さて、前回の続きです。
外国や外国人にあまり興味や関心がない人だったら、正直、「日本」や「日本人らしさ」ということを、特に意識しなくてもいいと思う。
「日本人なら、誰でも知っておくべきだ!」と、力を込めて言いたいところだけど、実際、そんなことを知らなくも生活はできてしまう。
実際ボクの親や友人は、「日本人らしさ」なんてほとんど知らないけれど、それでいて困っている様子はない。
「そうしたことを知っておいた方が絶対に良い」、とボクとしては思うけれど、それは本人が決めることで、周りが押しつけてはいけない。
特に、70を越えたウチの親が、今さら「日本人や日本とは何だろうか?」なんて考える必要はない。
そんなことが分からなくても、テレビの予約録画さえしっかりできれば、日々、幸せに過ごすことができる。
そんな親や友人でも、気がつかないうちに、坂口安吾のいう「日本精神」をしっかりもっている。
ウチの親は、外国や外国人のことをほとんど知らないから、その意味では、日本精神の塊のような人だ。
ボクがもっている日本人らしさ(日本精神)は、親から引き継いでいるものが多い。
そうした人たちではなく、外国人と交流したり異文化に興味があったりする人であれば、前回書いた「そのままではいけない日本人」になる。
ただこれも、「『日本』や『日本人らしさ』を知らないままではいけない!」とまでは、強くは言えない。
実際、ボクの周りを見渡しても、そんなことを知らなくても、ボクより上手に外国人と付き合っている友人はいくらでもいる。
外国人と付き合うには、英語力やノリなど他にもいろいろな要素がある。話す話題も、日本のことの他にたくさんある。
自分が「何をどのくらい知るか?」ということも、あくまで本人が判断すること。
ただボクとしては、「絶対、知っておいた方がいいですよ」という気持ちはある。
外国人に日本や日本人のことを伝えることは、とても大切なことだと思う。
ボクの経験から言わせてもらうと、その理由は二つある。
一つ目は、それが日本に来てくれた外国人への「おもてなし」になるから。
前回の記事で、坂口安吾(日本文化私論)の次のような力もこもった言葉を紹介した。
説明づけられた精神から日本が生まれるはずもなく、また、日本精神というものが説明づけられるはずもにない
日本精神はとは何ぞや、そういうことを我々自身が論じる必要もないのである。説明づけられた精神から日本が生まれるはずもなく、また、日本精神というものが説明づけられるはずもにない
先ほども言ったように、日本人が「日本人らしさ」や「日本」を説明できなくても生活していて困ることはまずない。
でも、外国人には、そうしたことを知りたいと思っている人がいる。
しかも、その数は年々増えている。
今、アニメや日本料理といった日本文化が国境を越えて世界中に広がっている。
そのことは、テレビ番組などを見て知っている人も多いだろう。
そのことで、外国人が日常の生活で「日本」を目にする機会も確実に増えている。
ボクが、外国を旅行していても、外国で日本に関連したものを見ることは、15年前に比べて確実に増えている。
例えば、中国を旅行していたとき、ふらりと入ったケンタッキーでは、「ワンピース」がデザインされた商品を見た。
この2年前には、反日暴動が起きて日本のショッピングセンターが「焼き討ち」された国なのに。
また、タイのバンコクでは、「ターミナル21」という大きなショッピングセンターがある。
このショッピングセンターは、他のショッピングセンターにない特徴がある。
ターミナル21の特徴は「空港のターミナルをテーマにしたショッピングセンター」ということが一番にいえます。日本の東京、アメリカのサンフランシスコ、ハリウッド、ヨーロッパのパリ、ローマ、イスタンブールなど各階ごとに名がついています
(BANGKOK navi)
各階ごとに、世界のどこかの国がイメージされているのだけれど、アジアでは日本が選ばれている。
以下の写真は「ターミナル21」のもの。
第二次世界大戦中、タイは東南アジアで、ただ一つの日本の同盟国だったこともあるせいか、タイでは日本は人気がある。
もちろん、こうしたことの背景には、「日本を世界に伝えよう」と、政府が国をあげて行っている「クールジャパン」の影響もあるとは思う。
そうした自分の身の周りで、日本を目にしていると、「本当の日本」に行きたいと思う人も当然出てくる。
そして、実際に、日本に観光で来たり、日本で生活したりする外国人は急増している。
このことは、国内に住む日本人も感じているだろう。ボクが街を歩いていても、外国人を見かけることは確実に増えてきている。
そして、そうした日本にいる外国人は、程度の差はあれ、日本や日本人について興味や関心はある。
日本に興味をもって来てくれたのなら、存分に日本を味わってもらい。そのためには、日本人の側としても、それなりの「おもてなし」をする必要があると思う。
以下、次回で。
コメントを残す