地名の由来:ニューヨークの“ヨーク”、ウォール街の“壁”って?

 

「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。」

3世紀の中国で劉備・関羽・張飛の3人が桃の木の近くで、こう言って義兄弟になることを誓ったのが「桃園の誓い」。

で、1792年のきょう5月17日、

「我々、この公開株式を売買する署名者、仲買人は、本契約書によって、互いに厳粛に約束および誓約する。」

とニューヨークのスズカケノキの下で、24人の株式仲買人が誓って成立したのがいまの「ニューヨーク証券取引所」だ。(すずかけ協定
現代の世界経済に、絶大な影響力を持つこのニューヨーク証券取引所はウォール街にある。
ということで今回の話は、ニューヨークとウォール街の由来ですよ。

 

スズカケノキの下に集まるトレーダー

 

1492年にアメリカ大陸がコロンブスに見つかっちゃって以来、この新大陸にはヨーロッパ人が、アポなしでどんどんやって来るようになる。
そして1609年に、オランダ東インド会社に雇われたイギリス人ヘンリー・ハドソンが新しい場所を発見する。
その後、そこに多くのオランダ人が移り住んでコミュニティーが築かれて、オランダの都市にちなんで「ニューアムステルダム」という名前が付けられた。

未知の土地に居住区をつくるのだから、外敵からの襲撃を想定しないといけない。
「ウォール街」の由来は、ネイティブアメリカン、海賊、イギリス人の侵入を防ぐため、ニューアムステルダム入植地に建てられた壁、または城壁(実際には木製の柵)という説が有力だ。

the name of the street was derived from a wall or rampart (actually a wooden palisade) on the northern boundary of the New Amsterdam settlement, built to protect against potential incursions from Native Americans, pirates, and the English.

Wall Street 

1650年代のニューアムステルダム(現在のニューヨーク)

 

このあとイギリスとの戦争で負けたオランダは、ニューアムステルダムを譲り渡す。
するとイギリス国王チャールズ2世は、弟のヨーク公(後のジェームズ2世)にその土地をプレゼントし、それにちなんで、ニューアムステルダムは「ニューヨーク」に改名されて現在にいたる。
「ウォール街」の元ネタと言われる防護壁(wall)は、1699年に解体されたから今はない。
でもその名称からは、ネイティブアメリカン、海賊、イギリス人といった外敵に恐怖したオランダ人の気持ちが伝わってくる。
ちなみにいまのニューヨークを流れるハドソン川の由来は、最初にこの地を見つけたイギリス人ヘンリー・ハドソンだ。

 

おまけ

 

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これは倭寇から一族を守るために、中国人が福建省につくった巨大住宅「土楼」。
海賊対策で周囲を厚い壁で囲んだことで、こんな独特の建物ができた。

米軍「中国の核ミサイル基地?」いえ、福建省の土楼は倭寇と戦うため!

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。