ガリレオの屈辱 「それでも地球は回ってる」の背景

 

アニメの世界では、

「覚えてろよ!」
「これで勝ったと思うなよ〜」
「ボケがぁ」

といった捨てゼリフがわりと知られている。
リアル世界にも超有名な捨てゼリフがあって、それはガリレオが吐いたこんな言葉。

「それでも地球は回っている(それでも地球は動いている)」

なんでガリレオはこんなセリフを口にしたのか?

 

ガリレオ・ガリレイ(1564年〜1642年)
イタリアの自然哲学者や天文学者で、「近代科学の父」や「天文学の父」とも呼ばれる。
つまり、千空の大先輩だ。

 

1633年のきょう2月13日、ガリレオ・ガリレイが「異端審問(宗教裁判)」をうけるために、ローマに到着した。
彼は望遠鏡を使って天体観測をおこなった学者で、人類で初めて月の表面を観察した人もである。
ガリレオはそんな研究から、地球を中心に太陽がそのまわりを回っているという従来の説を否定して、地球が太陽のまわりを回っているという「地動説」を提唱した。
*地動説そのものは以前からあった。

しかし、この説がカトリック教会の考えと違っていた(異端)とされ、ガリレオは裁判にかけられることになり、ローマへ呼び出された。
ガリレオは裁判で、地動説が聖書(Holy Scripture)に反すると宣言された後も、この説を支持できると考えたことを非難され、地動説を「放棄し、呪い、嫌悪する(abjure, curse, and detest)」という屈辱的な要求をされる。

that one may hold and defend an opinion as probable after it has been declared contrary to Holy Scripture. He was required to “abjure, curse, and detest” those opinions.

Galileo affair

異端審問をうけるガリレオ

 

それを拒否すれば、ガリレオに待っている未来はおそらく「DEATH」。
ガリレオは仕方なく、地動説という“異端”の考え方を放棄し、嫌悪しますと誓った。
でも、彼はこの説を正しいと考えていたから、「それでも地球は回っている」とつぶやいたのだった。
…と、よく言われているが、ガリレオが実際にそう言ったのかはハッキリ確認されていない。
異端審問の場面では、「これで勝ったと思うなよ〜」や「ボケがぁ」よりは、このセリフの方がずっとハマっている。
このときガリレオは「科学の責任から逃げるな」と、自分に言ったかもしれない。

裁判では、ガリレオが自説を“呪う”とまで言ったことで「異端」とは認定されなかったが、「異端の疑いが強い」と判断され、有罪判決が言い渡された。
その後、彼は死ぬまで自宅軟禁の状態で生活することになった。

21世紀の現在、地球が太陽のまわりを回っていることは、小学生でも知ってる世界的な常識になっている。
正しかったのは地動説だった。
しかし、カトリック教会は基本的に誤りを認めない。
ローマ教皇があの裁判は間違っていたと認め、ガリレオに謝罪したのは、彼が死んた350年後、1992年のことだった。
それを聞いたガリレオは「判断が遅い!」 と叱ったと思われる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。