【動画】米スタバで起きた人種差別。まるでローザ・パークス。

 

下の店は米フィラデルフィアにあるスターバックスで、いま猛烈なボイコット運動を受けている。

 

この店はもうすぐつぶれるかもしれない。

でもこの責任は店にある。
アメリカ社会のタブーに触れたから。
アメリカで絶対にやってはいけないこと、黒人への人種差別をおこなったのだから。

 

ことの始まりは、この店で2人の黒人男性が知人と待ち合わせをしていたこと。
彼らが「they sat there peacefully(おだやかに席に座っていた)」ところ、店員に警察へ通報されてしまった。
*この2人は何も注文していなかったらしい。

かけつけた警官は2人に手錠をかけて、警察署に連行した。

 

その様子を見ていたMelissa DePinoという女性がツイッターに動画を投稿。
すぐに拡散されて大騒ぎになる。

 

「店内で人を待っていた」というだけで、逮捕されてしまった。
白人だったら、同じことをしてもこんな目にはあわないという。

動画を投稿した人はこう書いている。

All the other white ppl are wondering why it’s never happened to us when we do the same thing

まあ日本人のボクとしては、店内にいるなら、何か注文したほうがいい気はする。
日本とフィラデルフィアのスタバは違うのだろうけど。

 

とにかく、アメリカでこれは完全にアウトな案件。
スターバックスはすぐに謝罪した。

別のところでは、「express our deepest apologies to two men(2人に最大級の謝罪を表明します)」と書いてある。
スターバックスでは、こうしたことが二度と起こらないように取り組むという。

 

でも、謝罪だけではすまなかった。

フィラデルフィア市長が公式声明を出す事態にまで発展。

“I am heartbroken to see Philadelphia in the headlines for an incident that — at least based on what we know at this point — appears to exemplify what racial discrimination looks like in 2018.

Mayor’s Statement on Incident at Starbucks in Center City

 

この出来事に「heartbroken(胸が張り裂けそう)」と語り、スターバックスでの対応に、肌の色の違いがあってはならないと強調する。

Starbucks should be a place where everyone is treated the same, no matter the color of their skin.

 

こうした動きがあったものの、いまでも事態は落ち着いていない。
店の外ではボイコット運動が続いている。

「この店では、黒人というだけで逮捕されてしまう」という。
アメリカで人種差別というタブーに触れると、とんでもないことになる。

もうすぐ、閉店した店の前で”勝利宣言”する市民の写真が投稿されるかも。

 

 

「座席に座っていただけで、警察に逮捕された」となると、まるでローザ・パークスのようだ。

1955年のアラバマ州では、公共バスに「白人優先席」があった。
ローザ・パークスという黒人女性がそこに座り続けたことで、警察に捕まってしまう。

この不当逮捕に多くのアメリカ人が怒って、「モンゴメリー・バス・ボイコット事件」が起きた。

これが公民権運動のきっかけとなる。
公民権運動は高校世界史でかならず習う重要事項。
知っておこう。

公民権運動

南北戦争後も州法などに残った黒人差別を撤廃させる運動。
1960年代に高揚した背景には、アフリカにおける振興独立諸国の誕生やベトナム反戦運動の高まりがあった。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

ローザ・パークスはアメリカ連邦議会から「公民権運動の母」と呼ばれ、1999年には政府から「自由勲章」を受けた。
これはアメリカ市民がもらうことのできる最高位の勲章だ。

 

ローザ・パークス(後ろにいるのはキング牧師)

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。