【真逆かよ】日本の学校の“説教”で、アメリカ人が驚いたコト

 

日本へやってきて小中学校で英語を教えた後、迷った末に母国へ帰ることになって、いまはたまに、タイ焼きをなつかしく思っていながら暮らすアメリカ人の女性がいる。
まえにそんな知人に日本の学校や教育について聞くと、アメリカとは真逆の見方や考え方があったから、それがとても印象的だったという。
そのカルチャーショックが本日のテーマだ。

 

あるとき小学校で、子どもが女性教員に怒られているのを見かけた。
そんな光景はアメリカで何度も見てきたし、世界中の学校であることだからいいとしても、児童の反抗的な態度がちょっと気になる。
あとでその先生と話す機会があってそのことにふれると、「そういうところもあるけど、あの子は基本素直でいい子ですよ」と先生はニコニコして言う。
それを聞いて、自分が気づかないだけで、あの子どもとこの先生には深いコミュニケーションがあったのだなと思うアメリカ人。
ただ、あのとき子供は教師の目を見ないで下を向いていたから、彼女には反抗的に見えた。
そう話すと日本人の先生はビックリする。

「それは子どもが反省している様子だと思うけど、アメリカだと反抗的な態度になるの?」

彼女の知る限り、アメリカでは叱られている子供は教師の目を見ることが常識的で、目をそむけることは、納得や同意ができないという意思を表す。
でもその日本人の先生からすると、そうやって子どもに正面から見返されると反抗的に感じる。
ちゃんと目を合わせないと言っていることが伝わらないと思うけど、日本の先生は逆で、怒っている大人の目を見ることを強要すると、子どもは威圧感や恐怖を感じて話の内容が入ってこなくなくなるからそれはよくないという。
子どもが自分の言動のどこがどう悪かったのかを考える機会がなく、ただ「とても怖かった」という恐怖をあたえるだけになったらまったく意味がない。
そう聞いて「ならやっぱり、相手の目をしっかり見るべきでは…」といまいち腑に落ちないアメリカ人。
*ここでの話はゼロか100ではないから、児童生徒にしっかり自分の目を見ることを要求する先生もいる。ただ、話をするのではなくて、聞いている時はうつむいている子どもが多いと思う。

最適解は文化によって違うから、どっちが良い/悪いということじゃない。
アメリカにも地域によっていろんなカルチャーギャップはあるし、彼女は日本で「こっちへきて」を表す手招きのジェスチャーがアメリカとは反対と知って驚いた。
日本では手のひらを下にして指を動かすけど、アメリカやヨーロッパでそれは「あっちへ行け」の意味になってしまう。手のひらを上にすると「ちこう寄れ」になる。
日本人の友人から、欧米式の手招きをされると、なんか偉そうな態度に見えてとイラっとすると聞いてビックリした。
満腹になって「食った食った~」とお腹をさする日本人の動作は、アメリカでは「わたしはいま妊娠しています」という意味になるし、こんな違いをあげたらキリがない。
相手の目を見る/そらすも同じで、国によって考え方が変わるのも異文化あるあるのひとつ。

 

そんな経験をした知人の考えでは、こんな見方の違いを生む原因は、日米ではアイコンタクトに対する考え方が根本的に違うから。

日本の学校では朝、子供に「グッモーニン」とこっちが笑顔であいさつをすると、「おはよーございます」とお辞儀をして通り過ぎる子どもがよくいる。
先生と子供がわりと対等なアメリカならこんな場合、「ミスター〇〇、おはよーございます」と児童生徒がしっかり教師の目を見てあいさつを返す。
なんなら、「そのシャツはあなたにすごく似合っているよ」と子供が言っても特に問題はなく、先生としては、相手が自分に親しみを感じているということだからむしろ嬉しい。
でも日本の学校では、特に日本人の教師だと児童生徒は一瞬目を合わせて、「おはよーございます」と言いながら頭を下げて通りすぎるケースがほとんど。
すぐに視線をそらされるから、そのアメリカ人はちょっと心に痛みを感じたらしい。

日本では目上の人が相手なら、アイコンタクトを避けるほうがマナーや礼儀としては正しいというのは理解できるけど、アメリカで生まれ育った彼女がその感覚に慣れるには時間がかかった。
学校で教師に向かって「そのシャツ似合ってるね」なんて言う児童生徒がいたら、その先生は主任に呼ばれて「オマエさあ、もうちょっと子どもと距離を置けよ」と注意される予感。

 

世界的にみても日本には目を合わせるよりも、避けようとする文化が発達している。
外国人に日本の情報を提供する下のサイト「Arigato Japan Food Tours」では、アイコンタクトを避けることは日本人にとっては「尊敬と謙遜の表れ」と説明している。
*西洋社会と反対だから、日本では注意しろと言っているのだろう。

特に相手が自分より年齢や地位が高い場合、その人の目をじっと見ることは失礼になる。
相手の目を見ることは対決(対立)や自己主張とみなされるから、調和、集団主義、礼儀を重んじる日本の文化では必ずしも適切ではないという。

More specifically, looking someone in the eye is seen as a sign of confrontation and assertiveness, which is not always appropriate in a culture that values harmony, collectivism, and politeness.

JAPANESE BODY LANGUAGE: A GUIDE TO NONVERBAL COMMUNICATION IN JAPAN

 

だから、目上の人と話す時はまっすぐ相手の目を見ないで、視線をちょっとずらして目の下のあたりを見るのが、日本では謙虚さや尊敬の表れだと上のサイトはいう。

相手との関係性や状況によって違いはあるとしても、アメリカ人に比べると日本人は視線をそらすことが多くて、それが文化的には相手への「リスペクト」になるから好意的に見られがちだ。
でもアメリカ人からすると、それは反抗的であったり、何かを隠しているような不誠実な態度に見えて不快に感じることが多い。
そのへんの文化の違いを知らずに、日本の学校で怒られている子どもがアメリカ式の誠意の見せ方をすると、それが新しい説教ポイントになるかも。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。