【20年の変化】中国・韓国に比べて、日本のキャラが薄い件

 

20年ほど前にタイを旅行中、現地のツアーに参加してアメリカ人の観光客と知りあう。
話のなかで日本について何か知っているか聞くと、彼はドヤ顔でこう言った。

「もちろん!ボクはブルース・リーの大ファンなんだ。日本に行ったら空手を習いたいよ」

短いセリフなのにツッコミどころが盛りだくさんで、もう何かめんどくさくなって「ぜひ日本へ来てほしい…」と力なく笑うしかなかった。
香港人の武道家で俳優、映画監督でもあったブルース・リーが生まれたのは1940年のきのう11月27日。
32歳でこの世を去った彼の死因については最近、「水の飲み過ぎ」説が浮上したとニュースで見たけど、ホントのところは誰にも分からない。

20年ほど前は、そのころ何度も海外旅行をしていたボクの肌感覚からすると、当事者以外の外国人は日本・中国・韓国の違いをよく分かっていなくて、この3国を大ざっぱに「あのへん」と一まとめにして理解していた。
関係ない外国人からすれば、ブルース・リーの出身地なんて「東アジアのどっか」ぐらいの認識で、彼が香港人でも日本人でも韓国人でもどーでもいい。
今から思うとその三国の中で、世界における存在感では日本がグンを抜いていた。
東南アジアの空港に着くと、まずはソニーやパナソニックといった日本メーカーの看板が出迎えてくれ、街を歩くと日本語の看板をよく目にして、「圧倒的じゃないか、我がグンは」みたいな誇らしさを感じたもんだ。
たまに会う韓国人や中国人の旅行者から、現地の人に「コンニチハ!」とよく声をかけられるという話を聞いて、内心の優越感がくすぐられた記憶はもはや懐かしい。

それから時間が過ぎるにつれて、空港にある看板は日本から韓国や中国の会社へ変わっていって、「アレアレ?」と思っているうちに日本企業は消滅した気がする。
ここ10年ほどで韓国・中国がグングン力を増してきて、「東アジア3兄弟」の中では日本が埋没している。
ボクのまわりの外国人は日本に住んでいるにもかかわらず、韓流ドラマをよく見るし、日本のアーティストよりもK-POPを推す人が多い。
どの外国人も「イカゲーム」、「BTS」、「BLACKPINK」を韓国文化と正しく理解していて、日本のモノとカン違いする人には会ったことがない。

中国は経済力で日本を抜いて、アメリカに次ぐ世界2位のポジションにいる。
いまカタールで行われているサッカーW杯では中国企業の宣伝が本当に多くて、中国代表は参加していないのに、中国の存在感はとても大きい。
20年ほど前は上海の食堂でチャーハンを50円ほどで食べることができたのに、いま上海にいる友人に話を聞くと、バスや地下鉄といった公共交通機関を除けば、物価は日本を上回る上海で、それはあり得ない。
「チャーハンが50円!」と驚く友人に驚いた。

 

韓国は文化強国、中国は経済大国になったいま、日本の個性や強みがよく見えてこない。
もちろん経済的には世界3位で、ノーベル賞受賞者の数を見ると日本が中韓を圧倒していて、文化や科学技術でそれなりに存在感は保持している。
ただその理由としては、勤勉で粘り強い国民性がよく指摘されているが、巨額の費用を研究や教育へ投入できたことも大きな要因だったはず。
となるとこれからは、この点でも中韓との差が縮まっていく予感しかない。

いま日本の「キャラ」が立っているとしたら、FIFA(国際サッカー連盟)も認めるコレか。

 

「来たときよりも美しく」の精神で、スタジアムの掃除をするのは素晴らしい。
その姿を見て、多くの外国人が称賛するのは事実なんだけど、それ以外の部分で世界が注目する日本の強みを見てみたい。
中国・韓国に比べて、この20年で日本のキャラは本当に薄くなったと思う。
陽はまた昇るのか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。