【悪役はいつも英国人?】アメリカ人からみたイギリス英語

 

このまえ知り合いのアメリカ人が誕生日をむかえて、そのお祝いを友人のイギリス人の家でするということで「君もぜひ来ないか?」と招待された。
まあ、「車を出してくれ」ということだけど。

その家には、プレゼントや手作りケーキ(上の写真)を持ってきたアメリカ人・イギリス人・カナダ人がいて、飛びかうネイティブの英語に英検2級のボクはわけわかめ。

そのうち誰かが80年代の曲を聴きたいと言って、イギリス人がGoogleアシスタント内蔵のスピーカーにそれを命じた。
でも、「OK Google」と呼びかけてみるものの、スピーカーは何も反応しない。
「OK Google!」と大きな声で言ってもスピーカーは眠ったままで、アメリカ人が「OK Google」と言うとピコーンと反応して80年代の曲を流しはじめた。
イギリス人は「この野郎」という目でスピーカーをにらみつけて、「グーグルはアメリカの会社だから、イギリス英語は分からないんだ」とアメリカ人が言う。

個人的にアメリカ英語とイギリス英語はアクセントが違うから聞けばわかるけど、カナダ人の英語とアメリカ人の英語はまったく同じに聞こえて区別がつかない。
それはイギリス人もだいたい同じで、アメリカ英語とカナダ英語を聞き分けるのはほとんどできないという。
アメリカ人もカナダ人もそれに同意見。
そもそもアメリカやカナダ国内でも地域によって違いがあるのだから、アメリカとカナダの英語の違いは方言ていどのものらしい。

 

 

日本人が学校で習う英語は基本的にアメリカ英語だ。
少し単語の違いを見てみよう。

アメリカ英語のガソリンはイギリス英語でペトロールになる。
*以下、前がアメリカ英語で次がイギリス英語

サッカーとフットボール
モールとショッピングセンター
バケーションとホリデー
バスルームとトイレ
クッキーとビスケット

スニーカーとトレーナー
*日本でトレーナーというと上着のことだけど、イギリス英語ではスニーカーの意味になる。

ジャージとセーター
*スポーツウェアのジャージはイギリス英語ではセーター。

 

 

イギリス英語とアメリカ英語の違いはときどき話題にあがる。
それで前にイギリス人が、「スターウォーズで帝国側の人間(敵側)がイギリス英語を話していたし、ディズニーアニメでも悪者はイギリス英語だった。アメリカ人のあういうところが嫌い」と文句を言っていた。

そんな話は初耳で「ホントか?」と思って調べてみたら、イギリス紙デーリーメールにそんな記事(20 May 2010)がある。
それによるとハリウッド映画では悪者にはイギリス英語、善人には他の言葉をつかわせる傾向(rule)がたしかにある。
だから、「イギリス人は敵役に適役」というアメリカ人の考え方に不満を言うイギリス人もいる。

In the casting of big budget Hollywood movies the rule is clear: bad guys British, good guys anything but.
Helen Mirren sounded off about this in Los Angeles the other day.
‘I think it’s rather unfortunate,’ she said, ‘that the villain in every movie is always British. We’re such an easy target that they can comfortably make the Brits the villains.’

「Why does Hollywood ALWAYS cast English actors as villains?」

すべてを大文字で書くときは強調する目的があるから、「ハリウッドはいつも英国人俳優を悪人に起用する」といった感じだ。

 

でもそうかと思えば、日本人向けに英国人がイギリス英語を紹介するブログでは、一見逆のことが書いてある。

アメリカ人はイギリス英語に対して高級で良いイメージを持っている事は事実です!(中略)これもアメリカ人のイギリス人に対するイメージですが、イギリス英語を話す人は頭良さそうに聞こえるらしいです。

イギリス英語学習者・ファンは必見!イギリス英語はアメリカ英語より良い10の理由

 

イギリスやイギリス英語についてどう思うか、アメリカ人にメールで聞いてみたところ、こんな返事が到着。

The stereotypical image of The UK is that they’re very “proper” and intelligent.
Obviously thats not necessarily true. (Although Im sure it is true for some)
wish all stereotypes were as positive as that one.

