【目には目を】海外旅行のトラブル、やり返し過ぎると大事に

 

パレスチナ人は日本人が好きで、行けばフレンドリーに接してくれる。
自分の体験から前回そう書いたけど、いまは新型コロナウイルスの恐怖が世界的に拡散しているから、読売新聞の記事(3/2)のような不幸なことも起こる。

邦人女性に「コロナ」と声かけ暴行、パレスチナ人の女逮捕

 

でもこれは前半部分、声かけだけで終わる案件だった。
このパレスチナ人による暴行を擁護する気は1ミリもないけど、海外でのトラブル回避の参考にするために、この前後関係をもう少しくわしく見てみよう。

パレスチナ自治区にある民間活動団体(NGO)で活動する日本人女性2人が道を歩いていると、前から来たパレスチナ人の女がすれ違いざまに「コロナ、コロナ」と言ってからかう。
さて、海外で自分がこういう目にあったらどうするか?

程度や内容は違うけど、どこの国にも一定数のバカはいる。
ボクだったら、言われただけなら無視してそのまま通りすぎる。
大人の対応でも泣き寝入りでも、好きな呼び方をしてくれていい。

この日本人女性の場合は「コロナ」という言葉を聞いたあと、クルリと向きを変えて、そう言った女性にスマホを向けながらあとをつけた。
この人は録画する“ふり”をしただけで、実際にはしていなかったらしい。
でも、自分が撮影されていると思ったパレスチナ人は逆ギレして、その日本人の髪をつかんだり体を押したりする。
だからこの女を無視していたら、警察が動くような暴行事件に発展することはなかったのだ。

このときの映像はSNSなどで拡散していて、現地では逮捕された女への非難が殺到しているということだから、一般のパレスチナ人もこの女が悪いと考えている。

でも個人的には「コロナ」と言われたら、無視するか「うるせぇ」と言い返すだけで十分。
スマホを向けながら後ろを歩くのはなかなかの挑発行為で、これをしたら相手を怒らせて、もっとひどい事態を招く予感がしてならない。

 

 

パレスチナ人とのトラブルといえば、イスラエルを旅行中にこんなことがあった。

現地で知り合った日本人旅行者と一緒に、イスラーム教徒のパレスチナ人が運転するタクシーを利用して目的地に着くと、当然のようにぼったくり料金を言いやがる。
「いやいや、最初の料金と全然ちがうじゃないか!」ともめていたら、そのうち向こうが「これがここのルールだ。理解できないのか?おまえたちは動物だな」と言う。

これにキレた日本人旅行者がイスラーム教徒のドライバーに向かって、「ファッキン・アラー!」と言ってしまう。
「え。いま何て?」とその人を見たら、顔を真っ赤にして興奮している。
でも、ぼられたからといって、動物扱いされからといっても物事には限度があって、それは言ったら別次元のトラブルなってしまう。
このドライバーは大激怒したものの、さいわいお互い手を出すことなく何とか無事にことは済んだ。

くわしいことはこの記事を。

宗教のタブー②イスラーム教徒に「ファッキン・アラー!」と言った日本人旅行者

「ぼったくろうとするアイツが悪いんですよ」と言う反省ゼロのあの日本人は、海外に行くべきじゃなかった。

 

海外旅行に行ったら、現地の人から不快なことを言われたり、差別的なことをされたりすることもある。
そういうトラブルにあったとき、アウェーの地で直接相手にやり返すのなら、慎重に限度と内容を考えたほうがいい。
南米の国でグーグルマップを見ながらレストランを探していたら、持ってたスマホを盗られて、犯人を追いかけて追いついたものの、反撃をくらってスマホを失った上にケガまで負った日本人の話を聞いたことがある。

そんな犯罪行為でなくても、外国人をからかうような人間はもともとどこかがおかしい。
「触るな危険」という人間を怒らせると、次に何が起こるかわかったもんじゃない。

自分が被害者で、どう考えても相手が悪くても、トラブルを大きくしないためにはこちらが我慢したほうがいい瞬間が海外ではある。
寝た子を起こすぐらいなら、その場は泣き寝入りして、あとで警察に訴えるかSNSにあげるほうがいい。

 

 

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4 件のコメント

  • > 自分が被害者で、どう考えても相手が悪くても、トラブルを大きくしないためにはこちらが我慢したほうがいい瞬間が海外ではある。

    まったくその通りで、日本人はそういう点が他国人よりも賢くこなせる知恵があったと思うのですが。経済力が大きくなり豊かになって、ちょっと油断・思い上がりが出始めているのではないですかね?
    アウェイで喧嘩を売るのは、よほどの自信がない限り、単なるバカのやることですよ。下手すりゃ命が危ない。スポーツ選手なんかみんな用心してます。
    ま、長年、戦争の惨禍も経験することなく「平和ボケ」しているような若い人達(だけでもないか)には分からないのかもしれないですが。

  • 自分のしたことは都合よく棚上げして、神を悪く言われたことは怒るのですね。
    それほど神が絶対だというなら、自分の悪事が自らの背後にいる神の尊厳を貶めたのだと、そう考えて反省すればいいのに。
    そう思ってしまうのは、日本人的なものの考え方なのでしょうね。

  • 中米か南米でスマホか何かを盗られた日本人旅行者が犯人をおいかけたら、射殺されるという事件がありました。
    日本ならともかく、抵抗したら殺されるという国もあります。
    取り返す、やり返すというのはケースバイケースで、下手したら命取りになりますよ。

  • 「ぼる」の考え方が違うのでしょうね。
    あちらでは定価の文化がありませんでしたし、金持ちからは多くとるのは当然なんでしょう。
    あとから値段を変えても、「文化」と言い張って悪いこととは思わない。
    でも、宗教を否定するようなことはマズかったです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。