SNSで中国人が「中国隊加油!」と書いていたから、何のことかと思ったら、今日の深夜に行われるサッカー日本対中国戦のことだった。
加油が「ガンバレ」の意味なのは知ってた。
けど、中国隊で「中国代表チーム」を表すというのは初耳。
カタカナと漢字だとやっぱり語感が違う。
歴史的に長い交流のある日中韓では、漢字や仏教など共通する点も多々ある。
でもそうなると、健全なスポーツの試合ならいいんだが、文化やその起源をめぐる争いがちょくちょく起きるから面倒くさい。
ここ最近激しいのは韓国と中国の対立だ。
文化の帰属や宗主国の座をかけて、絶対に負けられない戦いを繰り広げている。
きょうも中央日報日本語版に、韓国の伝統衣装・韓服が、中国では自国の伝統衣装にされていると大学教授が怒って抗議したという記事があった。(2021.09.07)
韓服が「朝鮮族の服飾」とは…徐ギョン徳教授、中国百度に抗議
言ってみれば中国版ウィキペディアのオンライン百科事典「百度」で、韓国の韓服は中国の伝統衣装である「漢服」が起源になっていて、これは「中国朝鮮族の伝統民俗で、中国の国家級無形文化財の1つ」と中国で紹介されている。
これに憤激した教授は、韓服が韓国の伝統衣装であるという「歴史的ファクト(事実)を認め、正しい事実を中国に知らせる」と百度に抗議メールを送り、「韓国の伝統衣装」と正しく変更するように要求したという。
それに応じる相手とは思えんが、韓国隊加油!
「中国が韓服を自国のものと歪曲していると非難ばかりするのではなく、誤った主張を堂々と指摘し、正しく変えていくことが重要」と強調する教授の前途は多難だ。
中国ではいくつもの企業が韓服を中国(朝鮮族)の衣装と宣伝しているし、これを中国の伝統的衣装とするファッションショーがショッピングモールで開かれたこともある。
教授のこの言葉は韓国人の一般的な認識とみていい。
百度だけでなく、キムチや参鶏湯(サムゲタン)も中国起源だと歪曲された主張をしている。また、尹東柱(ユン・ドンジュ)など多くの独立運動家も「朝鮮族」と歪曲している。
キムチは中国文化に属するもので、尹東柱が広い意味で中国人とする主張は知ってたけど、サムゲタンの中国起源説は初耳だ。
韓国側としてはいろんな文化が「侵略されている」、「奪われている」と危機感をもつのも分かる。
個人的には韓服もキムチもサムゲタンも韓国文化のアイテムだと思っているけど、中国の説を「わい曲」と非難するつもりもない。
中立公平な立場から、それが中国起源や中国文化であることが事実と証明されたら、いつでもそういう認識にスイッチする。
中韓の争いには全身全霊で「我関せず」を貫くつもり。
でも、韓国側がこういう立場になって不快感を感じることで「茶道の起源は韓国にある」、「剣道はもともと韓国の文化だった」なんて言われる日本人の気持ちをぜひ理解してほしい。
まぁこのへんの韓国起源説は最近では減ってきていて、いまは韓国と中国の対立が熱い。
だから韓国としては海外で自国の文化が認められると安心するし、この上なくうれしい。
中央日報日本語版の記事(2021.08.24)
「韓国がキムチ宗主国」…米カリフォルニア州、毎年11月22日を「キムチの日」に制定
韓国には「熊が芸をして、カネは主人が持っていく」ということわざがあるそうだ。
努力した人が報われず、横から誰かがその利益をかっさらうという意味で、韓国の人たちはこういう行為を激しく嫌う。
*元慰安婦のイ・ヨンスさんがきょねん、自分たちを利用して寄付金を集めていた元慰安婦支援団体「正義連」をこの言葉を使って非難して韓国社会が大騒ぎになった。
韓国が国としてドラマや歌などの韓流ブームを世界中に広げたことで、韓服が注目されると、中国企業が安い韓服をつくって「Amazon」などで売り出すようになる。
海外のショッピングサイトでは、「Korean traditional dress」を中国企業が販売していることは日常茶飯事という。
韓国企業が売っている韓服は本物だけど高いから、その半額ほどの、見た目がそれっぽい韓服を購入する外国人は多い。
「熊が芸を見せて、飼い主が金を取る」の代表的な例がコレ。
日本人の立場からすると、海外によくある韓国人オーナーの日本料理店もこれと似たようなモンなんだが。
あくまで韓国側の見方では、韓服を中国の伝統衣装とする「歪曲された主張」や「文化の略奪」も許せないが、本来自分たちが得られたであろう利益を中国側に奪われることも腹立たしい。
プライドとカネの両方を奪われるとしたら、その不満の大きさは理解できる。
でも韓国人の場合、どちらかというと後者への怒りのほうが大きいのでは?
中国の雲崗石窟に行ったときこんな像を見た。
韓服に似た服を着ているこの像は5世紀ごろにつくられたもの。
こういう遺跡を見ると、韓服の中国起源説に説得力を感じる。
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