鮮の人たちが屈辱や苦痛を感じたことは十分理解できる。
しかし、ゲットーや絶滅収容所をつくったナチス・ドイツと、学校や病院を建てた日本ではやっていることがまったく違う。
日本統治を経験した人たちの話を聞いても、ナチスとの違いは明白だ。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所
1956年に韓国の済州島で生まれた評論家で、日本研究者でもある呉 善花(オ・ソンファ)さんという人がいる。
彼女は子どものころに反日教育を受け、「日本人とは我が民族をいじめ抜いてきた、とんでもない人たちなんだ」と怒り、絶対に許してはいけないという気持ちを強くした。
でも、呉さんが日本に住むようになり、実際に日本人と交流し、さまざまな話を聞くと、韓国の教育が偏(かたよ)っていると思いはじめる。
それで、日本統治時代に生きた人たちに話を聞いてみることにした。
呉さんがインタビューをしたとき、78歳だった男性のパクさんは、日本時代には殖産銀行という超優良企業に勤めていた。
銀行のバッジを付けていると、食堂でツケで食事ができたから現金は必要なかったという。
さらに、銀行からは「これで服や靴を買いなさい」と何度も臨時収入が出て、ボーナスは年に3回もあった。
そのころは銀行員とその家族で、一泊二日の温泉旅行に出かけたこともあり、日本人と韓国人の区別なく、みんな仲良く楽しんだと語る。
パクさんが話す内容は、「貧しさは日帝がもたらした唯一の産物」「日帝の経済侵略によって〜」という歴史とはかなり違う。
日帝時代にそんなことあり得ないと言われるかもしれませんが、過激な人や極端な人たちの一部での喧嘩や衝突はあっても、一般の日本人と韓国人のぶつかり合いなんか、見たこともありません。
「生活者の日本統治時代 (三交社) 呉善花」
しかし、差別はあった。
たとえば、日本人の給料が3円上がる一方で、韓国人の給料は1円しか上がらなかったとパクさんは話す。
これは一例で、ほかの韓国人の証言については、上記の本を読んでほしい。
日本が朝鮮人の絶滅を決定し、そのための収容所を建設したり、国際法違反の強制労働をさせた事実はない。
「戦争犯罪の前でドイツとあまりにも違う日本」という見方は韓国社会の常識だ。
その認識からすると、「一般の日本人と韓国人のぶつかり合いなんか、見たこともありません」と、日本の統治を肯定するような発言は“妄言”や“極右”となり、絶対に許されない。
結局のところ、「同じ」という前提が間違っているのだ。
日本とドイツは同盟関係にはあったが、していたことはまったく違うのだから。
だから、韓国から「日本はいつドイツを見習うのか」という声が上がると、日本からは「韓国はいつまでそんなことを言うのか」という反応が出てくる。
日本と比較するなら、インドやベトナムを統治したイギリスやフランスにするべき。
ちなみに、安倍元首相が慰安婦合意に関連し、「これ以上謝罪しない」なんて発言はしていない。
慰安婦問題は2015年の日韓合意で、両政府が最終的な解決を確認し、安部首相は元慰安婦の方たちに「心からのおわびの気持ちと反省」を表明した。
その後、韓国でまた謝罪を求める動きがあったから、安部首相は「毛頭考えていません」とキッパリ断ったのだ。
約束にはなかった“追加要求”をする方がおかしい。
*この下に、「ドイツに比べて日本は…」論の間違いを示す写真が出てきます。
1945年に、イギリス軍が解放した収容所で撮られた遺体の写真なので、自己責任で見てください。
今の韓国人は漢字をどう思う?漢字を読めないハングル世代はいつから?
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