低下する日本人観光客のマナー。その悪さから立ち入り禁止も。

 

海外に行って現地の人に日本人の印象を聞くと、こんなことをよく言う。

「日本人は好きだよ。マナーがすごく良いから」

日本人はホテルの部屋を汚さないし、静かに行動して迷惑をかけない。
日本人に対してそんな印象を持っている外国人は多い。
もちろん、「他の外国人と比べれば」だけど。

でも日本は世界ベストツーリストに3年連続で選ばれた実績もある。

ただ例外はある。

 

 

今年(2017年)の3月に、約20人の日本人観光客がタイのビーチで全裸になって大騒ぎをして大問題になった。

タイでは、屋外で裸になると犯罪行為とみられてしまう。
日本の公然わいせつ罪のようなものだろう。

場所も悪かった。
このビーチは「ホアヒン」という王室の保養地がある高級リゾート地だった。

しかもこの時、タイ人の添乗員が「王室ゆかりの地だから、マナーを守ってほしい」と何度も注意したにもかかわらず、この日本人はそれを無視している。

これは単に、「マナーが悪い」というレベルではない。
国際的なニュースになっている。
でも事件になったころには、この日本人は全員帰国していた。
もちろん日本では、「日本の恥!」とメチャクチャたたかれていたけど。

 

この事件に驚いたタイ人は多かった。
礼儀正しいと思っていた日本人が、まさかこんな行為をするとは思っていなかったから。

全裸で騒いでいる人たちを見たタイ人は、彼らを中国人だと思っていた。

くわしくはこの記事を↓

2016~17タイ旅行の注意点②国王の喪中は服や言動で目立たない・楽しみすぎない

 

 

日本国内に目を向けると、近年、日本人観光客のマナーの悪さがニュースになっている。

2013年には沖縄県の「斎場御嶽(せーふぁうたき)」で観光客の行動が問題視された。

「斎場御嶽(せーふぁうたき)」は琉球王国時代(1429~1879年)の聖地で、世界遺産にもなっている。
観光地であるとともに聖地でもある。

 

この場所で観光客のマナー違反が目立つようになる。
立ち入り禁止の場所に入ったり大声で騒いだりする人が増えて、地元の人たちの頭を悩ませてしまう。

そしてここを、「男子禁制の場所にするべきか?」という検討を始めた。
読売新聞の記事(2013年9月20日)から。

管理する市は「単なる観光地ではなく、神聖な場所だと理解してもらいたい」として、かつてのしきたりにのっとり、男子禁制とする検討を始めた。

世界遺産の琉球聖地、マナー悪く男子禁制を検討

 

今年の春に軽いショックを受けたニュースがある。

毎年おこなわれていた京都の「祇園白川さくらライトアップ」が今年は中止になった。
その大きな理由は観光客のマナーの悪さだ。
車とぶつかりそうになったり撮影に夢中になって川に落ちたりする観光客が出るようになって、地元で問題になっていたという。

それでとうとう今年は中止になってしまった。

これは外国人観光客のマナー違反によるものが多いけど、日本人観光客のマナーの悪さもあった。
祇園白川にある老舗旅館では、日本語で立ち入り禁止を知らせる注意書きを置いている。

「祇園白川さくらライトアップ」は27年間も続けられてきた行事で、ボクも大学時代に見に行ったことがある。
それが今年は中止になったというニュースは、ちょっとした衝撃だった。

 

そして今日(2017年7月27日 )、沖縄にある「備瀬のワルミ」というパワースポットが立ち入り禁止になったというニュースを見た。

ボクはこのニュースを見るまで、「備瀬のワルミ」という場所をまったく知らなかったけど。

 

この場所は、まずテレビや雑誌がパワースポットとして取り上げるようになった。
そしてここを訪れた人がSNSにのせたことでさらに広まる。
「話題のパワースポット」ということで、さらに多く観光客がおしよせることになってしまう。

その結果、住民大迷惑。

ある住民は「毎週観光客が捨てたごみを拾ってきた」と言い、別の住民は自宅の玄関前にレンタカーが止まっていて家に出入りするのに苦労したという。

しかもここに来る観光客のほとんどがお金を使わない。
だから観光客が増えても、地元の人にはメリットがない。

なかには観光客から、撮影のために洗濯物をどけるように言われた住民もいる。

その結果、このスポットはとうとう立ち入り禁止になってしまう。
沖縄タイムスの記事(2017年7月27日 )を読む限りでは、住民の怒りは簡単に収まりそうにはない。

地元住民は「最低限のマナーが守られ、一定のルールがつくられない限り解除はできない」と訴える。

沖縄のパワースポット「備瀬のワルミ」 立ち入り禁止に 理由はやっぱり・・・観光客マナー

 

「祇園白川さくらライトアップ」の中止や備瀬のワルミの立ち入り禁止も理由は同じ。
観光客のマナーの悪さが大きな原因になっている。

でも観光客のマナー違反から、イベントの中止や立入禁止になるのはこれで終わりではないと思う。

国内で「日本人観光客のマナーが良くなった!」なんてことを聞いたことがない。
「どんどん悪くなっている」ということしか聞かない。
「これからはマナーが良くなる!」という要素も見当たらない。

これからも観光客のマナーの悪さから、中止や禁止が増えそうな予感がする。

それにしても、なんで日本人のマナーは低下してしまったのだろう?

 

 

こちらの記事もいかがですか?

