韓国「中国の“野蛮”を世界に訴える!」って、ハーグ密使事件かな

 

竜のあごの下には、”逆さに生えたうろこ”があるという。

人はそのうろこに絶対に触れてはいけない。
もし人がそれに触れると、竜は怒ってその人間を必ず殺してしまうから。

そのうろこのことを「逆鱗(げきりん)」という。
このことから、何かのきっかけで目上の人を激怒させることを「逆鱗にふれる」という。

まあ目上の人でも自分と対等な人間でも、「触れてほしくないところ」というのはある。
「それにふれたら絶対に許さない!」と激しく怒り出すようなポイントが。

 

 

目上の相手ではないけど、今韓国が中国という竜の怒りにふれて大変なことになっている。
中国を怒らせた逆鱗とは、最新の迎撃ミサイル「THAAD(サード)」。

韓国がサードの配備を決めたことで、中国が大激怒。

でもこれは仕方がない。
日本と同じく、韓国も北朝鮮からのミサイル攻撃の脅威にさらされている。
そのミサイルを撃ち落として国を守るために韓国はサードを配備をしたのだけど、中国はこれを許さない。

 

中国は韓国に対して、”サード報復”に出る。

前に、中国にある韓国のロッテマート99店舗のうち87店舗が営業中止に追い込まれたことを書いた。

ロッテマートの次はEマートだ。
大型スーパーのEマートが中国からの撤退を決めた。
中国の経済制裁を受けて、韓国の自動車や化粧品メーカー、観光業界が大打撃を受けている。

朝鮮日報の「THAAD報復はさらに暴力的な方向へと進んでいる」という文章には、絶望的な響きがある。

くわしいことはこの朝鮮日報の記事を読んでください↓

【社説】「北朝鮮の核リスク」を上回る「中国リスク」

 

 

さすがにこうなると、韓国人も「ケンチャナヨ(大丈夫、何とかなる)!」なんて言ってられない。

何とかして中国に、韓国へのサード報復(経済制裁)を解かせないといけない。

東亜日報(2017/09/09)は、「大統領府と産業通商資源部、外交部など省庁を挙げてのタスクフォースを立ち上げて、全力的に対応しなければならない」と書いている。

それがこの記事↓

野蛮的なTHAAD報復は中国の足元をすくうブーメランになるだろう

 

中国が韓国にしているサード報復を、朝鮮日報は「暴力的」と書いて東亜日報は「野蛮的」と表現している。

中国にサード報復をやめさせるためには、韓国は持てる力すべてを使って”総力戦”をおこなう必要があるらしい。

では、具体的にどんなことをするのか?
東亜日報はこう提言する。

・韓国は世界中に「中国の野蛮的外交の不当さ」を伝える。
・世界貿易機関(WTO)に中国を提訴する。
・アメリカに韓国の被害を訴える。

韓国が世界中に中国の“野蛮”を伝えることで、こうなると期待している。

国際社会に「不良国家」のイメージを植え付けて、信頼できない国というレッテルが貼られれば中国にも損になるだろう。

野蛮的なTHAAD報復は中国の足元をすくうブーメランになるだろう

 

韓国が国際社会に、「中国は韓国に、こんなにひどいことをしているんです!」とその不当性をアピールする。

それで国際社会を韓国の味方につけ、「おい中国。それはやりすぎだろ。もう韓国への嫌がらせはやめろよ」と世界が中国にプレッシャーをかけるように持っていく。

韓国が中国に何を言っても、中国は経済制裁をやめようとしない。
韓国へのサード報復を撤回させるためには、世界が中国を批判するようにもっていくしかない。

それはそうだけど、はたしてそんなにうまくいくかな?

 

この韓国の行動は、良く言えば「韓国が世界を動かす」ということ。
でも悪い言い方をしたら、「告げ口外交」だ。

こんな韓国の様子を見て、1907年の「ハーグ密使事件」を思い出した。
韓国がやろうとしていることはこの時と同じ。

 

「ハーグ密使事件」とは?

