イギリスの探検家で紀行作家のイザベラ・バードは、1894年〜97年の間に朝鮮半島を4回訪れ、各地を旅行し経験したことを『朝鮮紀行』に記した。
当時、朝鮮の人たちは病気の原因を「鬼神に取り憑かれた」と信じていたという。
そのため、呪術師が歌ったり踊ったり、楽器を鳴らすことで鬼神を追い払うことができ、それが「治療」とみなされていた。
イザベラ・バードはそんな風習について次のように書いている。
「このような習慣はソウルの知識階級からは、女性や肉体労働者のものと、低く見られている。くだらない風習だけれども、止めることは別の不都合を生む」
イザベラ・バード(1831年 – 1904年)
さて先日、韓国でこんな出来事があった。
朝鮮日報(2024/03/18)
東京五輪アーチェリー3冠の安山、韓国の日本式食堂に「なぜ売国奴がこんなに多いのか」…店主は一瞬にして非難の矢面に
2020年東京オリンピックのアーチェリーで、3つの金メダルを獲得した有名な韓国代表選手が、店内に日本語がある日本風の飲食店の写真をSNSにアップし、「韓国にはなぜ売国奴がこんなに多いのか」と書き込んだ。
この店は韓国人のオーナーが「日本旅行をした気分になる」というコンセプトではじめた店で、日本食を提供したり日本語の案内があったり、店員が日本語を使うといったサービスがあるらしい。
もし、日本の金メダリストが東京にある韓国風のレストランで、店内にあるハングル文字の写真と一緒に「日本にはなぜ売国奴がこんなに多いのか」と書き込んだらどうなるか?
一部の嫌韓層が手をたたいて喜ぶだけで、全体的には「日本食レストランへ行ったら売国奴というのは言い過ぎ」「国家代表選手がこんな投稿をするべきじゃない」といった批判が多いと思われる。
韓国のネット上でもそんな意見はあった。
しかし、全体的には「売国奴は嫌いだ」「日本が好きなら日本に行って住め」などのアンチコメントがほとんどだったらしい。
オーナーに対しては「売国奴」や「死んでしまえ」といった悪質なコメントが殺到し、「私は一瞬で親日派の子孫に、そして私のブランドは売国ブランドになった」とSNSで悲痛な思いを吐露した。
突然の一斉攻撃に、オーナーはどう対応したらいいのかわからない。
店の仲間たちがこれ以上つらい思いをしないように、オーナーはこの炎上騒ぎが早く終息することを心から願うと訴えた。
すると、すぐに与党のある国会議員が、写真1枚でオーナーや店員が「売国奴親日派」認定されたことに怒り、「私が助けたい」とSNSに投稿した。
これでターンが変わる予感。
日本ではハングル文字がよくあるのに…
一人の日本人の感覚として、韓国風の店をネットで晒(さら)して攻撃をあおるのは、韓国メディアが「極右」や「嫌韓」ど非難する一部の人たちで、金メダリストがする行為とは考えられない。
歌や踊りによって「鬼神」という邪悪な存在を取り除いても、病気が治ることはない。
SNSを使って韓国から日本語を排除しても、真の愛国者になれるわけない。
そんなことはくだらない風習だ。
けれども、それによって“利益”を得られるかぎり、韓国でこういう行為を止めることはできない。
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