【がんばりすぎ】海外と日本の学校・先生の違い

 

隣国さんは、良くも悪くも日本をライバルとして強く意識している。
だから、韓国のメディアの報道を通じて、日本についていろいろな情報を知ることができる。
朝鮮日報によると、日本の高校生の学力はいまウナギ登り中だ。(2023/12/17)

日本の高校生「読解力」が世界15位から3位に急上昇、その理由とは

経済協力開発機構(OECD)が進める国際的な学習到達度調査(PISA)で、日本が大躍進した。
たとえば、読解力で前回の2018年は15位だったのが、今回は81カ国のうち3位と大幅アップ。
数学的リテラシーも5位(前6位)、科学的リテラシーも2位(前5位)と上昇している。

韓国メディアも注目する日本躍進の理由は何なのか?
コロナ禍の期間中、世界の多くの国では学校が閉鎖されたり、オンライン授業に移行したりして、子どもたちがしっかり学ぶことはむずかしい状況にあった。
そんな中、日本は休校を最小限におさえ、子どもたちが学校で学べるように取り組んだことで、成績が急上昇したという。
3カ月以上の休校があった学校の占める割合は、OECDの平均で50.3%だったところ、日本は15.5%ととても低い。
ちなみに、その割合はドイツ(71.3%)やオランダ(63.7%)などヨーロッパの国で高かった。

日本の学校は休校したとしても、校内の図書室を開放したり、学習プリントを配ったりすることが多かった。
総合的に見ると、日本の先生たちは海外に比べ、子どもたちが学習できる環境を整えたり、その機会を提供しようとしたりする気持ちが強い。
つまり、超がんばったってことだ。

 

台湾の中学校

 

外国人の話を聞いていると、日本の先生は本当に熱心だとよく思う。
これは彼らの個人的な意見だから、どこまで一般化できるか分からないが、以下、ボクが聞いた話を紹介しよう。

その中で特に驚いたのは、メキシコとカンボジアの話。
ある日、いつものように学校へ行いくと、先生が教室へ入ってきて「きょうは○○先生は来ないから、好きに過ごしていいゾ」と理由は説明しないで、結論だけを子どもたちへ伝えた。
すると、子どもたちは「ヒャッハー!」となって、そのまま帰る子もいれば、グラウンドでサッカーをする子もいて、本当に好き勝手なことをはじめる。
知人のメキシコ人とカンボジア人はそんな感じに、先生が授業をドタキャンすることを何度も経験したと言う。

日本の中学校で英語を教えていたフィリピン人も、中学生のころ、同じようなことがあったと話していた。
日本の常識からするとツッコミどころが多すぎて、マンガみたいな展開だけど、このぐらいのテキトーさは、「発展途上国の学校あるある」で珍しいことではないと思う。

 

では、先進国の先生たちはどうなのか?
30代のイギリス人が中学生だったころ、ある日、教室で先生から「○月○日から○日まで、ストライキを行います。その間、学校は閉鎖されます」といった内容のプリントを配られた。
もちろん、自習用の学習プリントを配布することはなく、その間の学びは保障されない。

イギリスでは、教師によるストが今年もあった。
BBCの記事(2023年2月3日)

イギリスで教師30万人がスト 子供たちと親の反応は?

ある母親はストの日に娘と過ごすために、職場から休みをもらったと話す。
親たちは、自分たちは子どもの対応で大変になるが、教師のストライキには理解を示す。
教師には労働環境や賃金を改善する権利がある。それに、ほかの労働者がストを行っているのに、教師にはそれが認められないのはおかしいといった理由から、ストも仕方ないと受け入れている。

もし、日本で30万人の教師が賃金アップのために、一斉にストを行うと宣言したら、きっと空前絶後の騒ぎになる。
だから、そんなことは許されないが、労働者の権利が尊重されているイギリス社会なら、「あるある」だ。
ヨーロッパで多くの学校がコロナ禍で休校になったのも、先生たちの労働環境や権利を守るためだったのでは?

 

日本の小中学校で英語を教えていたアメリカ人は、夏休みや冬休みに、教師がたくさんの宿題を出すことにビックリしていた。
アメリカの学校では夏休みが2か月半もあるのに、先生は宿題を出さないという。
子どもたちの休みの過ごし方は家庭の責任で、学校は基本的にノータッチ。
だから、バスケやサッカーなどの運動をしたり、音楽や美術などの芸術を学んだりするサマーキャンプが人気で、各家庭が予算や休みなどを考えて子どもたちを参加させる。

そのアメリカ人は、日本の先生が全生徒に休みの間の宿題を用意することを知って、責任感の強さに感心した。
ただ、「夏休み日記」に起きた時間や家の手伝い、その日にした勉強などを書かせることについては、学校が子どもや家庭の生活に入り過ぎていると批判的だった。

 

ということで、海外に比べると、日本の先生はふだんから熱心に教育に取り組んでいる。
だから、コロナ禍でも、できるだけ学校を休ませず、図書館を開放するなどの工夫をして、子どもたちが学ぶ権利を確保しようと努力した。
それが、国際的な調査での日本の躍進につながった。
しかし、これはそのまま過重労働につながるから、日本の先生はこれ以上がんばらなくていい。
カンボジアやメキシコみたいにユルイのも、イギリスみたいに権利を強く主張するのも日本には合わないから、その中間で適度にリラックスしながら仕事をしてほしい。

 

 

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4 件のコメント

  • 本文とは違いのある質問で申し訳ありませんが、夏の甲子園大会を見ながら韓国人として気になることがあって質問します。韓国では実業系高校ではなく人文系高校に進学する学生の目標は大学進学です。しかし甲子園大会を見ると、甲子園大会に出場するために勉強よりは野球をもっと熱心にする選手が大多数ですが、勉強はいつしますか?
    勉強する時間に野球訓練をすれば大学に合格するのが難しいと思いますが、保護者の方々は子供たちが勉強の代わりに野球をしても制裁しませんか?韓国の教育風土で日本の甲子園大会は理解できません。

  • 日本の大学にはスポーツ推薦があるから、甲子園で活躍すれば、簡単な試験で大学へ行くことができます。
    そういう高校生にとっては試合の実績が勉強の成績になりますから、一般的な勉強はあまりする必要がありません。
    韓国ではスポーツ推薦はなくて、一般の受験生と同じ条件で試験を受けないといけないのですか?
    日本の感覚だとそれは驚きです。

  • 韓国にももちろん体育特技生入学制度があります。 しかし韓国の場合、高校までスポーツをする子供たちは学業は形式的にしています。 実際にはプロ選手になるために専攻するスポーツ分野に集中します。 それで、プロに進出できない選手たちが大学に進学し、4年後に再びプロドラフトを目標に運動するシステムです。
    しかし日本の場合、野球選手たちは韓国のように選手全員が野球を専攻するのではなく、部活動の一環としていると知っています。 それだけでなく、一般の学生たちも多様な分野の部活動をしていると知っています。 そんなに勉強をする時間を他のところに投資したら入試勉強はいつしますか? 大学に行かなかった学生たちの卒業後の進路はどうなりますか? ちなみに韓国の高校生の大学進学率は80%を超えています。

  • 「野球を専攻する」という部分がよくわかりませんが、日本でも大学に進学して、それからプロを目指す人も多いです。
    日本の入試は韓国ほど厳しくないですし、部活動をする余裕はあります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。