これまでの記事で、こんなことを書いてきた。
「日本には、人種について触れることを避ける空気があると思う」
「現実の世界には人種差別問題があるのだから、人種ということについてもっとオープンに話をしてもいい」
でも昔の自分はちがう。
これは正反対のことを考えていた。
「人を肌の色で分ける人種という考え方はいけない」
「『人種』という言葉を使うだけでもいけない。こういうことは話題にすべきではない」
「人種はタブー」だと思いこんで、人種のことから目を背けていた。
だから人種について理解することもない。
覚せい剤のように「触れるな、危険」ぐらいに思っていただけ。
「君子危うきに近寄らず」という状態。
【読み】 くんしあやうきにちかよらず
【意味】 君子危うきに近寄らずとは、教養があり徳がある者は、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないということ。故事ことわざ辞典
まあ、君子ではないけど。
とにかく、「人種」という言葉から遠ざかっていた。
だから、人種や人種差別問題についての知識はないも同然。
セネガルの結婚パーティー
でも黒人のアメリカ人の友人ができてから、そんな自分の考え方が変わる。
その黒人のアメリカ人は、人種や黒人の問題をもっと多くの人たちに知ってもらいたいと考えていた。
そんな彼女からは、アメリカの黒人についていろいろなことを教えてもらう。
たとえば、自分の先祖がアフリカから奴隷としてアメリカに連れて来られたこと。
アメリカの市場では、黒人である先祖は豚や牛と同じように売られていたこと。
*この当時のアメリカでは、黒人は人間とは見なされず、豚や牛と同じ動物と考えられていた。
だから、黒人の数を数えるときは「one head(一頭)」と動物の数え方をしていたという。
下のサイトはその黒人のから教えてもらったもの。
The Merchandise Of . . . Slaves, And Souls Of Men
この中にこんな一文がある。
Captured Africans were sold at auction as “chattel,” like inanimate property or animals.
捕まえられたアフリカ人(黒人)は、オークションで動物のように売られていた。
アメリカで黒人奴隷の様子がよくわかる。
ガーナのケープ・コースト城
アフリカで集められたここで黒人たちは、ここで収容されていた。
ここから、アメリカ大陸へ向かう船にのせられた。
彼女から教えてもらったことに、「ストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)」というものがある。
この「奇妙な果実」とは、どんな果物のことか?
これは果物のことではない。
「奇妙な果実」とは黒人の死体のこと。
「奇妙な果実」(きみょうなかじつ、原題:Strange Fruit)は、ビリー・ホリデイのレパートリーとして有名な、アメリカの人種差別を告発する歌である。題名や歌詞の「奇妙な果実」とは、木にぶら下がる黒人の死体のことである。
20世紀前半のアメリカでは、黒人が白人からリンチを受けることがよくあった。
そしてその後、見せしめのために黒人の死体を縛り首にして、木からぶら下げることもおこなわれていた。
それで、1つの木に複数の黒人の死体がぶらさがっている状態を、「ストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)」と表現された。
リンク先から「奇妙な果実」の画像が見られる。
確認したい人は自己責任でどうぞ。
友人のアメリカ人(黒人)が気に入っていた絵。
韓国人の芸術家が、韓服を着た黒人女性を描いている。
1940年ごろに、ビリー・ホリデイという黒人の歌手が「奇妙な果実」という歌を歌っている。
彼女はこの歌を通して、アメリカにある黒人への人種差別を批判していた。
この時代のことを考えれば、これはとても勇気のいることだったはず。
ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」という歌は、黒人への差別や暴力に反対運動を象徴する歌となって、アメリカ社会に大きな影響を与えた。
2002年に「奇妙な果実」は、アメリカ議会図書館によって「National Recording Registry」に加えられる50項目の1つとして選ばれた。
こ歌の歌詞から、この時代のアメリカ社会の空気がわかる。
それにこの歌には歴史的な価値もある。
ただ、このブログに歌詞を載せることは著作権の関係でできないから、歌詞を見たかったらビリーホリデイ「奇妙な果実」:Billie Holiday – Strange Fruitを見てほしい。
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