平和を考えた③  「日本では決して味わえない、韓国での20分間の体験(前編)」

 

ソウルナビ」という韓国旅行のサイトを見るとこんなページがある。

「日本では決して味わえない貴重な20分間の体験」

これを読むと、たしかにこれは日本では味わえないと思う。
むしろ味わってはいけない。
今回の記事はそのことにふれながら話を進めていく。

 

写真は、38度線で北朝鮮と向き合う韓国軍の兵士

 

「北朝鮮が攻めてくる可能性は、絶対にあります」

韓国人の友人3人がそう言う。
その根拠にとして2つの事件をあげていた。
それが前の記事で書いた天安沈没事件と、これから書く延坪島砲撃事件(ヨンピョンドほうげきじけん)の2つ。

延坪島砲撃事件とはこのようなもの。

延坪島砲撃事件(ヨンピョンドほうげきじけん)は、2010年11月23日に大延坪島近海で起きた朝鮮人民軍と韓国軍による砲撃戦と、それを発端とする北朝鮮・韓国間の緊張の高まりなどの一連の事件のことである

(ウィキペディア)

2010年11月23日14時34分ごろ(日本時間同)、朝鮮人民軍が北方限界(NLL)を越えた大延坪島に向けて突然、砲弾約170発を発射、90発が海上に落下し、80発が同島に着弾した

 

この事件によって、韓国軍の兵士2名と民間人2名の計4人が死亡している。

 

当時この事件は、日本はもちろん世界中で大きく報道された。
前の記事で触れた「天安沈没事件」より死者の数は少ないけど、決定的に違うことがある。

延坪島砲撃事件(ヨンピョンドほうげきじけん)では、民間人が亡くなっている。北朝鮮軍と向かい合っている兵士だけではなく、韓国国内でふつうに生活していた市民が犠牲になった。

 

 

こういう話を聞いていると、日本と韓国はまったく違う国なんだと感じる。

日本は外国の軍から攻撃を受けて、民間人が死亡することは考えられない。
今のところ、ではあるけれど。

この「天安沈没事件」と「延坪島砲撃事件」が起きた2010年には、日本でも事件が起きている。
「尖閣諸島中国漁船衝突事件(せんかくしょとうちゅうごくぎょせんしょうとつじけん)」というもの。

2010年9月7日、尖閣諸島付近の海域をパトロールしていた巡視船「みずき」が、中国籍の不審船を発見し日本領海からの退去を命じるも、それを無視して漁船は違法操業を続行、逃走時に巡視船「よなくに」と「みずき」に衝突し2隻を破損させた

(ウィキペディア)

 

このときは日本にも中国にも死傷者は出ていない。
「海上自衛隊の船が傷ついただけ」ですんだ。
でも日本ではユーチューブへの動画流出もあり、天と地がひっくり返るほどの大騒ぎになっている。

でも、日本で起きることといえば「この程度」んことだろう。
韓国のように、民間人が犠牲になるようなことは起こりそうにない。

 

 

このときの話では出なかったけど、「北朝鮮の脅威」についていえば昨年2015年には、こんな事件も起きている。

「地雷爆発、北朝鮮を非難 韓国、DMZで兵士2人重傷」という見出しで、8月11日付の朝日新聞に次のような記事がある。

韓国軍によると、京畿道坡州市のDMZで見回り中だった20代の下士官の2人が4日午前7時35分と同40分、軍事境界線から韓国側に440メートル入った地点の鉄柵付近で相次いで地雷を踏んだ。爆発は3回起き、一人は右足を、もう一人は両足をそれぞれ切断する大けがを負った

 

これは韓国からの見方で、北朝鮮は「これらの事件の原因と責任は韓国側にある」と主張している。
同じ事件でも国が変われば見方も主張も変わってくるのは当たり前。

日本でも北朝鮮での核問題について、「一方的に北朝鮮を責めるのではなく、何が北朝鮮を核開発に向かわせているのか?それを考えることが大事だ」という人がいる。
ボクには韓国人の友人がいるから、記事がどうしても「韓国寄り」になってしまうとは思う。

 

 

韓国では常に北朝鮮の脅威がある。

でもふつうの韓国人が、いつもに恐怖や緊張感をもって生活しているようには見えない。
一般の韓国人が来になることは、日本人と同じで就職や結婚だろう。

 

とにかく韓国は生きづらい(らしい)。
韓国では一流企業に入るための競争がとても激しい。
去年は、「ヘル・コリア(地獄のような韓国)」や「土の匙(さじ:貧しい人用のスプーン)」という言葉が大流行した。

一見すると、北朝鮮のことは韓国人の生活に大きな影響を与えていないようにも見えてしまう。

でも実際は、決してそうではない。

韓国では、毎月15日が「民防衛の日」になっている。
民防衛(ミンバンウィ)とは、北朝鮮軍からの攻撃を想定した軍事避難訓練のこと。

これが冒頭の「日本では決して味わえない貴重な20分間の体験」というものになる。

くわしくは次回の記事で。

 

こちらの記事もどうぞ。

韓国 「目次」

日本 「目次」

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。