今年の死者は200人超 クレイジーなタイの正月ソンクラーン

 

4月が近づいて、日本では花見の話題で盛り上がっているころ、タイではまったく別のことで期待が高まっていた。
SNSを見てたら、知人のタイ人がスーパーのカゴの底が見えなくなるほどの大量の水鉄砲をぶち込んで、「メンバー募集中」とメッセージを出していたから、

「始まったな」
「ああ 全てはここからだ」

という会話がどこかから聞こえてきた。

首都バンコクに住んでいるタイ人に聞いた話では、タイには正月が1年に3回あるという。
日本と同じ西暦の1月1日と、その約1ヶ月後の中国正月、それと4月にあるタイの伝統的な正月、ソンクラーンだ。
太陽が一周し、アリエス(白羊宮)へ移動する時期がソンクラーンになり、タイの新年はこのときからはじまる。
そして、タイの人たちは水をかけ合って正月を祝う。
だから、ソンクラーンはよく「水かけ祭り」と表現されるのだけど、実際はそんな甘いものじゃない。かなりの攻撃力(水圧)を持つ巨大な水鉄砲で水をぶかっけ合うから、るタイ人は「水戦争」と呼んでいた。
水が目に当たるとシャレにならないから、この戦いに参加するなら、ゴーグルは必須のアイテム。

そんな激しいイベントだから、今年のソンクラーン(4月13日〜15日)も無事に終了とはいかなかった模様。

 

ソンクラーン

 

中央日報の報道によると、この祭りの期間中(4月11日〜15日)に200人以上の命が奪われた。(2024.04.17)

タイのソンクラーン、今年も約200人死亡…「危険な祭り」汚名返上ならず

日本で200人を超える使者、もとい死者が出るというのは、巨大地震が発生したときぐらいだろう。
こんなタイの正月に日本のネット民の感想は?

・大阪岸和田のだんじりでもたまに死者出るけど桁違いだな
・だってパタヤってロアナプラみたいなとこだろ?
・水掛け祭りでなんで死ぬのか
・イッテQいくかなぁ?
・みんな耐水カバーにスマホ入れててワロタw

過去にはソンクラーンの泡パーティーで感電し、人が死んだりケガをしたりしたことはあったが、それは現在では禁止されているはず。
水をかけられたことが直接的な死因になることはなく、ここでの死者は交通事故によるものだ。

ソンクラーンの時期になると、人びとの気分は最高潮にアガる。
そんな勢いでアルコールを飲んでバイクに乗ったり、猛スピードを出したりするから事故が多発するのだ。走行中のドライバーを水鉄砲で“狙撃”し、転倒させて死亡させた事例もある。
ソンクラーンの時期は、国民全体がおかしい状態になっている。
アルコールどころか、大麻を吸って異常なテンションでバイクに乗って走る若者もいる、という話を聞いたこともある。
だから、ソンクラーンにはできるだけ家から出ない人もいる。

 

正確に言うと、今年の死者数は206人だ。
(それでも日本では天変地異のレベル)
でも、2023年と比べると、交通事故の件数は1745件から1564件に約10%減ったし、負傷者の数も1737人より8.3%減少した。しかし、死者の数は8人増えた。
とはいえ、ふだんの5日間と比べないと、ソンクラーンでどれほど事故や死者数が増加したのかは分からない。
過去にさまざまな事故が起き、いろいろな規制ができて、タイ人に聞くと安全対策は進んでいるハズなのに、なんで今年も死者は200人を超えたのか。
その大きな原因はカネだ。

バンコクには、外国旅行者が集まる「カオサンロード」というエリアがあって、それをターゲットにおしゃれなゲストハウスやレストランなども作られているから、タイの若者もたくさん集まっている。
そんなカオサンで、4月12日〜15日までソンクラーンの水かけ祭りが開催され、期間中には約40万人が集まり、約500万から600万バーツ(約2500万円)の利益が出たという。
カオサンロードだけでこれだけなら、タイ全体では一体どれほど儲かったのか。
母国では味わえない体験をするために外国人が訪タイすると、その期待に応えるためにタイの人たちもあれこれ考える。
だから、クレイジーは止まらない。

 

 

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4 件のコメント

  • > 4月にあるタイの伝統的な正月、ソンクラーンだ。
    > 太陽が一周し、アリエス(白羊宮)へ移動する時期がソンクラーンになり、タイの新年はこのときからはじまる。

    アリエスって牡羊座のことですよね。黄道(天球において太陽が通る道)12星座の一つ。つまり欧州もしくは中東の文明に由来するはずです。
    タイの伝統的文化においては、何に由来する概念なのですかね? 4月だからもしかすると春分かな?

  • おそらくインドの文化に由来すると思います。
    「ソンクラーン」という言葉はインドの言葉に由来しますし。

  • おれは20年程前にソンクランを体験した。なにしろ凄まじい。エレベーターに乗って馴染みの店に行こうとしたら、ドアが開くなりいきなり見知らぬタイ人から水鉄砲攻撃された。アタマにきて、チャイナタウンでランボーよろしく特大の水鉄砲を買って報復した。5丁の水鉄砲では足りず水槽というのか水瓶に女の子を放り込んで復讐は終了した。だけど、笑ってばかりで揉め事にもならなかった。タイの水鉄砲は大砲だった。良い想い出だ。

  • いいですね~。
    ソンクラーンの話は何度も聞いたことがありますが、参加したことはありません。
    ゴーグルをつけて水鉄砲を乱射したいのですけどね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。