近ごろ日本の電化製品は海外で元気がないのだけど、それと対照的に、マンガとアニメは人気を集めている。
ということで今回は、ミャンマー・韓国・ロシアでデスノートがどう思われているか見ていこう。
上のバッグは、ミャンマーの街中で見かけたもの。
このとき一緒にいた日本語ガイドが持ち主から話を聞くと、その女の子はデスノートが死ぬほど好きで、あるとき店でこのバッグを見つけて、勇気のいる値段だったけど、思い切ってその場で購入。
以来、とても愛用していて、まわりもこのアニメを知っているからバッグの受けもいい。
日本語ガイドもデスノートは好きで、日本のアニメは全体的に絵もストーリーもキャラクターの心情描写も、それまで見た海外のアニメとは一線も二線も画していて別格と言う。
ミャンマーは保守的な社会だから、日本のマンガやアニメの発想や表現はすごく新鮮で人気が出るのも当たり前だとか。
でもミャンマーが保守的なのは、まじめな仏教徒が多いから。
たとえばそのガイドは蚊に血を吸われても、バチンとたたいて殺すことはしないで、フッと息をかけるだけという。
そんな優しい価値観から、人の死が多いデスノートには「過激すぎる」という声もあったらしい。
これは10年以上前に聞いた話だから、いまの事情は分からない。
デスノートは韓国でも有名だ。
そのことは韓国の全国紙・朝鮮日報の記事の見出しを見れば分かる。(2021/01/21)
康京和外相更迭…「金与正のデスノート」にやられたか
外交部長官(外務大臣)だった康京和(カン・ギョンファ)氏が突然、姿を消して韓国社会に衝撃が走る。
この少し前、北朝鮮の有力者である金与正(キム・ヨジョン)氏がカン氏を名指しして、「正確に計算されなければならないだろう(代償を払うことになるだろう)」と非難していた。
その約1か月後にカン氏が更迭されたことから、韓国の官庁街では「金与正に目をつけられたら無事ではいられない」という意味で「金与正デスノート」という言葉が飛び交い始めたという。
外務大臣の人事は置いといて、韓国ではこんな出来事があると「~デスノート」という表現が自然に出てくるほど、このアニメは社会に浸透しているらしい。
日本の官庁街の人間や全国紙なら、こんなことばは使わないだろう。
ひょっとしたら、日本よりもファンが多いかも。
ロシアではここ最近、日本のアニメやマンガの人気が上昇中で、「コスプレをする」という意味の新しい動詞が生まれたほど。
デスノートもよく知られている。がその人気がアダになって、サンクトペテルブルクの裁判所がこれを放送禁止にする決定を下した。
ほかに「いぬやしき」、「東京喰種トーキョーグール」、「エルフェンリート」などもこんな理由からバンされた。
産経新聞の記事(2021.1.21)
検察当局は「過激な内容を含むアニメが未成年者に自殺などの害を及ぼすということが認められた」とコメントした。
日本アニメ人気の露、「デスノート」「いぬやしき」など国内配布禁止 過激表現理由に
日本のアニメの暴力や死、性的描写のシーンを見ると、健全なロシア国民が育たないらしい。
この中でデスノートとトーキョーグールなら見たことあって、ストーリーはとても面白くて深いとしても、たしかにあれは子供の心には重すぎる気がしないでもなし。
こんなサンクトペテルブルクの決定に日本の反応は?
・これは分かるw
・ジャンプ作品なんですが…
・まんが日本むかしばなしもダメそう。
・アメリカではもののけ姫がグロいと上映禁止になったとかあったよな
国によってだいぶ感覚が違うのはしょうがない
・アニメ見て自殺するんか
ロシア文学とかのほうが死にたくなりそうだけど
・ノートに「プーチン」って名前を書く遊びが流行りそうだもんな
でも、日本で恐ろしいのは2次元での話。
ロシアでは反体制派指導者ナワリヌイ氏が工作員に毒殺されそうになったとか、日本人が震え上がるような出来事が現実世界で起きている。
日本アニメの「過激な内容」が問題視されたけど、プーチン大統領ほど過激な人間は日本にはいない。名前を書かれたって、「法則」を破壊して生き延びられそう。
そんな国だから逆に、子供向け番組の規制が厳しいかもしれない。
すこし話は変わるが、まえにアメリカ人から、ドラマの自殺シーンでとても規制が多い理由を聞いたことがある。
アメリカ社会では銃が身近にあって、その時の気分で突発的に自殺しやすい環境にある。
それに、ドラマのシーンが原因で訴訟を起こされる可能性もあるし、もし裁判で負けたら、とんでもない額の賠償金を払わないといけない。それで表現には慎重になる。
そんな話を聞いて、「なるほどね」と思った。
「郷に入っては郷に従え」で放送禁止になるのは、それだけの理由がロシア社会にあるからだ。
逆に考えると、日本・ミャンマー・韓国はわりと安全で健全な社会ということか。
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>ロシアでは反体制派指導者ナワリヌイ氏が工作員に毒殺されそうになったとか、日本人が震え上がるような出来事が現実世界で起きている。
うーん、これ実はロシアにおける「呪術的迷信」の根の深さに関係があるのですよ。
日本ではあまり知られてないのですが、例えば中南米のブードゥーとか、ロシアの(何だっけ?)マトリョーシカ人形とか、一般民衆の生活圏ではそのような「得体のしれない呪術や魔物」によって人々が死に追いやられる話が、ロシアにはありふれた迷信(?)なんです。
かつてのソ連KGBとか特殊部隊スペツナズとか、プーチン政権の暗殺部隊とか、いずれもそのような「魔物」の一族であると一般民衆には思われているようですよ。都合の悪い人間はいつの間にか消されると。
英国の007とか米国のCIAとかに比べて、ロシアのその方面の小説・映画は全体雰囲気が陰湿ですよね。
現実 プーチンノート 金正恩ノート 習近平ノート