【見栄と平等】日本人を知る韓国人が感じた価値観の違い

世界最高峰の車とも言われるロールスロイス。
韓国メディアによると、その高級車の今年上半期の販売数では韓国が日本を上回った。
また、メルセデス・ベンツの大型セダンも日本より韓国で多く売れている。
韓国の人口が日本の約４割ということを考えると、韓国での高級車の売れ行きは控えめにいってかなりスゴイ。
でも、このニュースに対して、韓国のネットでは「世界10位圏内の経済大国にふさわしい」といった自画自賛よりも、「韓国人は本当に見栄っ張りだ」という自嘲的な声が多かったらしい。

韓国の人々には、他人から注目されるような車を好む傾向がある。
だから、日本と同じように税金が安くても、小さくてかわいい軽自動車や小型車の売れ行きはイマイチだ。

ハンギョレ新聞（2023-06-20）

「見栄え」重視の消費者と「収益」重視の自動車メーカー…「小型車」消える韓国

中型や大型が韓国で売れる理由には、国民が経済的に豊かになったこともあるが、韓国のある車メーカーの役員はこんな消費者の心理を指摘した。

「韓国の消費者は『降り心地』（他人に見られるもの）を重視しているため、小型車市場が成長できなかったのもある」

高級車やカッコイイ車から降りた時に、他人から羨望や驚きのまなざしを浴びたいーー。
韓国でこんな願望は”消費者真理”でもある。

２年ほど前に、日本の会社で働いていた20代の韓国人男性と話をしていた際、車の話題になった。
彼に韓国で軽自動車の人気が低い理由を尋ねると、まず韓国では軽自動車は男性だけでなく、女性からも避けられる傾向があるところが日本と違うらしい。
日本人の性格や考え方を知る彼の見方によると、価格や税金の安い軽自動車について日本人は「お得だ！」と喜ぶけど、韓国人は周囲から「アイツは金がない」と思われることを気にする。
だから、収入を考えると、特に男性は冒険と言っていいほど高い車を買いたがり、メンツを維持することができるなら、「カップラーメン生活」でも耐えることができる。

「世間体」という日本語があるように日本人も他人の目を気にするけれど、彼からすると、日本人は平等を重視するため、目立たないように「普通」に合わせようとする。
一方、自尊心を重視する韓国人は「平均的」に満足しないで、もっと上のポジションを手に入れて、他人から認められたい、称賛されたいと考える。

日本人は他人より目立つことを嫌う。
外見や経歴で相手を軽視することは少ないから、「収入に見合わない物を買わなくていい」「無理してがんばらなくていいんだ」という安心感を感じる。
彼が日本に来てから感じたことに、そんな解放感があった。
でも、同時に日本人はその居心地の良さに安住しているから、韓国人のような「がんばって上を目指す」「何としても成功する」というハングリー精神に欠けているように見えるらしい。
彼は韓国の名門大学を卒業していて、率直に言うと、日本では自分がキャリアにふさわしい敬意や扱いを受けられないことに、ガッカリ感を抱くこともあるという。
ロールスロイスを所有しているような韓国人が日本へ来たら、同じような不満を感じるだろう。

韓国では「見栄え」が重要視されるから、超競争社会となり、若者の自殺などの問題が引き起こされることもある。
でも、短所を無くそうとすると同時に長所まで失ってしまうから、いろいろな批判はあっても、韓国人の価値観は基本的には変わらないし、社会の競争は相変わらず激しいですよと彼は言う。
「人並み」が重視される日本でも、個性がないとか、才能を伸ばすための教育を受けられないといった批判が昔からある。それでも、社会全体的としてはあまり変わっていない。
これもコインの裏表と同じで、短所と長所が一体化しているからだ。
日韓の交流が盛んになって、多くの人が互いの良さに気付くようになると、人々の意識や社会も少しずつ変化するかも。