無人販売所と日系人:時代を越えて共鳴する「日本人の価値観」

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日本の常識は…

「日本の常識は世界の非常識」という言葉があるように、日本人にとっては当たり前のことが外国人を感心させたり、ドン引きさせたりすることがある。
かつて地球の裏側へ渡った移民たちが築き上げた信頼と、現代の無人販売所には日本人が大切にしてきた価値観が表れている。
これから、それらに共通する「日本人らしさ」について書いていこう。

外国人が驚いた無人販売所

年末年始にカナダ、バングラデシュ、ベトナム、スリランカの人たちとハイキングをした。そのとき、全員が「さすが日本人!」と感動したものがある。それがトップ画像の無人販売所だ。

代金箱があるだけで店員がいないこの仕組みは、日本各地で見ることができる。
カナダ人に英語でどう言うかたずねると、彼は黙り込んでしまった。それを表す言葉がすぐに思い浮かばないほど、これは「非現実的」なものらしい。
バングラデシュやベトナム、それと熱心な仏教徒の多いスリランカでも、自分の国でやれば野菜や果物だけが消えてビジネスにならないと言う。
無人販売所には「誰も見ていなくても盗まない」「信頼を裏切らない」という日本人の精神性が表れている。

この誠実さは、かつて地球の裏側にあるブラジルへ渡った日本人たちによって、現地でも高く評価された。

日本人がブラジルへ移住した理由

今、世界で最も大きな日系人コミュニティはブラジルにある。そのきっかけは1888年にある。この年、ブラジルは奴隷制度を廃止したことで、コーヒー農園などで深刻な人手不足になり、移民を強く求めるようになった。

一方の日本は、日露戦争(1904〜05年)に勝ったものの賠償金を得ることができなかったこともあり、不況で仕事がなく、生活が苦しい人が多かった。
こうして両国の利害が一致し、1908年に、約800人の日本人を乗せた「笠戸丸」が神戸港を出発した。この船がサンパウロ州のサントス港に到着した時から、日系ブラジル人の歴史が始まった。

「ジャポネス・ガランチード」(日本人は信用できる)

もともと「奴隷労働」の穴を埋めることを期待されたこともあり、ブラジルに到着した日本人は、想像を絶するほど厳しい労働をすることとなる。しかも、自然環境も文化も違うし、言葉も通じない。
日本人は過酷な生活に耐えて、持ち前の勤勉さで未開のジャングルを切り拓き、農業のやり方を変えていった。

知人の日系ブラジル人から、「ヨーロッパ人は南米へやってくるとまず教会を建てたが、日本人は学校を建設した」という話を聞いたことがある。
日本人は宗教ではなく教育に熱心で、日本の言葉や文化、精神を次の世代へ伝えたという。

そんな日本人を象徴する言葉が「ジャポネス・ガランチード(japonês garantido)」だ。これは「日本人は信用できる」という意味だ。
日本人の言動を見て、現地では「盗まない、裏切らない、約束を守る、熱心に働く」というポジティブなイメージができ、「ジャポネス・ガランチード」という言葉がうまれた。

今でもブラジルで日系人の客は「誠実さ」によって、店から歓迎されている。たとえば、日系人は100個を注文したら、ちゃんと100個を受け取るし、支払いの期日をしっかり守る。
日系人以外だと、当日になって「やっぱり70個しかいらない」と言ったり、支払いが遅れたりすることがあるらしい。
「ジャポネス・ガランチード」は今でも有効で、日系人は現地で信頼されている。

受け継がれる「日本精神」

日本人移民がブラジルで悪戦苦闘していたころ、台湾は日本に統治されていた。
その時代に生まれた李登輝元総統は日本式の教育を受けて育ち、「勇気・誠実・責任感・勤勉」といった「日本精神」(リップンチェンシン)を身に着け、後にその美徳を高く評価した。

統治時代に台湾へ残したもの 建物、インフラ、そして「日本精神」

「ジャポネス・ガランチード」も「日本精神」も根っこは同じで、どちらも日本人が大切にしてきた価値観だ。
現代の日本では、無人販売所を通して多くの外国人がそれ触れ、感心している。

 

参考:外務省HP「日本と 中南米をつなぐ 日系人
JICA(国際協力機構)「日系社会を入り口とした 中南米におけるビジネスチャンス

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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