反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」

 

最近のできごと

アメリカの巨星、落ちる。

マクドナルドのビッグマックは、「スライスパン」以来となるアメリカ料理の大発明だったという。

その生みの親が亡くなった。

12月1日のAFPの記事から。

米国のファストフードハンバーガーの代名詞「ビッグマック(Big Mac)」を考案したマイケル・デリガッティ(Michael “Jim” Delligatti)氏が11月28日、ペンシルベニア州(Pennsylvania)ピッツバーグ(Pittsburgh)郊外の自宅で死去した。家族が明らかにした。98歳。

ビッグマックはビーフパティ2枚とレタス、チーズ、ピクルス、オニオンに特製ソースをかけ、バンズ3枚で挟んだ2段ハンバーガー。

米国の料理としてはスライスした食パン以来、最も記憶に残る発明と評される。

「ビッグマック」の生みの親マイケル・デリガッティ氏死去 98歳

彼の功績をたたえる追悼記念として、「ビッグマック100円キャンペーン」でもしてくれないかな?

 

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これは、タイの「サムライバーガー」。

 

前回、海外のインチキ日本料理と本物の日本料理の違いについて書いた。

この違いをはっきり分かるのは、意外と外国人かもしれない。

母国でアヤシイ日本料理を食べてから、日本で本物の日本料理を食べるとその味の違いにビックリすることがある。

 

高級な日本料理ではなくて、ファストフードのような日本食でも日本と海外のものは違うという。

「大阪のたこ焼きを食べて、本当のたこ焼きの味が分かりました。韓国のたこ焼きはなんだったのだろう?と思ってしまいます」

そんなことを言っていた韓国人もいる。

 

海外旅行に行けば、外国で「なんだこりゃ?」と言いたくなるようなヘンテコ日本料理を見ることは珍しくない。

オーストラリアでワーキングホリデーをしていた知人は、韓国人が経営する日本食レストランで働いていた。

そのレストランで出していたのは、日本人から見たら噴飯もののデタラメな日本料理だったけど、従業員として給料をもらっていた彼女は何も言えなかったという。

「こんなものは日本食じゃないのに・・・」という罪悪感をかかえながら、その日本食もどきを客に運んでいた。

 

最近では、海外のデタラメ日本料理を紹介するテレビ番組もあるから、それを見たことがある人も多いと思う。

 

「この現状は放っておけない。インチキな日本料理をなくして、本物の日本料理や正しい日本の食文化を伝えないと!」

ということで、2007年に日本政府が動き出した。

それが、「日本食認定制度」というもの。

農林水産省のHPを見ると、「海外日本食レストラン認証について」というページができていました。

海外においては、日本食レストランと称しつつも、食材や調理方法など本来の日本食とかけ離れた食事を提供しているレストランも数多く見られます。

このため、海外日本食レストランへの信頼度を高め、農林水産物の輸出促進を図るとともに、日本の正しい食文化の普及や我が国食品産業の海外進出を後押しすること等を目的として、海外における日本食レストランの認証制度を創設するための有識者会議を設置します。

水産省が海外日本食レストラン認証に動き出した

「日本の正しい食文化の普及や我が国食品産業の海外進出を後押しすること等を目的として」という部分には、ボクも賛成。ぜひ、やってほしい。

 

このアイデアのきっかけは、当時の農林水産大臣だった松岡氏のアメリカでの経験だったらしい。

松岡氏が出張でアメリカに行ったときに訪れた店が、韓国風の焼肉と寿司を一緒に出していたことに「これは本当の日本食ではない」とガッカリした。

そのガッカリ経験から、正しい日本食を世界に広めようと「認定制度」を打ち出したらしい。

 

この認定制度とは、日本政府が「ここは正しい日本食を出している」と認めたレストランには、日本政府が「お墨付き」を与えるというもの。

フランスの店を例にとると、次のようにおこなわれた。

パリの場合、複数の覆面スシポリスが店を訪れ、日本的な店舗や雰囲気、日本料理の有資格者の有無、メニューに日本食としての質や多様性があるか、米やしょうゆ、酒が日本製か、それと同等の品質か、など18項目に及ぶ基準を点数化。そして50点満点で7割以上取得した料理店を「日本食レストラン」として推奨している

「ここが変だよ寿司ポリス」 NEWSWEEK日本版 2/14号

でもこの試みは失敗に終わる。

 

