【2019】近ごろ日本に流行るもの。国連もすすめる「昆虫食」 

 

「近ごろ都に流行るもの」
そんな言葉ではじまるのが14世紀に登場した二条河原の落書。
みんな中学校の歴史の授業でならったはず。

鎌倉時が終わったあと、後醍醐天皇がはじめた建武の新政の時代に、京都の二条河原にこの落書が掲げられたといわれる。
ちなみにこの時代の京都に流行ったものは、いまの日本ならノーサンキューのものばかり。

此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀(にせ)綸旨
召人 早馬 虚騒動(そらさわぎ)
生頸 還俗 自由(まま)出家
俄大名 迷者

昼夜を問わず人を襲う暴漢に偽の天皇の命令、ケンカや生首などなど。
この時代の日本が混乱していたことがよくわかる。
くわしいことはここをどうぞ。

二条河原の落書

 

21世紀のいま、日本の都で流行るものといえば何か?
東京での流行を挙げていけばキリがないけど、ここ数年、爆発的ではないけど昆虫食が静かに広がっている。
ボクはこのブログを書くためにいろんなニュースに目を通しているのだけど、昆虫食の情報は確実に増えている。

たとえばこれは去年の朝日新聞の記事だ。(2018.9.2)

昆虫食はゲテモノ扱い。ところが、最近はそのおいしさに本気で魅せられた人も増えてきているとか。

昆虫食ブームは本物?!居酒屋で美女が激白「セミの幼虫は高級ナッツのような味」

 

これは今年のj-castニュースの記事(2019/8/13)

昆虫を原料とした食品を扱う「女性向け昆虫自動販売機」が、2019年7月9日から東京・秋葉原で稼働している。

タピオカの次は「虫食」がくる! 秋葉原「女性向け昆虫自販機」でオケラをパクリ

 

この自販機では、コオロギ、スーパーワーム、カイコ、カブトムシ、サソリといった虫を乾燥させて塩で味付けしたものを売っている。
これを設置した担当者は、「流行を作るのは若い女性たち。(昆虫食は)オシャレなものだと発信してもらって、タピオカみたいになってほしい」と言う。
でも虫はインスタに映えるか?

 

このブームには仕掛け人がいる。
朝日新聞の記事は、東京で昆虫料理を提供する「米とサーカス」という居酒屋のことで、下の自販機はその居酒屋を運営する宮下企画が設置したもの。

「米とサーカス」では去年の夏、「未来の食卓、昆虫食料理vol.3」というフェアを開催した。
「vol.3」とあるように、この企画は好評で2016年から毎年行われている。

画像検索したらこの広告が出てきて、それには「昆虫6種食べ比べ」(1780円)が大きく紹介されていた。
イナゴ・ハチノコ・ゲンゴロウ・タガメ・カイコ・コオロギの6種類の虫が原型をとどめたまま揚げられている。
ほかにも「セミの親子串揚げ(抜け殻付き)」(780円)や、居酒屋らしく「サソリネギマ(1本)」(880円)なんてのもある。
ボクは中国でサソリのフライを食べたことがあるから、この2つはいける自信がある。
でも、「ジャイアントミールワームの和風チヂミ」(780円)は見ただけで無理と分かる。

サラミがピザに乗っているように、これがチヂミに乗っていると思ってほしい。

 

日本での昆虫食ブームの仕掛け人は宮下企画のほかにも国連がいる。
これから地球上の人口が増え続けることは確定済み。
それに対して食料が不足することも確実視されている。
それでいままで人類があんまり食べてこなかったモノに国連が注目して、世界に「食え」とすすめたのだった。

日本経済新聞の記事(2017/4/22)

国連食糧農業機関(FAO)は2013年、世界の食糧危機の解決に、栄養価が高い昆虫類の活用を推奨する報告書を発表した。

食糧難救う? 国連が推奨

 

牛や豚などの家畜に比べて、昆虫を育てるのには飼料が少なくて済むし、温暖化ガスの排出量も小さい。
昆虫食はコスパが良くて地球にやさしかった。
上の記事で専門家の名古屋女子大の片山教授も、「昆虫は繁殖力、環境適応力に優れ、大量生産も容易。食糧として有望」と話している。
国連のお墨付きがあれば、学校給食にいつ登場してもおかしくない。

とはいえ、「タピオカの次は「虫食」がくる!」はさすがに無理だろう。
でも、強盗や生首、虚騒動(そらさわぎ)が流行るよりはずっといい。

 

 

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4 件のコメント

  • 昆虫食へのまくらとして二条河原の落書に触れるくらいであれば、日本国内で現代にも伝わる伝統的昆虫食について一言も記述がないのは、中部地方の人々に失礼(?)なんじゃないでしょうか。日本の伝統的昆虫食は、ここに記述されているほど「ゲテモノ」でもありませんよ。
    蜂の子(ヘボ)入りご飯やイナゴの佃煮は、私も何度か食したことがあります。今でも高速道路のSAあたりで定番のお土産として売っているのでは?

  • もう一つ、忘れてました。
    >学校給食にいつ登場してもおかしくない。
    とありますが、イナゴの佃煮なんかはとっくの昔に学校給食として出たことがあるはずです。ここ最近はどうか知りませんが。

  • 私が中部地方にいる日本人です。
    昆虫食が一般的に抵抗感の強い食べ物であることは事実ですから、朝日新聞の記事などを引用してそれを伝えました。
    「ゲテモノ」という表現はなく、国連の推薦ということを挙げていますから昆虫食に対して否定的な内容ではありません。

  • このことについては「昆虫食 学校給食」で検索してみてください。
    給食で昆虫食が出てきたら、驚く人が圧倒的であることがわかると思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。