日本人の縁起かつぎ:アメリカ人が好きな2つのポイント

 

15歳になったのをきっかけに、「少年革命家」から「青年革命家」にジョブチェンジしたユーチューバーの「ゆたぼん」君。
そんな彼が先日、高校を受験した結果、不合格となったことを動画で報告した。
でも、「ショックなんですけど、落ち込んでても仕方ないし切り替えていこうと思います」と前向きに話しているから、まぁがんばってほしい。
さて、そんな青年革命家に耳寄りの情報があるの。

 

寸又峡温泉は静岡県の山中にあって、秘境的スポットとして外国人からの人気も高い。
ここにはミステリアスな石がある。
それは崖の側面にある7~8mの巨大な石で、一見すると「いや、絶対落ちるだろ」と思ってしまうのに、石は崖にへばりつくようにして落ちずに存在しているのだ。
落ちそうで落ちない、そんな地球の重力に逆らうようなこの不思議な石について、地元では昔から、天狗の力が宿っていると伝えられてきた。

いつしか村人はこの石をご神体として尊ぶようになり、すぐ近くには神社がつくられた。
そして、現在では「落ちない大石」と呼ばれ、高校や大学の受験生をはじめ、各種試験を受ける人たちがここに来て合格を祈り、手を合わせている。
この石は、大工や植木職人など高いところで働く人たちにとっても、縁起かつぎのアイテムになっているらしい。

 

日本で英語を教えていたアメリカ人が寸又峡に行った際、彼はこの神社にも寄って「落ちない大石」の写真を撮ってきた。
彼が英会話教室で受験をひかえた中学生に、「このまえ寸又峡へ行って、こんな石を見たんだ」と言って写真を見せると、中学生から「それほしい!」「ください!」とリクエストが殺到する。
もちろん、彼は「だが断る!」とは言わず、その写真をみんなに送ってあげた。
その後しばくらしてから、彼が教室へ入ると、中学生たちが笑顔で「受かりました! ありがとうございました」と言うのを聞いて、彼はあの石のことを思い出した。
みんな「落ちない大石」の写真を大事にしていて、なかには受験までそれを待ち受け画面にして、毎日拝んでいた生徒がいたことを知って彼は驚いた。
学校でそのウワサが広がって、彼の知らないところまで写真が出回っていたらしい。

英会話教室で大人の生徒に、アイスブレイクとしてレッスンの初めにその話をすると、大人の生徒たちは「中学生らしい単純で純粋で反応だよね〜」と笑う。
これでリラックスした雰囲気になって、彼がレッスンをはじめようとすると、ある女性が「それ、私にもください! もうすぐ試験があるんです!」と言いだす。
するとほかの生徒も、(どうせタダだし)自分も欲しいと言い出し、「落ちない大石」の写真をみんなでシェエアすることになった。
彼にとってこれは想定外の事態。

 

 

「落ちない大石」とそれを祀る神社

 

 

天狗伝説の説明

 

海外(おもに欧米)から見ると、日本の迷信の重要な部分として「カミの存在」がある。
日本には古代から、変わった形や巨大な木や石など特定の自然物に神や精霊が宿るというアニミズム的な信仰があり、そんな文化をルーツとする迷信や縁起かつぎがある。

Another significant part of Japanese superstition has its roots in Japan’s ancient pagan, animist culture and regards certain natural things as having kami.

Japanese superstitions

 

この神道の神々はゴッドとはまったく違う存在だから、「kami」と日本語で表現するのが最適解。
先ほどのアメリカ人は米国にいる時から日本に興味があり、特に自然物にカミや精霊などが宿り、特別な存在になるという考え方が好きだった。
アメリカでは、先住民にそんな迷信や縁起かつぎの文化があるけど、それは例外的だという。
日本では子どもから大人まで、「落ちない石」のような縁起ものに人気があって、一般的にそんな考え方が支持されている。
でも、アメリカの場合、もしそんな石があったとしても、人々はほとんど関心を持たないから、何も生まれない。
日本には、そういった精神文化が表れているところがアチコチにあるから、彼はヒマを見つけてはそこへ足を運んでいると言う。

日本人の考え方や行動について、彼が好きな点はほかにもある。
それは伝統文化を積極的に利用し、ビジネスチャンスにつなげるところ。
「カミ」の宿る木や石、滝などを観光地として整備し、それにまつわる各種グッズ、食べ物などを開発して販売する。
アメリカ人の彼としては、昔からの言い伝えと、現代的な日本人の発想を楽しむことができるから二度おいしい。
日本人には、昔からの伝承に新しい価値を加えて、変化させることがよくある。
おそらくアメリカ人には、こういう発想はあまりない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。