日本人の“韓国離れ”。被害者無視のヒューマニズム・道徳的優位

 

きょねん10月、韓国がパンドラの箱を開けてしまった。
すでに解決した徴用工問題を蒸し返し、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたことで日本は猛反発する。
でも韓国政府はこれを黙認。
「戦後最悪」といわれるいまの日韓関係のはじまりだ。

もちろんこれ以外にも、韓国政府が一方的に慰安婦財団の解散を決めたことも「負の後押し」になっている。

韓国は国際法も約束も守らない。だから対手にならない。
いま日本人の心は韓国から離れていて、さいきん行われた世論調査によると、「韓国を信頼できない」と答えた人の割合は74%と過去最高を記録した。
くわしいことはこの記事をどうぞ。

日本で「韓国を信頼できない」の割合が過去最高。その原因は?

 

日韓の信頼関係が地におちたことに加えて、安全保障の問題も出てきたことで、韓国への輸出については日本が適切に管理するようになる。

世耕経済産業相のツイート

 

WTOのルールにもとづいた「適切な輸出管理」なのだけど、これをやられると韓国側は困ってしまう。
半導体製造で必要な部品がこれまでどおり入ってこなくなるから、韓国企業はものづくりができなくなる。
だから「対抗措置」と言いたくなる気持ちはわかる。
でも、法と約束を守れば解決する問題をこう解釈するのはどうなのか。

ハンギョレ新聞のコラム(2019-07-18)

安倍晋三が、他でもない過去の歴史に、ヒューマニズムの問題に経済報復を突きつけたのは、幼稚なふるまいだ。

民族主義ではなくヒューマニズムだ

人道主義や人間中心主義に話をすり替えるのは急所を突かれた証拠。

 

徴用工問題も慰安婦問題も「ヒューマニズムの問題」で、この観点から問題解決をしないといけないという。
でも日本との関係でいえば、その段階はもう終わった。
そのヒューマニズムの視点で日韓両政府が話し合いを重ねて、徴用工問題は1965年、慰安婦問題は2015年に最終的な解決で合意したのだから。

徴用工問題については河野外相がちょうどきのう、こんな談話を発表した。
「日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を」わたすことで、日韓両国民の間の「請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない」と定められた。

くわしくはここを。

大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について

この日韓関係の基礎を破壊したのが韓国最高裁の判決だ。

両国は「いかなる主張もすることはできない」と確認した54年後、韓国はこんな主張をはじめる。

外交対決や経済戦争において、ヒューマニズムに何の意味があるかと思うかもしれない。だが、ヒューマニズムこそ強力だ。すべての力の源泉はヒューマニズム、すなわち人間らしさにある。外交や経済もヒューマニズム的土台がなければ、力を得ることはできない。

民族主義ではなくヒューマニズムだ

熱く語るけど、日韓関係の土台となった「無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力」については一切スルー。

 

ヒューマニズムは大事だけど、それを100回叫んだところで、すでに交わした約束は変えられないのだ。
ヒューマニズムは合意の範囲内で尊重するしかない。
慰安婦合意を事実上破棄したムン大統領が「ヒューマニズムの原則に忠実に見える」というのであれば、それは眼球とは別の問題だ。
「人は自分の見たいものしか見ない」とカエサルが2000年以上前に言ったとおり。

過去の歴史問題について、こういう主張はハンギョレ新聞だけではなくて、文大統領や他の韓国メディアもよくする。

韓日問題は、民族主義ではなくヒューマニズムの観点で接近してこそ道徳的優位を持ち、正しい解決法に近付くことができる。

 

これを読むとヒューマニズムそのもにより、韓国が日本に対して「道徳的優位」を保つことが大事と考えているようだ。
韓国が日本より優位にいる、上に立つというのは、韓国が日本に反省や謝罪を求める立場でいるということ。
相手との関係を「上下」でとらえようとするのは儒教の影響が大きいだろう。

日本には道徳的優位にいることが韓国にとっては大事。
4年前、中央日報のコラム(2015年08月14日)にもこんなことが書いてあった。

韓国が真の独立を完成するには、国力を持続的に伸ばして国論を1つに結集し、名分と道徳的優位に立って堂々としながら大乗的な姿勢で日本に対応することだ。

日本の精神的・道徳的優位に立って堂々と

 

韓国が日本にヒューマニズムを主張するのは、道徳的優位に立つためだ。
この観点に立てば、日本との約束を破ることも正当化することができる。

韓国のいう被害者中心主義というのは、つまるところは自分中心主義。
きょねん11月に慰安婦財団の解散を発表したことで、ことし6月の時点で、元慰安婦2人と遺族13人が支援金を受け取ることができないでいる。

そのうちの1人は朝日新聞の記事(2019年6月9日)がこう話す。

「(支援金は)慰安婦だった母が受け取ることができたお金。遺族として一日でも早く受け取りたい」

元慰安婦・遺族に支援金行き渡らず 韓国の財団解散方針

 

こういう「被害者」を無視して韓国はヒューマニズムや人間らしさを語り、日本に対して道徳的優位を守ろうとする。
これは人間中心主義ではなくてただの自己中。
自分が中心なら、国際法や日本との約束を破ってもかまわない。
そんなものは「解釈」で乗り切れる。

いま日本で韓国への信頼低下や韓国離れが起きているのは、ここ半年の韓国の振る舞いによって、多くの日本人が韓国をより深く知ってしまったからだろう。
ヒューマニズムや道徳を説くけど、ルールは守らない。

シェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」に出てくる言葉のようだ。

「もともとあまり好きではなかったが、よく知り合えば知り合うほどますます愛情が薄れてゆく」

 

おまけ

いま見つけたものけど、韓国の野党「正しい未来党」のソン・ハッキュ代表が輸出規制をする日本についてこう話している。
中央日報の記事(2019年07月19日)

韓国は日本が方向を切り替える契機を作る必要がある。道徳性の高い者が大乗的解決を先にする時、問題解決の道が開かれる。

韓国党代表「対日特使を送ろう」 文大統領「無条件で送って良いだろうか」

法や約束を守れない人間が「道徳性の高い者」と名乗るのがすごい。
しびれるけど憧れない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。