「世界ベストツーリスト」の日本人が、外国でしてはいけないこと。

韓国人と中国人が驚いた日本人のマナーの良さ。これは大切にしよう。

外国人の「日本人あるある」。またかよ!と思わせる5つの質

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

 

8 件のコメント

  • もともとマナーは悪かったのだと思います。ただ観光客が増えたのと昔の行政は苦情を言っても動かなかったので対処しなかったのではないでしょうか。 ゆとり世代が成人し観光しだしたのも大きな原因でしょう

  • たしかにそうかもしれませんね。2~30年前にSNSやインスタグラムがあったら、同じことをしていたと思います。
    東京オリンピック前の日本人のマナーはけっこう悪かったと聞いたこともあります。
    日本人の中身は変わってなくて、環境の変化のせいかもしれません。

  • 私は日本に住んでる11年間の外国人ですが、昔の日本と比べて、今の日本人のマナー悪さがピッカ一と思います。目の前に妊婦も老人もいる状況でも優先席で堂々に座ってる若い日本人男女性。妊婦の前で電車席を無理やり奪う人。ベビーカー押してちょっと階段があるから、若い男性に声かけて”ちょっと手伝えて貰いませんか?”走って逃げる日本人。日本人は多分また自分の国が世界一マナーがいいの幻想の中に目が醒めないかもしれません。事実を見て、今世界の中でも日本人のマナーが悪いのは有名です。

  • コメントありがとうございます。
    耳の痛いご意見ですが、それはきっと当たってますね。
    わたし自身、レストランやカフェでマナーの悪い人を見ます。それは増えていると思います。
    レストランで予約しても連絡なしでキャンセルする人も増えているとききました。
    なんとかしないと、ですね。

    ところで、「今世界の中でも日本人のマナーが悪いのは有名です。」という部分に興味を持ちました。
    この記事を書こうと思っていましたので、どこでそういう声があるかサイトなどを教えてもらえませんか?

  • はじめまして。
    定期的に臺灣に滞在しますが、ここ数年、日本人観光客の態度が本当に悪くなりました。(日本人の私が言うのもなんですが・・・)
    夜市で騒ぐ日本人集団をはじめ、時折、民視や東森新聞など取り上げられる『日本人による』痴漢、盗撮などの犯罪など。何しに臺灣に来るのか理解に苦しみます。犯罪以前に、こういった人達は良し悪しを理解出来ないほど思考が低下してしまっているのか、あるいは・・・。

    それと帰国の折、最近JR駅構内で頻繁に耳にする『困った人を見かけましたら、お声がけするようご協力をお願い致します』のアナウンス。そこまで呼びかけながら、一向に協力し合う素振りも示さず、スマホばかりに夢中になる今の日本人。

    こうして見ると、かつての『範を示す』日本人気質は凡そ衰退してしまったのかも知れませんね。

  • はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    以前、「臺灣の痴漢」についてネットで調べたところ、日本人による犯行の記事ばかり出てきて驚きました。
    本当に何しに行っているのか。
    ところで、臺灣では痴漢は社会問題にならないのでしょうか?
    そのことについて記事を書こうと思っていまして、情報を探していました。

    他人に冷たい日本人については、ちょうど今日記事を書きましたので、よかったらご覧ください。
    【144カ国中142位】昔から他人に冷たい、関わりたくない日本人
    https://yukashikisekai.com/?p=84356

  • 個人的には、多くの日本人はマナーがいいのではなく、形式的にルールを守っているだけなのではと考えています。それも周囲から浮くのが嫌というだけの理由で。

    ネットで暴言や失礼な態度ばかり取る人たちに、なぜそういうことをするのか聞いてまわった時期があるんですが、驚くほど反応が似ていたんです。「ネットだから当然だ」「言いたいことを言って何が悪い」「とやかく言われる筋合いはない」「何様のつもりだ」。何様も何も、暴言吐かれたの私なんですけどね。こっちは言葉を選んで聞いてもいるし。
    で、本当にネットだけなのかと思い周囲の人間にじっくり話を聞いてみたら、これまたそっくり同じ反応で怖くなりました。普段おかしな言動を取っている人たちではないのに、ちょっと掘り下げて考えを聞こうとしたとたん、まるで悪口でも言われたように過剰な反応をしてきたんです。中には雑談のつもりで時事問題を軽く取り上げて「どう思う?」と聞いただけで「何様のつもりだ」と突然わめき出した人までいます。

    マナーの意味や目的を本当に理解していたら、ネットだから、などという理由で他人に横暴を振るうはずがありません。他人が嫌がっているのに、言いたいことを言って何が悪い、などと言って失礼な発言をやめない人が礼儀正しいはずがありません。普段やらないのは人目を気にしているからで、ネットや海外など他人に叩かれる心配が薄くなったとたんに普段の形式がすっぽ抜ける。そして他人が迷惑行為をしているのを見ると今度はそれがその場のルールであるかのように真似し始め、注意されても「他の人もやっているのに自分が注意されるのはおかしい」などと言ってやめない。自分の考えがなく、右へならえばかりし、それをマナーと呼んで安心してしまう。そんな薄っぺらいルール意識が日本人の「マナーのよさ」の正体なのではないか。過去数年いろいろな人と接してみての、これが私の結論です。

    正直、極論と受け取る日本人が多いでしょうが私は突飛な考えだとは思っていません。外国人の友人たちからも似たような意見を聞いたことがあるからです。日本人は礼儀正しいはずだ、日本人が日本人を悪く言ってはいけない、みたいな変な思い込みさえ取り払えば、割と自明ではとも思います。
    少なくとも、日本人は礼儀正しいはずだ、などと日本人が思ってはいけないと思います。それが思い上がりからの堕落の始まりかもしれません。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。