友人に、日本の小中学校で3年間英語を教えていて、いまは韓国人男性と結婚してソウルに住んでいるアメリカ人がいる。
ソウルの小学校で英語を教えていたけど、いまはコロナでほぼ休みの状態で「すっごくヒマ」と言うのを聞いて、このまえスカイプで話をしたからこれからその内容を紹介しよう。
ただこれはそのアメリカ人の個人的な見方なので、韓国にいる全アメリカ人を代表するものじゃないので、そのへんはご理解のほどよろしく。
・日本との違い
韓国人は自分の国に強い愛情やプライドを持っている。
子供や同僚の教師から、「韓国は5000年の歴史をもつ国」と聞いたのが印象的だった。
日本の学校で働いたときは、生徒や教師から自国に対する誇りのようなものは特に感じなかった。
でも韓国では、歴史的建築物の保存がザンネン。
色のぬり方や修復の仕方が大ざっぱだから、古い建物なのにあまり歴史や伝統の重みというものを感じられない。
有名ではないお寺ではメンテナンスや掃除が行き届いていないから、なんか雑で汚く感じることがある。
(これは食堂や庶民的な建物も同じ)
でもほかの外国人にきくと「これが普通じゃない?特に気にならない」と言う。
だから韓国は標準的で、日本人の清掃へのこだわりや古い建物を保存する技術がすごいのだと最近は思うようになった。
実際、日本の基準を当てはめると出身地のニューヨークも雑だし汚いと思う。
韓国のお寺のマークは日本と同じ「卍」
・風水を気にする韓国人
程度の差はあるけど、風水を気にする人が多い。
特に家を建てるときや引っ越すときには、風水でその位置を確認する。
学校の同僚が新しいアパートへ移る前、「北側に山の見えるところがいい。運気が山からおりて部屋に入ってくるから、風水的にはそういうところが最高」という話を聞いた。
その同僚が学校にほどほど近く、月々の賃料も良さそうな物件を見つけ、そのアパートの山に面した部屋にきめようとしたら、そこには追加料金が必要だと言われる。
親に相談したらお金を出してくれたから、安くない額のお金をプラスしてその部屋へ入居した。
アメリカ人の自分にはよく分からんけど、同僚は毎朝、運気が部屋に流れ込んでいるような気がするという。
本人が幸せならそれでいいと思う。
・韓国の迷信
自分たちの結婚式の日は、夫の母親が相談した寺のお坊さんが指定した日になった。
そのアメリカ人が「テンプル」や「プリースト」という単語を使うから、男性の仏教僧かと思ったらそれは女性だという。
「韓国にも尼がいるのか。でもって、その尼さんが結婚式の段取りをきめたのか」というのはこちらのカン違いで、よくよく話を聞くと仏教僧ではなくて巫女(みこ)の「ムーダン」だったでござる。
ムーダンとは霊能者や精霊使いで、「クッ」という独特の儀式を行って人に害悪をもたらす悪霊をはらうという。
韓国の巫女(ムーダン)
たぶん「クッ」を行っているところ
義母は迷信深くて、よくムーダンに仕事や人生の相談をする。
もし自分たちに子供が生まれて韓国人の名前をつけるなら、きっと義母がそのムーダンの意見を聞いて、その通りの名前をつけると思う。正直憂うつ。
夫は宗教にあまり関心はなくて、ムーダンに依存する母親を不安に思うときもあるけど、止めることはできない。
自分もムーダンの話はどうも信用できないから、義母にはムーダンともう少し距離をとってほしいと思うけど、実際にはどうすることもできない。
アメリカ人は子どものプライバシーや権利を尊重して、両親はあまり口出ししない。
でも韓国社会はこの点は大きく違っていて、子どもは親に頭が上がらないし、親は生活のいろんなことでよく口を出してきて、子どもはそれに従うことが多い。
19世紀末、朝鮮半島を旅行したイギリス人女性のイザベラ・バードは現地の人たちの様子をこう書いた。
朝鮮人は自分を苦しめる災難をすべて鬼神のたたりに結びつける。取り引きの失敗、官僚の悪行、慢性・急性の病、貧困、地位や権力の失墜といったものは鬼神の悪意から生じるのである。
「朝鮮紀行 イザベラ・バード(講談社学術文庫)」
風水は分からないけど、ムーダンが扱うのはまさにこの領域。
そんなムーダンは全国にいるし、韓国人なら誰でも知っているような存在だから、いまでも鬼神や悪霊を不安視する人は少なからずいるのだろう。
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