インド人から見た日本:カレーの違い・歴史・イギリス伝来

 

はじめにクイズを1つ。

次の文に描かれている人物はだれ?
次の文に描かれている人物はだれ?(Qさま風)

*威厳は「いげん」、貫録は「かんろく」。

「その部屋は縦十三畳、横四畳の広さがあり、樹木や鳥が黄金をもって描かれており、関白は奥の上座に坐し、絶大な威厳と貫録を示していた。副管区長が入室し、最初の室の入口においてただちに関白に向かい屈身して敬礼した。副管区長に続き、他の司祭たちが一人一人同じように身をかがめて敬礼しながら進んで行く
(ルイス・フロイス 戦国時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

戦国時代。黄金が好き。
そして「関白」といえば?

 

答え:「豊臣秀吉」でした。

toyotomi_hideyoshi

 

とよとみ‐ひでよし【豊臣秀吉】

[1536~1598]安土桃山時代の武将。

織田信長に仕え、戦功をたて、羽柴秀吉と名のった。

信長の死後、明智光秀・柴田勝家を討ち、ついで四国・九州・関東・奥州を平定して天下を統一。
この間、天正13年(1585)関白、翌年太政大臣となり、豊臣を賜姓。また、検地・刀狩りなどを行い、兵農分離を促進した。
のち、明国征服を志して朝鮮に出兵したが、戦局半ばで病没。茶の湯などの活動も盛んで桃山文化を開花させた。

(デジタル大辞泉の解説)

ところで、上の絵を見てなんか不思議に思いませんか?
顔に比べて、秀吉の手が小さいような?

じつは豊臣秀吉には指が6本あって、本人はそれにコンプレックスを感じていた。だからあえて手を小さく描かせた。
そんな説がある。

 

インドの城

 

この前、インド人の友だちから夕食に招待された。

今回はそのときにインド人から聞いた話を中心に、インドと日本の食文化について書いていきたい。
日本のカレーとインドカレーの違い。
日本でカレーが広まった歴史なんかについて。

 

その日のメニューは、予想どおりカレー。
でも一緒に出てきたのはナンではなくて、「プリー」という揚げパン。

インドでは、これでカレーをはさんで食べるという。

プーリー(पूरी)は、チャパティと同じ全粒粉の生地を薄い円形にのばし、油で揚げたもの(揚げパン)。揚げ油の温度を低めに保ち、生地がよく膨らむまで油の中に沈めて揚げる。揚げたては風船のように大きく膨らんでいる。

(ウィキペディア)

左がプーリーという揚げパン

 

インド人がインド人用につくったカレーだから、とても本格的。
スパイスがよく効いていて、容赦のない辛さ。

そんなボクの様子を見てインド人がこう言う。

「辛かったら、ヨーグルトを入れて食べればいい」

インドでは、カレーにヨーグルトを混ぜて辛さを調節するらしい。

 

サラダにはこしょう(?)がかかっていた。
これがインド流のサラダか?

 

逆にインド人は、日本のカレーをどう思っているのだろう?

それをインド人に聞いてみた。

「日本のカレーですか?悪くはないと思いますよ。ボクはあんまり好きじゃないですけど。スパイスが効いてないから、甘いんですよね。インドのカレーとは全然違います」

そりゃ、本場のインドカレーとは違うだろうね。
日本人とインド人とは舌(味覚)が違うから。
インドのカレーをそのまま日本で出しても、人気は出ないと思う。

 

彼の友だちで、こんなインド人がいたらしい。
日本でカレーを食べたとき、それがカレーだと気がつかなかった。
それぐらい日本のカレーとインドカレーは違う。

 

ちなみに彼は、インドの家族へのお土産でボンカレーを持って行った。
でも家族の反応はイマイチ。

「おまえ、次は別の物を買って来い」と言われたとか。

 

カレーもいいけど、ボースもね。

インドについていえば、日本人としてはインドの英雄「チャンドラ・ボース」も知っておきたい。
東インドではガンディーよりも尊敬されているという。

インドで尊敬されるチャンドラ・ボースと日本軍のインパール作戦

 

もともと日本のカレーは、インドから来たのではない。
イギリス人が日本に伝えたもの。

農林水産省のホームページにはこう書いてある。

明治(めいじ)時代は、アメリカやヨーロッパの文化が日本に積極的に取り入れられ、その中でイギリスからカレーが伝わりました。

カレーはどこから来たの?

