価値観の変化(後編)日本はヒドイ→すごい→今はややホルホル

 

では、前回の続きです。

今まで事実だと思っていた「日本ヒドイ系」の話の多くは、じつは間違いだった。

それがわかったときの”だまされた感”はなかなかのもの。
それまでの反動で、一気に「日本すごい」に傾いてしまう。

それで、「日本すごい系」の本をたくさん読むようになる。
その影響で、こんなことを考えるようになった。

「日本の戦争は正しかった」
「東南アジアの人たちは、植民地支配から解放してくれた日本軍に今でも感謝している」

そんな認識で東南アジアに行ったらどうなったか?

 

カンボジアのアンコールワット
大正時代には世界的な観光地になっていた。

 

一言でいえば、肩透かしをくらってガッカリした。

タイ人、インドネシア人、ミャンマー人、ベトナム人などいろいろな国の人から話を聞いてみたのだけれど、「今でも日本軍に感謝している」と言う人がいない。

「日本兵はすばらしかった」と話すインドネシア人はいた。
そのインドネシア人はジャカルタの独立記念塔で働いている職員で、そう言った後にチップを要求してきやがる。

 

今でも、「アジアの人たちは太平洋戦争で日本がしてくれたことに感謝している」と伝える日本のメディアもある。

ひとつ例をあげれば、最近読んだ記事でこんな文章があった。

「インドネシアの人々は、独立のために日本が本気で支援したことを今も忘れていなかった」
「インドネシアの人々は、(中略)独立戦争で一緒に戦ってくれた日本軍と将兵の大きな貢献を決して忘れず、今でも日本に感謝の気持ちを持ち続けてくれているのである」

くわしいことはこの記事をどうぞ。
インドネシア人が好きな日本は戦後の日本。だから「リトル大阪」。

 

これはライターが取材にもとづいて書いた文章だから、こうした人もいるとは思う。
ボクもこういう言葉を聞きたかったのだけど、こんなことを話してくれる東南アジアの人に出会ったことがない。

それで失望した。

 

 

東南アジアの国や日本で出会ったタイ人、ベトナム人、ミャンマー人、インドネシア人などは、太平洋戦争のときの日本にはまるで興味がない。

だから、「日本人は残酷だった」とも「日本人はすばらしかった」とも思っていない。
現地の日本語ガイドならその時代の日本のことを知っていたけれど、アジアのふつうの人たちはほとんど知識がない。

日本と同じように、自国の歴史に興味がない人もたくさんいる。
そんな人が「80年前の日本」を知っているわけがない。

こうした経験から、それまで「日本はすごい!」と思っていたけれど、実際には、自分が思っていたほど日本はすごくなかったことに気づく。
それで「日本すごい!」の熱が下がっていく。

 

「インドシナ」は「インド+シナ(中国)」のこと。

 

ここまでをまとめると、こんな感じになる。

20年ほど前、自分は「日本ヒドイ」だったけれど、”だまされていた”ことに気づいて「日本すごい」に傾く。
それで「植民地支配から解放してくれた日本に、アジアの人たちは今でも感謝の気持ちを持ち続けている」と思って、アジアの人たちに話を聞いてみたけれど、そんなことを言う人はだれもいない。

こうした経緯で価値観が移り変わった結果、いまは「ややホルホル(日本をやや自慢、誇りに思う)」という状態に落ち着く。

 

くり返しになるけど、ボクが出会わなかっただけで「アジアを解放してくれた日本に感謝している」という人はいると思う。

でも、アジアの人にそれを期待したり、それが「アジア人の認識」と考えたりはしない方がいい。
そういう話を聞きに東南アジアに行っても、ボクと同じように「あれ?思ってたのと違う」とガッカリするから。

ゲストハウス、レストラン、お土産屋など旅行者が知り合う現地の人では”いない”と考えていい。

ふつうのアジアの人たちにとって興味がある日本は、戦時中ではなくて戦後の日本。
戦後、日本がしてきた支援に感謝している人にはたくさんいた。

それと日本文化に関心がある人は多く、和食、JKT48、一休さんやドラえもんなんかは人気がある。

 

カンボジアにある「キズナ橋」。

お札にも描かれている。

 

こうした個人的な経験から言わせてもらうと、日本には、「日本すごい→ヒドイ」になった人より「日本ヒドイ→すごい」に変わった人の方が多いと思う。

今の日本社会では「日本すごい」の方が勢いがある。
前回紹介した「中国の旅」のような「日本はかつて、こんなにヒドイことをした」という本はあまり売れない。

ボクの場合、そうした本を読んで「日本はヒドイ」と思っていたら、本の内容の多くは間違いでだまされた。

いろいろなマスコミが根拠をしっかり確認しないまま「日本人はヒドイことをした。こんなに残酷な人間だった」と、”日本ヒドイ系”の報道を大量にした結果、今の「日本すごい!」という人たちを生み出した。
こういう面はきっとある。

このことは別の機会に書こうと思う。

 

ミャンマーの蚊取り線香
現地の人が読めない日本語を書いて、日本製に見せかけている。
「日本製は質が高くて信頼できますから、こういうズルいことをする人がいます」とガイドが言う。

 

タイのショッピングモール

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。