「日本の政府が正しい日本料理をチェックする」というやり方が、多くの外国人の反発を招いてしまった。

しかし、「日本政府が認めない店は和食と名乗らせない」と言わんばかりの制度に、「グローバル時代に料理を定義する権利が政府にあるのか」と欧米メディアは激しく反発。

日本食を審査する覆面審査官は「スシポリス」と呼ばれているらしい。

「ここが変だよ寿司ポリス」 NEWSWEEK日本版 2/14号

この「スシポリス」という覆面の日本食審査員が、先ほどの記述の「パリの場合、複数の覆面スシポリスが店を訪れ」という文につながる。

このやり方だけではなくて、「世界の間違った日本食をなくして、正しい日本料理を広める」という考え方も批判を招いた。

 

これについては、ボクもイギリス人からこんな反論を受けたことがある。

「日本人は、外国人に好き勝手に日本食を変えるな」というけれど、それをしているのは日本人ではないか?

たとえば、「明太子スパゲティ」や「ナポリタン」はどうなんだ?
イタリアにそんなスパゲティはない。
これらは、日本人が勝手につくったイタリア料理だ。

「そんなインチキイタリア料理を出す店は、イタリア料理店を名乗るな!」と言われたら、看板を下ろすのか?

 

日本人は、日本人に合わせてイタリア料理を自由に変えているのに、それと同じことを外国人がしたらなんでダメというのはおかしい。

 

これを聞いたときは「なるほどなあ」と納得。

日本人が明太子スパゲティやナポリタンをつくったら「創意工夫」で、外国人がチョコレートの寿司やマンゴーの寿司をつくったら「インチキ日本料理」と非難するのはおかしい。

そう言われたら、うまい反論が見つからない。
確かに、ご都合主義かも。

 

日本人は、中国料理も好き勝手に変えている。

知り合いの台湾人は、名古屋に行ったときに初めて台湾ラーメンというラーメンがあることを知ったという。
台湾に、台湾ラーメンなんてない。

天津飯もエビチリも日本で生まれた中国料理で、中国にはなったものだ。

 

外国の料理を日本人が好むように変えるのは、日本人がしてきたこと。
むしろ、その創意工夫は日本人のお家芸でもあった。

 

「日本人は外国の料理を好きなように変えているのに、外国人が日本料理を変えるのは許さない、というのはフェアではない」と、アメリカ人の友人からも言われたことがある。

これも、反論に窮する。

 

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そうかといって、この写真のような「ヴィシュヌライス」なんていうワケの分からない料理が「日本食」として提供されているのを見たら、日本人として「おい、ちょっと待て」と言いたくはなる。

う~ん、難しい問題だ。

 

 

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4 件のコメント

  • 明太子スパやナポリタンをイタリア料理としている日本人はいないと思います。それらは日本の洋食ですから、イギリス人の方の指摘はその点では的外れかもしれません。寿司を改造する事が問題ではないのは、牛肉やらを使った寿司が普通にある日本ですから。ほんとうに食中毒だけはやめて欲しい。酷い風評被害になります。

  • もちろん、日本人とイギリス人は考え方がちがいます。
    「イタリア料理」と書いてある店で明太子スパやナポリタンを出していると、そう思うと思いますよ。
    ボクは日本人による創作イタリア料理と思ってます。日本料理店にあるメニューではないですね。

    最近、回転寿司の店に行きましたが、ローストビーフの寿司とかあって驚きました。
    ホント、食中毒はかんべんしてほしいですね。

  • インチキな日本料理を日本料理名乗るのはおかしい。
    明太子スパゲティとかナポリタンが創意工夫料理と言われるならインチキ日本料理も創意工夫のオリジナル料理と言うのが正しい。
    それこそ日本人が日本で生まれた洋食を日本食と言うようにその国特有の呼び方にすればいい。
    こちらは創意工夫で生まれたものを元の国の名称では呼ばないけど海外では勝手に日本の名前を使っておいて日本料理の定義を押し付けるなとはそれこそフェアじゃない。

  • いま農林水産省がちゃんとした日本料理をだす店には認定証をわたして、正当な日本料理の普及をめざしています。
    郷に入っては郷に従えで、現地では現地の法律や価値観が優先されるのは仕方ないですから。
    でもインチキ日本料理と食べ比べることで、本物の日本料理の良さを知ったという外国人もいます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。