イギリスへのステレオタイプのイメージには、とても「proper」(適切、きちんとした、礼儀正しくて上品、気取った)とか知的といったものがある。
必ずしもそうではないけれど。

 

ということでこれまでの話をまとめると、アメリカ人の見方としては「知的で品のある悪役」にはイギリス英語を話す英国人がぴったりということになる。
ってことは、雑で乱暴な悪役はオーストリア英語か?
悪役ではないけど、「クロコダイル・ダンディー」で描かれるオーストラリア人にはそれっぽい雰囲気があるとおもう。
上のアメリカ人はこういう負のステレオタイプを嫌っている。

 

 

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4 件のコメント

  • >スターウォーズで帝国側の人間(敵側)がイギリス英語を話していたし
    というのはちょっと英国人の被害妄想では? というのも、EP4でジェダイの騎士の唯一の生き残りだったオビ・ワン・ケノービを演じたアレック・ギネスは、英国の俳優ですから。SWは、イギリス英語を悪役に割り当てたのではなくて、「古い時代の伝統を受け継ぐ人々」をイギリス英語で表現したのではないでしょうか。

    >ってことは、雑で乱暴な悪役はオーストリア英語か? 悪役ではないけど、「クロコダイル・ダンディー」で描かれるオーストラリア人にはそれっぽい雰囲気があるとおもう。
    これは確かにその通りなのです。で、その下にさらに「白人に教えられた原住民が話す訛りの強い幼稚な英語」というのがありまして、それが東南アジアの人々が話す「ピジン・イングリッシュ」です(ほとんど差別用語ですが)。日本人の英語もしばしばピジンの一種に分類されます。どうやらアジア人の英語は、彼らにとっては、「幼稚な発音(?)」に聞こえるらしい。
    しかしながら、東南アジアの中でも、シンガポール人の英語「シングリッシュ」だけは、ピジンよりも正当な英語に近いものとして分類されます。ほとんどオーストラリア英語に近いレベルらしいですよ。Have a good die! なんて笑って言われてもまだ死にたくない。(って、シンガポール人がオーストラリア英語を馬鹿にしてました。)

  • 日本人からするとアメリカ英語とカナダ英語は殆ど同じように聞こえるのはよくある話です。

    オーストラリア英語はイギリス英語寄りですが、「A」を「エー」ではなく「アイ」と発音します。

    「I go to the hospital today.」は「私は今日病院に行く」の意味ですが、オーストラリア英語は「I go the hospital to die.」で、「私は死ぬ為に病気に行く」の意味になりドン引きされるとのことです。

    インド英語は訛りがかなり強く、シンガポール英語も中国語訛りの発音です。

    和製英語は太平洋戦争の鬼畜米英により強制的に英語→日本語に変換されました。但し、米英は日本語の勉強を推奨し、日本も英語の勉強を推奨しました。実際は民間が勝手にやっただけのようです。

    また、一昨年9月に引退した安室奈美恵の代表曲「can you celebrate?」は英語圏では「どんちゃん騒ぎしましょうか?」と想定外の意味になります。

  • イギリス人にはイギリス人の発想があるんでしょうね。
    まあこの人からしか、こんな不満は聞いたことがありませんけど。
    オーストラリアの英語は別格ですね。
    日本人もジャパニーズ・イングリッシュに自信を持つ必要はありませんが、劣等感を抱く必要はありませんね。

  • オーストラリア英語では私も同じような誤解をしました。
    カンボジアで「3 days」が「ダイ」と聞こえて、地雷で3人亡くなったのかと。
    「can you celebrate?」の話は初耳です。
    しんみりとした雰囲気とは正反対ですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。