ドイツと日本のクリスマス 食べ物の違い・らしい飲み物

 

12月になると、日本のあちこちにクリスマスツリーが登場して、雰囲気を盛り上げる。
英語版ウィキペディアによると、現代のクリスマスツリーはヨーロッパのルネサンス期(14〜16世紀)に、エストニア、ドイツ、ラトビアのあたりで生まれたらしい。(Christmas tree

昨年末、友人のドイツ人とクリスマスについて話をしたから、今回はその内容を紹介しよう。

 

リトアニアのクリスマスツリー

 

ーーこんにちは、ひさしぶり。

こんちは。
このまえはクリスマスだったね。
やっぱりフライドチキンを食べた?

ーーいや、ことしはローストチキンとケーキを食った。

日本では、クリスマスにケーキも食べるんだっけ。

ーーそうそう。
クリスマスには、特にショートケーキが人気。
ことしは百貨店に注文した高級ケーキが、めちゃくちゃに崩れた状態で届いて大騒ぎになった。
日本人はクリスマスを大事にしているから、これは許せない。

イチゴは本来は夏に旬を迎える果物なのに、日本ではクリスマスのある冬に需要が高まるから、それに合わせた品種改良が進んで、いまでは冬の果物になったんだよ。

 

ファミレスでは冬になると、よくイチゴフェアが開催される。

 

冬にイチゴってちょっと変だね。
でも、「クリスマスにフライドチキン」という組み合わせはもっと変。
職場の同僚にそれを話したら、「なんで? まったく理由がわからない」ってビックリされた。
特別な日にファストフードを食べるというのは、ドイツ人にとっては違和感しかないよ。

ーーまぁ、KFCのキャンペーンが成功したんでしょ。
「クリスマスにチキン」は日本で生まれた独特の習慣だから、外国人には理解がむずかしい。
で、君はクリスマスに何を食べたの?

ボクは24日の夜は質素なものを食べて、25日に鴨(かも)の肉を使ったごちそうを食べたんだ。

ーー24日はシンプルで、25日にゴージャスな物を食べるのがドイツのクリスマスの伝統だったね。
フライドチキンを「ごちそう」と考えるドイツ人はいないから、日本のクリスマスは、シンプルな物を食べただけで終わるイメージかな。

 

ところで、日本にはクリスマスらしい飲み物ってあるの?

ーーなんだろう?
ネットを見ると、ホットワイン、ココア、シャンパン、シャンメリーがクリスマスに人気らしい。

なるほど。
ホットワインやシャンパンは分かるけど、最後のはなに?

*シャンメリーはクリスマス用に日本で生まれた、子どもでも安心して飲めるドリンク。
戦後直後、日本を占領していたアメリカ軍が飲んでいたシャンパンをヒントに、東京の業者が「ソフトシャンパン」を開発した。
このノンアルコールの炭酸飲料は、昭和30年代に日本で人気になったけど、「ちょっと待て」とツッコミを入れる国が現れた。
1966年(昭和41年)に、フランスから外務省へ、「シャンパン」と名のることができるのはシャンパーニュ産の発泡ワインだけで、それ以外のものにこの名称をつけるな、と苦情が入る。
それでソフトシャンパンは1973年に、シャンパンの「シャン」とメリークリスマスの「メリー」をくっつけた「シャンメリー」に改称された。
これは日本で独自に生まれたクリスマス用の飲み物だから、普通の外国人は知らない。

 

ーードイツのクリスマスといえば、「グリューワイン」が有名だと聞いたんだけど。

*グリューワインとは、ワインに香辛料やフルーツなどを加えて温めた飲み物で、これを飲むと体があったまるらしい。

そうだね。
グリューワインも有名だけど、ボクは今年のクリスマスに「火ばさみパンチ」を飲んだんだ。

ーーああ、「火ばさみパンチ」ね。って、「炎上パンチ」なら聞いたことあるけど、一体それはなに?
小学生向けのマンガに出てくる必殺技みたいだけど。

*これはドイツの「フォイヤーツァンゲンボウレ」という冬の飲み物。
分解すると、フォイヤー(火)・ツァンゲン(はさみ)・ボウレ(飲み物のパンチ)になる。
温めたワインの上に、ラム酒をしみこませた砂糖のカタマリを用意して、それに火をつける。
すると砂糖が燃えて溶け出し、カラメル状になったものがワインに落ちていく。
これで、とってもおいしいホットワインの出来上がり。
ドイツやオーストリアでは、クリスマスの定番の飲み物らしい。(Feuerzangenbowle

 

SNS映えするフォイヤーツァンゲンボウレ
砂糖を固定する器具をドイツ語で「フォイヤーツァンゲ(火バサミ)」という。

 

ーーフォイヤーツァンゲンボウレもグリューワインも、アルコールが入っているから、子どもにはダメだよね?
ドイツでは子供用の飲み物はないの?

あるよ。
子供向けには、ジュースにスパイスを入れて温めた「キンダーパンチ」というのがある。
位置づけとしては、日本のシャンメリーと同じだと思う。

ーーその作り方だと、「はちみつゆず茶」と似ているような?
日本であったかいジュースは少ないけど、ドイツでは、クリスマスに子どもがキンダーパンチをよく飲むと。
日本では大人が子どもに合わせて同じ物を飲んで、ドイツではそれぞれ別の物を飲むというのは、両国民の考え方の違いを表している感じがする。
今日はどうもありがとう。

いえいえ。
こちらこそ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。