日系人が語るブラジルの治安。日本にはない「ファベーラ」

 

日本で10年以上暮らしている日系ブラジル人の女性(30代)と話をしていた時、いつもの質問「ブラジルと日本との違いって何ですか?」ときいたら、「それは治安ですよっ!」と即答。
地理的に日本の反対側はブラジルだけど、治安も対極と言っていいほど違う。
だからそれは予想できていたけど、そのあとでてきた言葉は初耳だ。

「ブラジルにはファベーラがたくさんあります。だから怖いんです。ファベーラって、日本語ではわかりません。日本にはないものですから」

治安に関するもので、ブラジルにあって日本にはない。
ファベーラとはスラムや貧民街のことだった。

コンクリートやレンガで造られた家から廃材で作られた家まで様々であるがいずれも無断で建てられている。おおむね衛生状態は悪く下水処理や病気に悩まされている。

ファヴェーラ

 

こんなフェヴェーラがブラジルの各都市にある。
特にリオデジャネイロにはたくさんのファベーラがあって、市民の4人に1人がファベーラの住民ともいわれているのだ。

以下、ファベーラの様子

 

 

 

ファヴェーラはふだんは警察も避けて通るような、無法地帯らしい。
つまり北斗の拳の世紀末世界か。
失業者はあふれているし、売春やドラッグで生計を立てている人もいるし、ギャングの抗争が終わったあとには死体が転がっている。
話を聞いたブラジル人はファベーラには入ったことがないし、好奇心でもそんな気は起こさない。

別の都市からリオデジャネイロへ引っ越してきた人がドライブをしていて、道を間違えてファベーラに入ったかその近くまで行ってしまった。
「雰囲気がおかしい」と気づいた時にはもう手遅れで、銃を持った強盗に車ごと奪われた。
ホールドアップされたら、命以外のものはすぐにあきらめないといけない。
友人の知り合いがそんな目にあった。

 

国際大会や大きなイベントがあるときには、フェヴェーラに手入れが入ることもある。
でもそれは「がさ入れ」というレベルではなくて戦争だ。

AFPの記事(2010年11月29日)

28日未明から始まったグロタ地区の制圧作戦には、ヘリコプターや装甲車の支援のもと、警察部隊のほか空挺(くうてい)部隊や海兵隊も投入された。

リオの麻薬組織掃討作戦、軍投入でスラムの1つを制圧

リオデジャネイロのファベーラ掃討作戦では、警察か軍のヘリコプターが撃墜された。

うん。
たしかに日本にはいらない。

 

冒頭ででてきた日系ブラジル人が日本の生活で気に入っているのは、安全に生活できるところ。
知らない都市へ行っても不安なく車を走らせることができるし、初めて行く旅行先で夜に出歩いても問題ない。
ファヴェーラのない国はとても住みやすかった。

 

 

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2 件のコメント

  • でもいまは雰囲気が変わって、外国人バックパッカーがたくさんいると聞きました。
    どう変わったか見てみたいです。
    まあ、当分は行きませんけどね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。