日本とインドネシアの関係①歴史教科書からみた日本「解放と独立」


 

 

日本とインドネシアの関係について、ある日本人はこう考えていた。

「インドネシアはオランダの植民地にされていた。日本がその支配から解放した」
「インドネシアが独立を守ることができたのは日本人のおかげだ」

その一方で、あるインドネシア人は日本とインドネシアの関係をこう考えていた。

「オランダの植民地支配が終って、次は日本による植民支配が始まった」

 

この2人が話をしても考え方は合わない。
それで日本人が怒り出す。
そんなことを前に書いた。

インドネシア人を困らせる日本人。上から目線で戦争の歴史を語る

 

太平洋戦争の前後での日本とインドネシアの関係について、以前の記事で書いた。
そのときは日本からの視点で書いたから、今回からはインドネシアからの見方を書いていきたい。

なんでインドネシア人は先ほどのような歴史の認識をもつようになったのか?

 

これはタイの王宮

 

「いいか、歴史と歴史教育は違うんだぞ」

昔出会った先生から、そんな話を聞いたことがある。

大ざっぱにいえば、歴史とは過去におきた事件やできごとのこと。
「1582年に本能寺の変がおきた」とか「2011年に東日本大震災がおきた」といった過去の事実の集合体が歴史というもの。

それに対して歴史教育とは、そうした歴史の事実を知ることで人を教育すること。

だから過去のできごとを、人物や年号と一緒に暗記するというのは歴史教育ではない。
過去の事実を教えることをつうじて、人を育てることが歴史教育になる。

この考えは正しいと思う。
ただの暗記は歴史教育ではない。

 

また、教育実習のときには担当してくれた先生からこんな指導を受けたことがある。

「大事なことは教科書を教えることじゃなくて、教科書で教えること」

教科書に書いてあることをただ読んで生徒に伝えることは教育ではない。
教科書をつかって、人として大切なことや人生の真理などを教えることが教育なんだ。

ということらしい。

今でもこの言葉を覚えているということは、ぼくの心に響くものがあったということなんだろう。
確かに大切な考え方だ。
日本には、こういう教育観をもつ先生は多いと思う。

 

「歴史と歴史教育は違う」
「大切なことは教科書で教えること」
この2つのことは、本質的には同じこと。

過去のできごとや教科書の内容を子ども伝えるだけなら、人間がしなくてもいい。
ネットではそういうことをしてくれるサイトがいっくらでもある。

人間である教員がすることは、あくまでも教育。
人を育てること。

歴史教育についていえば、大切なことは歴史を教えることではなくて、歴史を教えることで人を教育することになる。

 

セネガルの中学校

 

「韓国では歴史を学ぶ目的をどう考えているのだろう?」

そんなことを思いながら韓国の歴史教科書を読んだことがある。
言いかえてみたら、「韓国は国として、どんな考えや価値観をもった国民を育てたいのか?」ということ。

このことは、韓国の歴史教科書の始めに書いてあった。
韓国での歴史教育の目的は、一言でいったら「本当の世界人になること」だという。

中学生用の歴史教科書にこう書いてある。

本当の世界化とは何だろうか?わたしたちの先祖の立派な伝統を豊かな土台として、堂々とわたしたちを紹介し、外国と肩を並べることではないだろうか。

そうであるならな、少しでもわたしたちの歴史と文化を簡単に紹介する程度の知識と自負心を持たなければならず、国史はだから重要なのである。

「躍動する韓国の歴史 明石書店」

 

そして、「もっとも韓国的なものがもっとも世界的」だと書いている。
韓国人はこの言葉が好きで、韓国の新聞でもたまに見る。

世界化の具体的な例として、「外国人に景福宮を案内することができるようになること」が書いてある。

 

でもこれは日本にとっても意義のある考え方だ。
外国人に伊勢神宮を案内することができる日本人は、「本当の世界人(国際人)」といっていいだろう。
日本の歴史・宗教・伝統文化を知って、それを英語でわかりやすく外国人に伝えることができる人は確かに世界人(国際人)だ。

アメリカ人やイギリス人の友だちは、「英語を話せる日本人はたくさんいるけど、日本のことを知っている日本人は少ない」とよく言っていた。

 

それにしても、韓国人は本っ当に「世界化」が好きなんだと思う。
今でも、韓国料理や韓国文化の世界化にがんばっている。

くわしくはこの記事を。

韓国人の日本へのライバル心②応援します!韓国料理の世界化

 

朝鮮時代の王宮「景福宮」

 

前書きが長くなってしまった。

前にインドネシアの記事を書いたときに、インドネシアの歴史教科書を読んでみた。

「教科書を」ではなくて「教科書で教える」という視点で見たばあい、インドネシアの先生たちはこの歴史教科書でどんな教育をしようとしているのだろう?
どんな人間に育てたいのだろうか?

 

そんなことを考えながら歴史教科書を読んでいると、だいたいそれがつかめてきた。

インドネシアの政府や先生たちは、この歴史教科書によって「愛国心(祖国愛)」や「インドネシア民族としての誇り」を子どもたちにもたせたいのだろう。

インドネシアの歴史教科書では、この2つの言葉や内容がよく出てくる。
たとえば、インドネシアの独立宣言の意味をこう書いている。

インドネシア民族は決意と自力で独立した民族となり、3世紀と3年にわたり(それぞれオランダと日本の植民地支配)苦しめられてきた外国の支配から自由になったこと。インドネシア民族は自らの力で国を運営し外からの妨害に対して自国を守ってゆく

独立を充実させ守る努力は我々の共通の問題である。すべての国民はともに国を守る権利と義務を持つ

「インドネシアの歴史 明石書店」

 

インドネシア人にとっての愛国心や誇りは、インドネシアの独立に集約されている。
インドネシアが植民地から独立国になり、その独立を守り続けてきた。
それにはインドネシアの人たちの愛国心や民族の誇りが絶対に必要なことで、歴史教育によってその大切さを子どもたちに教えようとしている。

 

この歴史教科書には、太平洋戦争のときの日本についても書いてある。

「インドネシアの独立はインドネシア人が達成し、守ってきた」ということが教科書のテーマだから、「日本のおかげで独立できた」といった日本への感謝の言葉は一切ない。

 

 

もしインドネシア人と話す機会があったら、「インドネシアの独立はインドネシア人が達成し、守ってきた」ということをふまえて会話をしたほうがいい。

「日本のおかげで独立できた」なんて考え方では、きっと良い関係にはなれない。

次回、インドネシアの歴史教科書の内容について書いていきます。

 

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