だから、日本のカレーはインド料理ではなくて西洋料理になる。
日本で初めて西洋料理の作り方を紹介した「西洋料理指南」にも、カレーの作り方が書いてある。

 

これは、日本のカレーの歴史にとって画期的だったと思う。
西洋料理指南というのは、今でいうCOOKPADみたいなもの。
京都外国語大学図書館のホームページにはこうある。

本書編集の目的については、西洋料理から学びとって健康増進・体格向上をはかること、欧米旅行をする際のテーブル・マナー等に精通すること、調理法を学ぶこと等をあげている。

本文には調理用の道具などを図示しているが、フライパンを「鉄葉」と呼ぶなど定着した呼称がその頃まだなかったことがわかる。

西洋料理指南

この西洋料理指南が出たのは、明治5(1872)年のとき。
このころから、カレーが日本に広がっていく。

 

日本のカレーはイギリス由来だから、インドカレーとは違う。
日本のカレーとの違いとして、「インドカレーにはカレー粉がない」ということがよくあげられる。

19世紀、イギリスで初めてカレー粉が作られました。インドにはカレー粉というものはなく、いろいろなスパイスを組み合わせて、カレーの味をつくっているのです。

カレーはどこから来たの?

カレー粉に近いものとして、インドには「ガラムマサラ」がある。

 

日本のカレーとインドのカレーは違うけれど、時代によってもカレーは変化している。
明治時代の日本人は、カレーにカエルを入れていたらしい。
今からは考えられない。
「カエルカレー」は今じゃ、絶対にありえない。

日本人の食文化:江戸は犬肉を、明治はカエル入りカレーを食べていた

 

「ナン」はペルシャ語。
インドのヒンディー語ではない。

 

タンドールでつくる「タンドリーチキン」も、もとはインド料理ではない。

現在の形のタンドールはアフガニスタンで発生し、ムガル朝のインド征服とともにインドに伝わった。

(ウィキペディア)

「インド=ペルシャ料理」といった方が正確だと思う。

 

「日本のカレーはインドのカレーとは、まったく違う!」

そのことが世界でもっともよく分かるのはインド人だろう。

日本に来て生まれて初めて「日本化したカレー」を食べてがっかりしたインド人がいる。
「中村屋」のホームページにそのことが書いてある。

「東京のカレー・ライス、うまいのないナ。油が悪くてウドン粉ばかりで、胸ムカムカする。~略~カラければカレーと思つてゐるらしいの大變間違ひ。~略~安いカレー・ライスはバタアを使はないでしョ、だからマヅくて食へない」

これは昭和7年、とある新聞の特集で紹介された、とあるインド人の嘆きです。昭和初期、日本にはすでにカレーライスがありましたが、それはイギリス経由で渡ってきた小麦粉を使った欧風料理。

純印度式カリー

日本のカレーは「小麦粉を使っている」というところもインドカレーとは違う。
それがカレー粉なんだけど。

 

一般的に「ヒンドゥー教徒は牛肉を食べない」と言われている。

でも友人のインド人は違う。
彼はヒンドゥー教徒だけど牛肉を食べる。
でも同じヒンドゥー教徒の奥さんは絶対に牛肉を食べない。

ヒンドゥー教徒といってもいろいろなヒンドゥー教徒がいる。
南インドにはビーフカレーもあるらしい。
インド旅行でケララ州に行ったときに、ビーフカレーのことを聞いた気がする。

 

 

もうすぐインドにカエル、いや、帰る彼にこんなことを聞いてみた。

「インドに帰ったら、どんな日本食が食べたくなりますか?」

「え~っと」と考えてこう言う。

「ダンプリン(中華まん)ですね。肉まんはきっと食べたくなります」

え?肉まん?
それは意外。
というか、あれを日本食と言っていいのか?
理由を聞いたら、インドには中華まんがないからだという。

 

「モモならありますけど、あれは日本の肉まんとはだいぶ違いますから」

モモは、広くチベット文化圏で食べられる小籠包、蒸し餃子、肉まん(包子)に類する食べ物。

(ウィキペディア)

モモ(ウィキペディア)

 

彼はカレー系の中華まんが大好物らしい。

「キーマカレーまんは最高ですね。大好きですよ」

キーマカレーまん!
それも意外やな。

でも、ちょっと待て。
「キーマカレーまん」って、もはや中国とインドの要素しかない。
日本食とは言えんだろ。

「去年はファミリーマートでキーマカレーまんを売っていました。でも、今年は売っていません。どうしてですか?」

知らんよ。
ファミリーマートのカスタマーサービスに聞きなよ。

 

 

おまけ

今のイギリスでも、カレーは大人気。

「カレーは、イギリスの国民食だ!」と言った大臣もいる。

チキンティッカマサラ

イギリスでは非常に人気のあるカレー料理で、ある調査によるとイギリスで最も人気のあるレストラン料理とされる。イギリスで注文されるカレー料理のうち7食に1食がチキンティッカマサラである。人種を問わずイギリス国民に人気があることから、ロビン・クック元外務・英連邦大臣はチキンティッカマサラをイギリスの国民食と呼んだ。

(ウィキペディア)

chicken_tikka_masala

チキンティッカマサラ(ウィキペディア)

 

おまけ

インド北部のインダス川。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。