パリ万博の江戸日本、ヨーロッパの芸術家に衝撃を与える

 

ほんじつ4月1日は、1867年に日本が世界デビューを果たした記念すべき日。
このとき42か国が参加し、1500万人が来場した万国博覧会がパリで開催されて、江戸幕府と薩摩藩と佐賀藩も参加し、当時はわりと謎の国だった日本をヨーロッパ人や他の外国人に広く知らしめた。
戊辰戦争で薩摩・長州を主力とする新政府軍が、徳川幕府を崩壊させたのはこの翌年の1867年だ。
だから、幕府とは別に薩摩藩が万博に参加したことには、このときすでに両者には微妙な距離感があったことがうかがえる。

 

日本・中国合同のパビリオン

 

薩摩藩のパビリオン

 

各国者を歓迎するナポレオン3世

 

日本の内輪もめなんて、外国人にはクソどーでもいい。
これを当時のヨーロッパ人の視点から見てみよう。
1867年のパリ万博で重要なことは、日本の展示物がゴッホ(Gogh)をはじめとしてヨーロッパの芸術家に大きな衝撃を与えたことだ。
開国したばかりの日本から、ヨーロッパにもたらされた新しい芸術品をゴッホは熱心に集め、フランスの多くの芸術家も日本芸術の世界観に影響を受けた。
それが「ジャポニズム」へと発展していく。

Not only was Van Gogh a collector of the new art brought to Europe from a newly opened Japan, but many other French artists from the late 19th century were also influenced by the Japanese artistic world-view, to develop into Japonism.

Exposition Universelle (1867)

クロード・モネの『ラ・ジャポネーズ』
日本の影響を受けていることは一目瞭然、もはや和洋折衷。

 

ゴッホの『花魁』

 

ジャポニズムの影響を強く受けたフランスの画家・ロートレックはこんなポスター画を描いた。
これは浮世絵からインスピレーションを受けたと指摘されているのだが、さて、これのどこに浮世絵の要素があるのか?

 

 

画面を上下に分けるように、白いテーブルが斜めに描かれている。
西洋絵画ではこういうテーブルは画面と平行に、水平に入れるのが普通で、こんな大胆な表現は当時のヨーロッパ人にとってはかなり斬新だった。
これは歌川広重の浮世絵にあるような構図が元ネタになったと考えられている。

 

 

また、それまでの西洋絵画では、遠近法や陰影を使って立体感を表現するのがフツウだったのに、上のロートレックの作品では立体感がなくて、平面的で”のっぺり”している。
こうした点や、人物・物がはっきりとした線で描かれているのもジャポニスムの影響といわれている。

 

いかにも西洋絵画の『ジャガイモを食べる人々』(ゴッホ)

 

日本が好きで日本語を学んでいるドイツ人が知人にいる。
彼がめっちゃ残念に思っていたのが、世界最大規模の日本のポップカルチャーイベント「ジャパンエキスポ」がフランスで開かれること。
ドイツでも日本文化を紹介するイベントはあるけど、これに比べると規模が小さいから見に行く気にはなれないらしい。

江戸日本が初めて万博に参加し、ヨーロッパ人の価値観や表現に衝撃を与えてから時は流れて、21世紀の現代では日本のアニメ、歌、コスプレといったポップカルチャーが新しいジャポニズムを起こしているのだった。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。