ハーグ密使事件

韓国皇帝の高宗が、オランダのハーグで開かれた第2回万国平和会議に3人の密使を派遣した事件。会議で日本による保護条約の無効を列国に訴えようとしたが、密使の会議参加は拒否された。

「世界史用語集 (山川出版)」

ここにある「日本による保護条約」というのは、1905年に日本と韓国が結んだ第二次日韓協約のこと。

この日韓協約によって、韓国(大韓帝国)は日本の保護国となった。

 

「韓国が日本に主権をうばわれて支配されてしまう!」

韓国は危機感をおぼえたけれど、この時の日本は強かった。
韓国一国で相手にするのはムリ。

そこで韓国は国際社会に日本の”野蛮”を訴えて、世界から日本に「朝鮮半島から手を引け」と圧力をかけてもらおうと考えた。

そこで大韓帝国皇帝の高宗がハーグに密使を送って、世界に日本のひどい行いを伝えようとする。

光武9 (05) 年の第2次日韓協約 (保護条約) が日本の強圧によるもので無効であることを訴えた

「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」

でも、当時の国際社会は韓国の訴えを認めなかった。
ハーグ密使事件は失敗に終わってしまう。

 

ここではじめの韓国紙の記事に戻る。

東亜日報は「国際社会に『不良国家』のイメージを植え付けて、信頼できない国というレッテルが貼られれば中国にも損になるだろう」と考えている。

そのため韓国は次のような動きに出るべきだ、という。

・国際社会に中国の野蛮的外交の不当さを知らせる。
・アメリカにも、韓国側の被害を訴える。

このことによって、たしかに中国は国際社会から「信頼できない国」とみなされて中国も損するとは思う。
でもはたして、これによってより大きな損をするのは、中国か?韓国か?

 

ハーグ密使事件は失敗に終わっただけではなくて、実は逆効果になってしまった。
ハーグに密使を送ったことで日本を怒らせてしまい、日本による韓国支配がさらに強化されてしまった。
結局、損をしたのは韓国だった。

 

今回はどうか?

韓国が国際社会に「中国は不良国家で信頼できない国だ」というレッテルをはろうとしたら、中国はどんな態度に出るのか?
こんな「告げ口外交」をする韓国にさらに激怒するはず。

きっと、中国のもう一枚の逆鱗にふれてしまう。

 

1900年代の大韓帝国も今の韓国も同じ。
昔は大日本帝国で、今は中華人民共和国。
これらを相手に、韓国一国の力では国難を払いのけることができない。

「韓国にそれほどの国力がないから」と言ったらそれでおしまいだけど、それ以上に韓国には地理的な不運がある。
朝鮮半島は、ロシア・中国・日本という強国にかこまれている。

 

韓国は、そんな韓国を「クジラにかこまれたエビ」と言う。

2013年の韓国の大手新聞紙「中央日報」にこんな記事がある。

韓国は、エビだと考えるのは、やめよう

韓国人は地政学的な状況から自らを「クジラに挟まれたエビ」と認識している。不運にも周辺国は世界最強の中国・日本・ロシアだ。領土・人口などを比べると、自国を弱小国と感じるしかない。

この地政学的な運命は変えることができない。

韓国は昔からこの厳しい環境で何とか国を守ろうとしてきたし、これからもそうするしかない。
韓国が周辺国に負けないクジラにならない限りは。

 

ボク個人としては、この問題で韓国が気の毒に思う。

北朝鮮のミサイル攻撃から「5000万人の国民の生命と財産を保護するため(東亜日報)」には、サードの配備は絶対に必要だ。
今の日本も同じだから、その気持ちはわかる。

中国も韓国に対してもう少し情をかけてもいいのになあ、と勝手に思っている。
まあ何の影響力もありませんけどね。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。