【仏教徒と蚊】日本人・スリランカ人・ミャンマー人の違い

 

8月20日はこんな日もあるのか、「蚊の日」だ。
日本では日清戦争が終わった直後の1897年のこの日、インドにいたイギリス人の医学者ロナルド・ロスが蚊(ハマダラカ)の胃からマラリア原虫を発見。
マラリアは蚊によってもたらされる!ってことを証明したロスは、この功績によってノーベル賞(生理学・医学)を受賞した。
ただ、世界3大感染症の一つであるマラリアにはまだワクチンが開発されてなく、いまでも年間約2億人が感染し70万人以上が亡くなっているから、人類がこの病気を克服したわけではない。
地球上の生き物で、最も多くの人命を奪うのが蚊だ。

人間(海外旅行者)にとって、最も危険な生物とは?② 

 

こんな恐ろしい病気を運ぶヤツは別として、一般的に蚊は「ウザくて刺されるとかゆい虫」ぐらいに考えられている。
そんな蚊に対する反応で、“お国柄”があらわれることもある。
まえにスリランカを旅行した時、現地の日本語ガイド(いまなら60代の男性)に、スリランカ人と日本人との違いをたずねるとこんな答えが返ってきた。

「そうですねえ。わたしにとっては平気で虫を殺すことです。蚊が腕や足に止まると、日本人のお客さんは年齢や性別に関係なく、すぐにバシッとたたきます。仏教では殺生を禁止していますから、スリランカ人はフッと息を吹きかけて蚊を飛ばします」

ただ、このへんは世代間で違いがあるらしい。
20代のスリランカ人にこの話をすると、「親はそうしますけど、わたしはたたきます。ゴキブリも同じです。害虫を殺すのは仕方ないですよ」と言って笑う。

 

ダルマみたいなミャンマーのお土産

 

スリランカ人と同じく、熱心な仏教徒の多いミャンマー人からも似た話を聞いたことがある。
知人のミャンマー人男性は自分の血を吸った蚊を許さない。絶対にだ。
そんな蚊がいたら、「電撃殺虫ラケット」を持って部屋中を追いかけまわして、自らの命でもって吸血行為の責任を取らせる。
そんな修羅のようなダンナとは違って、妻は蚊に血を吸われても気にしないか、むしろチョットうれしい。

妻の考え方によると、蚊は動物の血を吸わないと生きていくことができない。自分の血を与えることは蚊に命を与えることになるから、それは仏教的にはとてもイイことになる。
多少のかゆみよりも、それによって善行を積むことができたという満足感が上回るから、妻は自分の腕や足に止まって血を吸う蚊を見てもそのままにしておく。
そんな妻について夫は、「まるで菩薩ですね。わたしには到底ムリですよ」と言うことは特になくて、「あのヒトは頭おかしいですよ~」と笑うだけ。
知人のミャンマー人が言うには、妻のようなケースは例外的だけど、蚊をたたかずに息を吹きかける人はよくいる。

日本人でも殺したくないという思いから、蚊を吹き飛ばす人の話は聞いたことがある。が、国民のほとんどは「血には血(命)を」で、ハンムラビ法典みたいに蚊に容赦はしないでバチンといく。
まえにネット掲示板で、「お坊さんはGを殺すのか?」という質問を投げかける人がいた。
それには「殺しますよ。害虫ですから」、「害虫や益虫という発想は人間の勝手な考えです。わたしは無視します」、「お寺で見つけたら何もしませんが、家で出てきたらあの世に送ります」といろんな答えがあって面白かった。

同じ仏教徒でも信仰心の深さでいうと、個人的な印象としては「日本人 <(越えられない壁)< スリランカ人 ≦ ミャンマー人」とそれぞれ違う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。