【ドイツ人の視点】日本がヨーロッパより良いところは”水”

 

きのう3月22日は「世界水の日 」という記念日だった。

水の大切さについて世界中の人たちが改めて考えてよう、ということで1992年に国連が制定した国際デー。(World Day for Water)
日本では8月1日が「水の日」となので、この日は「地球と水を考える日」になっている。
ということで今回の話は日本の水について。

いまから50年ほど前、ユダヤ人が書いたとされる『日本人とユダヤ人』という本の中に、「日本人は水と安全はタダと思っている」という表現があってちょっとした流行語となった。
当時の日本人にはこの視点がなかったらしい。
いまでも海外と比べれば、日本は良質の水に恵まれているし治安も最高レベルに良い。

 

 

さて以前、日本に住んでいたドイツ人に、日本での生活について良いところと悪いところをきいてみた。
彼にとって不満はおいしいソーセージがないことで、感激したのが無料で飲める水。
日本ではどのレストランや食堂に行っても、無料でおいしい水をサービスしてくれる。
ヨーロッパのレストランなら2~300円ほどの水が、無料で飲むことができるというのは本当に大きい。

そんなことを昨日の「水の日」に思い出したので、いまはブレーメンに住んでいる彼にメールでヨーロッパの水事情についてきいてみたところ、こんな返事がきた。

「Yes, you dont get free water here usually.I know about the coffee culture in Austria.There you get a small glass of water with every cup of coffee. They call it Gedeck.」

はい、ヨーロッパでは普通、無料の水はありません。
オーストリアのコーヒー文化を知っています。そこではコーヒー1杯につき、小さなグラスに入った水が出てきます。それは「Gedeck(ゲデック)」と呼ばれています。

「Gedeck(ゲデック)」というのは初耳。なんか新種のモビルスーツのような。
調べてみたらオーストリアでは、コーヒーを注文すると水がついてくる文化(習慣)があって、水で口直しをすることで、コーヒーの味や香りを存分に楽しむことができる。
でも、すべてか知らんけど、これは水道水らしい。
このゲデックについては日本語の情報が見当たらないから、英語で調べていたら、こんな質問を発見。

「Is it common to pay for “Gedeck” in Vienna?」

ウィーン(オーストリアの首都)ではゲデックにお金を払うのは普通なの?
この怒りの投稿にはこんな返事が。

「It’s not uncommon, but thankfully you see it less and less.」

普通じゃない。でもありがたいことに、だんだんと少なくなっているよ。
コーヒーを注文した上で、水(水道水?)まで有料の店もあるらしい。

 

ドイツ人のメールはこう続く。

「I have veen in Spain, Italy, Netherland, Belgium, Poland, Check, Switzerland, France and Monaco. I got never free water like in Japan in a restaurant. You might be able to get free tab water if you ask for it, but most restaurants here will even charge that. You have to know that here a glass of water can be more expensive than a glass of beer or a softdrink!」

私はスペイン、イタリア、オランダ、ベルギー、ポーランド、チェコ、スイス、フランス、モナコに行ったことがあります。日本のようにレストランで、水が無料になることは一度もありませんでした。
頼めば無料のタップウォーター(水道水)をもらえるかもしれませんが、こちらではほとんどのレストランがそれにさえお金を取るでしょう。
ヨーロッパでは1杯の水が、ビールやソフトドリンクよりも高くなることがあります!そのことは知っておいたほうがいいです。

これは日本とヨーロッパのかなり大きな違いのひとつ。
新婚旅行でドイツ・フランス・イタリアを回った友人が驚いたのもこれで、「コーラやビールより、水が高いってどういうことだ?」とビックリしてた。
知ってる人にとっては当たり前のことだけど、「タダと思っている人」にはかなり衝撃的。

 

彼は最後にこんなことを言う。

「When i ate in hayashiya i sometimes even ordered a coke to the meal. Partly because i wanted it, but also because i felt bad only to drink the free water.」

ハヤシヤ(彼がよく言っていたそば屋)で食事をしたとき、ときどきコーラも注文しました。それが飲みたかったから、というのもありますが、無料の水を飲むだけでは申し訳ないと思ったからです。

「水は有料が当たり前」の国からくると、タダで水を飲むことに罪悪感を感じるらしい。

 

 

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1 個のコメント

  • ヨーロッパには「硬水」が多く、飲料用として適した水が入手しづらいのは、地質にその原因があります。英仏海峡海岸の切り立った崖、スペイン・イベリア半島の森が少ない丘陵地帯、南仏~イタリア~ギリシャにわたって地中海の沿岸に建ち並ぶ白い壁の町並み、これらすべてが「石灰岩」でできているのです。石灰岩、つまり炭酸カルシウムは雨水(=僅かに酸性の水)に溶けて、カルシウム分を含んだ地下水(=硬水)の流れを作ります。石灰岩地帯を流れる地下水は、硬水であり、炭酸水(=炭酸ガスCO2を溶かし込んだ水)となることも多いのです。また、ヨーロッパでは上水道の源水を河川ではなく地下水から供給しているところがいまだに多く、そのため、たとえ上水道の水であっても飲料に適さないほど硬度の高い地域が結構あります。
    なお、ヨーロッパのコーヒーが、イタリアエスプレッソを始め、フレンチコーヒー、ダッチコーヒーいずれも非常に濃くドロっとしているのは、硬水の味をごまかすためです。小アジア半島のトルコ・コーヒーもそうですね。
    これに対して北米では、ロッキー山脈などの大規模地下水源から飲料水を引いているところもありますが、石灰岩地帯が少ない(石灰岩地帯はどちらかと言うとメキシコ寄りにある)のと、カナダ寄り山岳地域の降雪量・降水量が非常に多いのでそこから流れる水の硬度は低く、飲料に適した「軟水」である場合が多いです。そのため、コーヒー本来の味を引き出しやすく、見た目も薄い「アメリカン・コーヒー」が主流となりました。
    日本にも石灰岩台地は各所にありますが、それ以外の地質である場所がたくさんある(地下水もカルシウム分よりは塩分や鉄分を含むものが多い)ことと、もともと降水量が多いことから豊かな河川水を水源として上水道が発達したので、我々は美味しい水道水がタダで飲めるのです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。