【韓国の敵は韓国人】“対日融和”の文大統領と国内の反対勢力

 

韓国側が過去の問題を何度も蒸し返すことで、日本の心が離れていって、いま日韓関係は氷河期を迎えている。
でも関係改善を求めるバイデン大統領の意図を考えたり、東京五輪を北朝鮮との接点にしたいと思うようなった韓国政府はいま、これまでの反日姿勢から友好へと態度変化を見せている。それも急に。

きょねん11月、国際会議で文大統領が「日本の菅総理、お会いできて嬉しいです」と呼びかけたのは象徴的なシーンだった。

このソフト路線はことしも継続されていて、1月に行われた記者会見で文大統領は、元徴用工訴訟について日本企業の資産が売却されることは「望ましくない」と発言して注目を浴びた。
「司法判断を尊重する」と言うだけで、これまで放置してきた態度とは明らかに違う。危機感がある。
そして日本政府に賠償を命じた、ことし1月の元慰安婦訴訟の判決については「困惑している」と率直に語った。

それはこっちじゃ、と言いたくなる気持ちは抑えてこうした発言をみると、文大統領が関係改善を熱望していることは間違いない。
でも日本政府が求めているのはコトバじゃない。
だから「行動が伴わなければ信用できない」といまは冷ややかに韓国を見ている。

 

文大統領の歩み寄りはつづく。
このまえ3月1日の演説では、「韓国の成長は日本の発展に役立ち、日本の成長は韓国の発展に役立った」と言った。
韓国の発展で日本の貢献を認めるなんて、韓国の大統領がそんなことを国民向けの演説で口にするのは異例だ。
しかも抗日独立運動を記念する式典で。
さらに文大統領は韓日の未来志向的発展を強調してこう訴えた。

「私たちが乗り越えなければならない唯一の障害物は、時折、過去の問題を未来の問題と切り離すことができず混ぜてしまうこと」

「過去のことに足を引っ張られてはなりません」

主語を「we」にし国民に対して、過去問題を切り離すこと、過去に足を引っ張られてはいけないと言う。
本音としては、いまは日本との関係改善が必要だから、国民が歴史問題に固執して政府の足を引っ張らないでほしい、といったところだろう。
それは、これまでさんざん自分がやってきた「過去の蒸し返し」なのだが。

 

日本に謝罪や反省を要求していた態度から一転、いまは「過去に足を引っ張られるな」と国民に語りかける。
でもこうした態度変化は、文大統領の「対日強硬」を支持してきた人たちの期待を裏切ることになる。
それで文政権の立場に近い全国紙・ハンギョレが、「未来のためにも、歴史問題を解決するのはあまりにも重要だ」というソウル大学教授の寄稿を載せた。 (2021-03-10)

韓国と日本、未来にかかわる歴史問題

このタイトルだけで、先ほどの文大統領のことばを否定していることがわかる。
過去と未来をどうしても切り離したくない人たちがいる。

このなかで教授は、日韓両政府が最終的な解決を確認した徴用工・慰安婦問題について、「合意に達したとはいえ、歴史問題は解決されないまま韓日関係はますます悪化している」とのたまう。
両国が合意に達したのなら、あとは互いの国内問題なのだから、それぞれの政府が責任もって解決しないといけない。
なのにいま韓国政府はそれを日本に”丸投げ”しているのだ。だから日本はもう相手にしていない。

そのへんをスルーして、教授はこう力説する。

歴史問題の核心は、加害者の反省と被害者の許し、和解だ。これを通じて加害者と被害者が過去の問題が二度と起きてはならないという共通の認識を持たなければならない。(中略)問題は、このように歴史認識の合意がないにもかかわらず、歴史問題を懸案解決の条件として掲げるなら、今後の韓日関係は一歩も進めないという点にある。

 

また過去を蒸し返す。
だから日韓関係は、北極熊もビックリするほど冷え切ってしまったのだ。

いま文大統領を一番困らせるのがこんな主張だろう。
これはいままで自分が言っていた「正義」であり、未来志向重視のいまとなってはジャマなものだから。
「私たちが乗り越えなければならない唯一の障害物」は、過去と未来の問題を混ぜてしまうことだと話したばかりだ。

以前、知人の韓国人が「韓国の敵は韓国人」と言っていた。
これは日本に関係なくて、誰かが成功しようとすると、それをねたんで邪魔する人間が現れる。
他人の足を引っ張る人間がよく出てくるから、韓国社会はうまく発展しないという。

文大統領にとってはこれまでの支持者が反対勢力となり、いまでは彼らは”敵”となっているらしい。
真の謝罪や反省を要求していて、突然、「日本の菅総理、お会いできて嬉しいです」と笑顔で言うのを見たら、怒り出す人がいてもおかしくない。
文大統領の敵は過去の自分でもある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。