きょう4月17日は「なすび記念日」。
417で「よいなす」という語呂合せと、なすびが好きだった徳川家康の命日がこの日だったということで、冬春なす主産県協議会が記念日に制定した。
ということで今回は、懸賞生活ではないほうのなすび、日本文化とナス(なすび)について書いていこう。
個人的な経験からだけど、「一富士、二鷹、三茄子」とお盆の「精霊馬」という日本文化は、発想が分かりやすいけど表現は日本独特だから、欧米人やアジア人などいろんな外国人が好きそうな発想や表現だとおもう。
なすびの原産地はインドやアフリカという説が有力だけど、この野菜が人類の歴史ではじめて記録されたのは中国。
北魏の賈思勰(かしきょう)が6世紀に書いて、のちの中国の農業・料理の発展に大きな影響をあたえた農書『斉民要術』(せいみんようじゅつ)になすびの記述がある。
記述は主穀、蔬菜類、果樹、桑麻などの栽培法から畜産関係や麹・酒・醤・酢・乾酪などの醸造法、食品加工法,外国の物産論に及ぶ。体系的で叙述も厳密、精細である。
斉民要術は世界最古の農業専門書というから、この国の食と歴史の深さはすごい。
日本では、長屋王が住んでいた住居跡から『奈須比』と書かれた木簡が発見されたり、正倉院文書に「天平六年(734年)茄子十一斛、直一貫三百五十六文」という記述があることから、奈良時代には中国から伝わって(朝鮮半島経由かも)、栽培されていたことがわかる。
ことし1月、日本の文化や歴史に興味があって、日本語を学んでいるドイツ人(彼は半年間、静岡県で留学していた)とスカイプで話をしたとき、「はじめての夢で富士山を見たか?」と聞かれた。
「見てないけど、なんで富士山?」と聞き返したら、「初夢で縁起のよいものを順に『一富士、二鷹、三茄子』と呼ぶ。ぜんぶ静岡にちなむものだと聞いた」と言われてしまった。
いやいやいや、もちろんそれは知ってましたよ。
「一富士、二鷹、三茄子」は江戸時代の有名な言葉で、その由来は諸説あるものの、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によると、「駿河の名物を順にあげたとする説がもっとも有力である」ということだ。
江戸時代の国語辞書「俚言集覧」(りげんしゅうらん)には、駿河の名物を「一富士二鷹三茄子」としている。ちなみにそのあとは、「四扇五煙草六座頭」とつづく。
語源はほかにも、徳川家康があげた駿河の高いものの順「富士、愛鷹、初なすびの値段」という説や、富士は「無事」で鷹は「高い」、ナスは事を「成す」と諸説ある。
でもドイツ人に「一富士、二鷹、三茄子」を説明されるとか日本人の名折れ、静岡県民としては切腹ものですね。
でも彼は、日本一高い富士山と強い鷹はなんとなくわかるけど、3位になすびがくる理由が分からなかった。
初なすびの値段とかナスが「成す」に通じるからという説を紹介して、静岡県民のメンツは死守した。
また、日本の小中学校で英語を教えていたイギリス人から、いちばん好きな日本の文化は「精霊馬」(しょうりょううま)と聞いたことがある。
お盆は亡くなった人の魂が戻ってくる期間で、霊魂がこの世とあの世を移動するための乗り物として、きゅうりやナスで上のような馬や牛に見立てた動物をつくる。
故人となった父や母、祖父母などが早く家にこれるようにきゅうりは足の速い馬、またあの世にはゆっくり戻ってもらうようナスで牛にした。
牛には供物をあの世に持ち帰るという意味もある。
死者の魂がこの世にくるという発想はハロウィンと同じだから、そのイギリス人にとっては珍しくないけれど、精霊馬には亡くなった身内とできるだけ長く一緒に過ごしたいという日本人のやさしさや願いが表れていて興味深いという。
死者がこの世にくるというお盆やハロウィンは、中国でいうなら「中元節」に当たる。
むかし中国旅行でお世話になった日本語ガイドが、中国には精霊馬という発想はないから、これは日本人らしい考え方で面白いと話していた。
「ひょっとしてこの日本文化は外国人のツボか?」と思って、台湾人やタイ人、トルコ人、インド人などに話すとその発想には思いやりがあるし、表現も面白いとけっこう評価が高い。
外国人と話す機会があったら、ぜひ話してみてください。
後日談
この記事を書いたあと、東ヨーロッパのリトアニア人に精霊馬の話をしたら、その人も興味を持って、その写真を送ってほしいとメールでリクエストした。
Can you also send me that photo with eggplant and cucumber a horse and a cow.
だからこの日本文化はユニークで外国人が食いつきやすいと思う。
反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」
日本のご先祖様は天国から里帰りしても霊魂のまま、せいぜい精霊馬を乗り回す程度で助かります。
欧米みたいに、土葬の墓の中から這い出してきて、Thrillerを映画館で見て出てきたばかりの若い黒人カップルを怖がらせるのは、やめてくれ。ホント怖いから。アバター冒頭シーンのように、もう現代社会なんだから火葬にしなさいよ。
あ、それと未感染者に噛み付いて感染させるのも無しでオネガイシマス。ミラ・ジョボビッチさんも渋谷に来なくていいですから。
そうえいば土葬のせいか、日本ではいろんなモンスターがいるけどゾンビが思い浮かびません。
欧米の幽霊は日本と違ってけっこう明るい人(?)が多いと聞いたことがあります。