日本人なら知っとこ②自爆テロと神風の違い/海外の反応

 

困ったことに、海外では「テロリスト(自爆テロ犯)=カミカゼ(神風特攻隊)」というイメージがある。

アメリカ版ヤフーで「kamikaze」と入力すると、「kamikaze terrorist」と出てくる。

 

「kamikaze terrorist」で画像検索をすると、イスラム過激派のテロリストばかり出てくる。
神風の写真も少しある。

爆破物を腹に巻いた女性と神風特攻隊なんて、1ミリも関係ないのに。

 

さらにアメリカ版ウィキペディアでは「Suicide attack(自爆攻撃)」の項目に、日本のカミカゼと「September 11 attacks(アメリカ同時多発テロ事件)」が同列に並べられている。

Suicide attacks have occurred throughout history, often as part of a military campaign such as the Japanese kamikaze pilots of World War II, and more recently as part of terrorist campaigns, such as the September 11 attacks.

Suicide attack

残念ながら、これが神風についての海外の反応だ。
海外には、自爆テロと神風特攻隊を同一視する人がたくさんいる。

 

自爆テロと神風を結びつける報道が多いから、日本人もこんがらがってしまった。

カミカゼと自爆テロは本質的に違う。
外国人はしゃーないとして、日本人なら、そのことを知っておきましょう。

 

アメリカ軍の空母に突撃する神風特攻隊の特攻機

 

外国人の言う「kamikaze」とは、第二次世界大戦のときに日本軍が組織した神風特攻隊のこと。

太平洋戦争の末期、日本の敗戦が濃厚となってきた。
そのとき日本軍は「神風特別攻撃隊」という攻撃隊を編成する。
自分もろとも戦闘機をアメリカ軍の艦船にぶつけるという体当たり攻撃だ。

これには、前回紹介した「日本は神が守っている」という神国思想の影響がある。

戦闘機に乗る直前、パイロットが最期の酒を飲んでいる。

 

基地を飛び立ったあと、彼らは敵艦船に突撃した。

 

上の画像は「NHK 映像の世紀 第5集」のキャプチャー

 

アメリカ海兵隊員はこう言う。

神風も何もかも見ました。
胃がキリキリと痛むような、あんな光景は見たことがありませんでした。

あの人たちは死ぬのを覚悟していたんです。
私だって、入隊した時は命をささげる覚悟でした。
でも、あんなやり方では…

「NHK 映像の世紀 第5集 世界は地獄を見た」から。

 

ある隊員はこんな言葉を残している。

空の特攻隊のパイロットは一器械にすぎぬと、一友人が言ったことはたしかです。

一器械である吾人(ごじん)は何も言う権利はありませんが、ただ、願わくば愛する日本を偉大ならしめられんことを国の方々にお願いするのみです。

「NHK 映像の世紀 第5集 世界は地獄を見た」から。

カミカゼは自爆攻撃ではある。
でも、テロではない。

 

 

自爆テロとは違うのだけど、ヨーロッパではこれと同一視して「カミカゼ」と呼ぶことが多い。

でも神風特攻隊と自爆テロは、目的も実際の結果も違う。
アメリカの同時多発テロでは、約 3000人の市民が亡くなった。
前回書いたイギリス・マンチェスターでの自爆テロでは、8歳の女の子が犠牲になった。

テロリストは多数の市民を殺害したけど、神風には一度もそんな例がない。

産経新聞の記事(2016.8.3)にはこう書いてある。

自爆テロ犯は民間人を無差別に殺害する一方、神風特攻隊は国際法が適用される正規軍の軍人相手だった。両者が別々に用いられるべきなのは明らかだ。

自爆テロ犯を「カミカゼ」と呼ぶ「誤用」はなぜ欧州に広がったのか? マスコミだけでなく、検事も会見で連発

 

それに自爆テロとは違って、カミカゼには政治的な主張がない。
「空の特攻隊のパイロットは一器械にすぎぬ」であって、特攻隊の隊員には、自分の主張のために市民を犠牲にするという発想がなかった。

 

 

自爆テロと神風を同一視することに、一番怒っているのは、隊員の思いを知っている人だろう。

産経新聞の記事(2015.11.17)で、元隊員が無念の気持ちを表している。

「日本をなんとか救おうと、愛国心の一念から仲間は飛び立ち、命をささげた。テロと特攻を一緒にするのは戦友に対する侮辱であり、残念至極だ」

特攻隊は「テロリストとは違う」「戦友への侮辱だ」 仏報道に88歳元隊員憤り

 

またイギリスBBCの記事(2017年12月4日)にも、元隊員の声がのっている。

「全く違うと思う。神風特攻の場合には戦争のためにあった。イスラムの自爆テロというのは、軍とは関係ない一般人が含まれるという大きな違いがある。そして不特定、いつ起こる分からない。大きな差異がある」

山田さんは、当時日本が直面していた歴史的背景を理解せずに、日本語の「神風」の意味が誤解され、英語では不適切に使われていると考えている。

神風特攻隊――現代の若者たちはどうみているのか

 

ということで、今回はこれでおしまい。

「自爆テロと神風はまったくちがうっ!」ということが、分かっていただけたでしょうか。

「一器械である吾人(ごじん)は何も言う権利はありませんが、ただ、願わくば愛する日本を偉大ならしめられんことを国の方々にお願いするのみです。」

こういう人間をテロリストと”同じ”にしてはいけない。

早くこんな質問がなくなりますように。

 

こちらもどうぞ。

日本人なら知っとこ①元寇の神風・神国思想ってどんなの?

カテゴリー「平和」 目次 ①

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。