始めの一言
「一つのことが、この国の巷で目につく。街には人はあふれているが、いっこうに騒々しくはない。人びとは大声で話すことを知らないかのようである。
(タゴール 大正時代)」
前回の記事で、「日本に来た台湾人が日本のバスに驚いた」ということを書いた。そのとき思い出したことがある。
カンボジア人の友人が初めて日本に来たとき、日本のあるものが印象に残っていると話していた。
それは日本ならどこにでもあるものだけど、彼が言うにはカンボジアにはないらしい。
彼がセントレア空港に着いた後、名古屋市内へ向かうバスに乗っていたときトンネルを通った。
これが彼にとって印象に残る体験だったという。
「だって、カンボジアにトンネルなんてありませんから。トンネルを通るなんて、人生で初めてのことでした。『トンネルの中って、こんなふうになっているんだなあ』って、ちょっと感動しましたね」
こういう話を聞くと、人が驚いたり印象的に感じたりする「ポイント」は、国によって違うんだな、と実感する。
「カンボジアにはトンネルはないけど、地雷はたくさんありますよ!」
と言って笑うカンボジア人の笑いのポイントも、ちょっとボクには分からない。
さて、セントレア空港に着くまで、ヒマでヒマで退屈で退屈な時間をどうしようか、という件。
前回の記事では、台湾のことを書いた。
今回と次回の記事では、「使える英語と使えない英語」について書いていきたいと思う。
まずは、「使える英語」の方から。
これは、一緒にラーメンを食べに行ったイギリス人から学んだ英語の表現。
大盛りのしょうゆラーメンを、おいしそうに食べているイギリス人に聞いてみた。
「そのラーメンはどう?」
「Fantastic」
と、彼が言う。
Fantastic?
ラーメンの感想で、「ファンタスティック」なんて言葉を初めて聞いたぞ。
「ラーメンの味を『ファンタスティック』って言っていいんだ?」
「もちろん!『It is good』『It is delicious』『It is fantastic』、何でもいいよ」
「ファンタスティックなラーメン」というのは耳慣れない言葉だけど、ネイティブスピーカーがそう言うんだから、それでいいんだろう。
これが、その「ファンタスティックなラーメン」
そのときに思ったことがある。
「そういえば、オレの食べ物の感想っていつも「delicious」かたまに「good」だけだったな」
前にアメリカ人の女の子とパスタを食べていたとき、「yummy(ヤミィ:おいしい)」と言ったら、その子からこう言われた。
「それは子どもや女の子が使う言葉だから。あなたは使わない方がいい。キモイですね」
英語を教えている中学生から、この「キモイ」という日本語を教わったらしい。
外国人から「キモイ」と言われのは初めてて、ちょっとした衝撃だった。
そんなことがあったから、「good」や「delicious」以外の英語表現もおぼえたほうがいいんだろうなあ、とは思っていた。
英語には「おいしい」を表す言葉がけっこうある。
だから逆に、日本に住んでいる外国人が日本のグルメ番組を見てよくこう思うらしい。
「この人たち、何を食べてもいつも同じ言葉しか言わない・・・」
前にこんなメールをアメリカ人からもらったことがある。
「on TV they only ever say “umai” and “oishi” ne?」
日本のグルメ番組ではいつも「うまい」「おいしい」しか言わないから、外国人にはあまり日本語の学習にはならないという。
他にあるとすれば、「ヤバい」くらいかな?
「おいしい」を英語でどう言うのか?
友人のアメリカ人にメールで聞いてみた。
こんな表現があるらしい。
「it’s so good」
「that tastes amazing」
「it has so much flavor」
「its incredible」
でも、「it’s yummy (men typically don’t use this one)」とあったから、やっぱりいい年した男が「ヤミィ」とは言わないほうがよさそう。
外国人と食事をする機会にいろいろな「おいしい表現」をつかってみてください。
さっきの「fantastic」という言葉を、別のイギリス人から聞いたことがある。
イギリス人と一緒に仕事をするになったとき、初めて会った彼にこんなあいさつをした。
「~です。今日、一緒に仕事をします」
すると彼はこう言う。
「oh, fantastic」
日本人なら、「~です。こちらこそ、今日はよろしくお願いします」となる場面だけど、こういうときにも、「fantastic」と言うらしい。
これには新鮮な感じを受けた。
というわけで、食べ物の感想や「よろしく」の意味でこの「fantastic」は使える。
イギリス人の話では、声の大きさやジェスチャーを変えることで「fantastic」の意味やニュアンスも変わってくるという。
イギリス人とラーメンを食べたときにこんなことがあった。
彼の「Fantastic」という言葉はお世辞ではなかったようで、彼はスープを残さず飲み干してしまった。
そしてこんなことを言い出す。
「オレ、知ってるぜ。日本ではラーメンを食べ終わったら、こうするのがマナーなんだろ?」
そう言って、ラーメンのどんぶりを反対にして「ドンッ」とテーブルに置いてしまった。
こういうことをする人をテレビで見たことはあるけど、実際どうだろう?
ラーメン屋にしてみたら、うれしいのことか?
けっこう迷惑じゃないか?と思ってしまうけど。
それにしても不思議だったのは、このイギリス人はどこでこんなことを知ったのか?
「ネットで知ったよ。ネットを見たら何でもわかる。ラーメンの種類とか食べ方とかね」
ということらしい。
世界は本当にせまくなっている。
この記事をどうぞ。
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