韓国人の人力車夫と太極旗
今、SNS上でひとつの投稿が、日韓関係に興味のある人のあいだで注目を集めている。
それは、日本の有名な観光地で人力車夫として働いている、ある韓国人男性の投稿だ。
彼は伝統的な車夫の衣装を身につけて、胸に小さな韓国の国旗(太極旗)のバッジらしきものをつけている。
そして、「自分は国家代表だと思いながら働いている」という強い思いをSNS上で表明した。
しかし、この投稿を見た多くの日本人には、彼の動機がわからない。
彼が日本と韓国の国旗をつけて、「韓日の友好の架け橋になるよう頑張っています!」とアピールしているのなら、その意図はすぐに理解できる。
韓国から来る観光客に向けて「自分は韓国語が話せる」と伝えるため、と考える人もいたけれど、投稿にそんな説明は一切ない。
彼の動機をめぐって、さまざまな人がシェアやコメントをするから、投稿が拡散されている。
全体的には否定的な見方が多い。
とはいえ、この逆よりはマシだ。
韓国で日本人が韓国の伝統衣装を着て、胸に「日の丸」をつけていたら、会社を含めて袋叩きにされる。
日本の伝統的な職業につきながら(バイトかもしれないが)、あえて韓国の国旗だけを強調している理由はなにか?
それについて、韓国から日本に帰化した男性が、ほかの韓国人から「売国奴」と非難されないための「盾」として、彼は太極旗をアピールしているのだと分析した。
韓国の事情をよく知る人なら、この指摘に同意するだろう。
日本に住んで、日本の伝統文化を利用して収入を得ることは、韓国人にとっては「危険」が潜んでいる。
心ない人から「親日(=売国奴)」認定され、「日本に魂を売った」と攻撃されるリスクがあるのだ。

2019年の日本製品不買運動で拡散されたマーク
ノージャパン運動であった「売国奴」認定
2019年の夏を思い出せば、このような背景が見えてくる。
当時、日本政府が韓国に対する輸出管理を厳格化すると、韓国の文大統領は激怒して「(日本には)二度と負けない!」と国民に向けて強く訴えかけた。
この言葉が国民の「反日感情」を刺激し、結果として「日本製品は買わない・日本には行かない・日本製品は使わない」のいわゆる「ノージャパン運動」が韓国全土で激しく盛り上がることになった。
このとき、知人の韓国人が日本を旅行する予定だったのに、「今はとてもそんな雰囲気じゃない」と断念した。
それも無理はない。
この時期の韓国では、ネット上で日本を旅行している韓国人を見つけ出し、「おめでとうございます!あなたは売国奴です」という悪意に満ちたメッセージを送りつける人たちがいた。
そんなことをされたら、本当に気分が悪くなる。

社会は「日本に関わること=悪」という空気に包まれていた。
ある韓国人女性はカフェにいて、抹茶ラテとケーキの写真を撮ってSNSに投稿しようとした際、自然と抹茶ラテを外した。
何がきっかけで、他人から「親日(裏切り者)」認定されるかわからないから。
売国を打ち消すための「愛国アピール」
同じ年の12月、日本の名古屋ドームで「2019 MAMA(Mnet Asian Music Awards)」という韓国最大の音楽イベントが開催された。
当時の韓国ではまだ「ノージャパン」が行なわれていたから、このイベントに参加する韓国人アーティストには冷たい視線が向けられていた。
そんな中、拍手を浴びた人がいた。
このイベントでホストを務めることになった韓国人の俳優は、韓国の空港に姿を現した際、目立つところに「慰安婦バッジ」をつけていたのだ。
彼はそのバッジをつけることで、「自分は慰安婦のおばあさんたちを支援している」という強い思いを表明し、日本へ移動した。
これを見た韓国のメディアは、「彼はネットユーザーからの支持を得た。どのような気持ちで日本へ出国するのかが十分に伝えられた」と好意的な記事を掲載した。

つまり、韓国社会では、日本に関する「売国行為」をしたとしても、それを上回るような「愛国行為」をアピールすれば、その「罪」は見逃されるのだ。
日本人には奇妙なルールに聞こえるかもしれないが、韓国人ならその「空気」が理解できるだろう。
胸に太極旗をつけた理由
この「法則」が分かれば、SNSで話題になった人力車夫の行動の動機も見えてくる。
日本に住み、人力車夫という日本の伝統衣装を身につけながら仕事をしている。
大半の韓国人は気にしないだろうけど、一部の民族主義者から見れば「売国」に認定される可能性がある。
だから彼は、胸に小さな太極旗のバッジをつけ、愛国心をアピールする必要があった。「元韓国民」だった人物が指摘したように、批判をかわすための「盾」だったのだ。
もし彼が、胸に日韓の国旗をつけて「友好の架け橋になるよう頑張っています!」なんて発信していたら、一部の「反日感情の塊」のような人に目をつけられ、「おめでとうございます!あなたは売国奴です」というメッセージを送りつけられていたかもしれない。
それでも仕事を辞めたくなかったとしたら、「弾除け」を設置することが有効だ。
日本人の感覚からすると、人力車夫の格好と太極旗のバッジの組み合わせには違和感をおぼえるが、「慰安婦バッジ」はもっと不自然だ。
この若者がしたのは愛国行為であって反日ではない。
おそらく見えない批判や同調圧力を感じ、自分を守るために「盾」を掲げたのだろう。
あの国旗は彼の葛藤を表しているのだとしたら、あの韓国人を責めることはできない。
韓国社会における「反日」の同調圧力や「親日」狩りの恐ろしさは、日本人の想像を超えている。
以下、余談
1922年にイギリスの皇太子(後の国王エドワード8世)が来日した際、皇太子はこんな記念写真を撮った。

旭日旗をバックに、人力車夫の格好をしている。
韓国人がこれをしたら、「親日(売国奴)」認定されることは避けれない。

コメント
コメント一覧 (2件)
韓国人のそのような二重的な性格は、奇妙なシーンでも表れます。
自分は反日戦線の最前線に立っているにもかかわらず、日本製の車を自家用車として使う人が多く、日本が大嫌いでも、日本旅行に行かないとイライラしてしまう人も多いです。
このような矛盾した現象が現在の韓国人に見られる混乱です。
韓国人の心の中には、日本に対して好きと嫌いが入り混じった複雑な思いがあると思います。
今は日韓関係は安定していますが、同胞の視線が気になる韓国人はいると思います。
さまざまな予防線を張らないといけないのは大変です。