【マナー警察】タイで日本人モデルの姿が物議をかもす

 

7年前にタイで、数十人の中国人観光客がビーチで裸になってパーティーをして、現地の人たちを怒らせる出来事が起きた。
場所も悪かった。
この連中は、タイ王室の避暑地であるホアヒンで大声で騒いでいたから、もともとタイでマナーの悪さには定評のあった中国人の印象はさらに悪化する。
でも、後から、全裸パーティーをしたのはなんと日本人の集団だったと発覚し、事故に巻き込まれた中国はこんな不満そうな記事を書く。

人民網日本語版(2016年03月11日)

日本人観光客がタイで全裸でダンス、中国人が濡れ衣に

暗い夜のビーチで、東洋人が騒いでいたから、タイの人たちは先入観から「中国人に違いない」と思ってしまったらしい。
でも、まぁマイペンライだ。

いま偶然出てきたこのマイペンライという言葉は、「問題ない・何とかなる・大丈夫」といったで、タイ人の性格を表すときによく使われる。
タイ人の知人によれば、遅刻から飲酒運転まで、日常生活で起こる多くの問題を「マイペンライ」のひと言で片づけることができてしまう。
でも、タイには、この便利な言葉が通じない領域がある。
タイ国民は仏教と王室に関してはマジでガチだから、この2つに対する無礼な態度はマイペンライでは済まされない。

 

タイの首都バンコクには、「ワット・プラケオ」「ワット・ポー」「ワット・アルン」という三大寺院がある。
初めてタイを旅行する日本人観光客がよく行くところで、個人的には、京都旅行をする外国人にとっての伏見稲荷大社、清水寺、金閣寺みたいなところだと思う。

タイでは、神聖なお寺を訪れる際には服装規定があり、肌の露出の多い恰好をしてはいけない。
ボクがタイ人の日本語ガイドに聞いた話では、肩や足が見える姿はダメだから、キャミソール、タンクトップ、ノースリーブ、短パン、ミニスカート、ダメージジーンズはアウトだ。
*くわしい情報はタイ政府観光庁「エチケット 」で確認のこと。

バンコク三大寺院の一つであるワットポーは、約45メートルの涅槃仏(トップ画像)があることで知られている。
”事件”はそこで起きた。
最近、モデルの滝沢眞規子さんがワットポーを訪れて、「図らずもWat Phoと本日の服がマッチした気がする」というカジュアルなメッセージと写真をインスタグラムにアップした。
オレンジのロングスカートや長袖の上着は、タイのお寺では問題ない。
ただ、スケスケのシースルーで、その下にはブラしか着けていないように見えたから、日本のネット上で、マナー違反かどうをめぐって物議をかもす。

 

 

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滝沢眞規子(@makikotakizawa)がシェアした投稿

 

ネットでは賛否に分かれたが、「否」の方が多い印象。

・あかんやろ
・肩は出てないしスカートも長いからセーフじゃね
・これはアウトかなあ
・さすがにいちゃもんやろ
・ワーオ、さすがに場違い
・本当にダメなら入る前に止められる

 

この姿がマイペンライかNGかは、ワットポーの担当者が判断する。
タイのお寺の服装規定には差があって、王宮寺院である「ワット・プラケオ」は特に厳格だけど、その他のお寺はそれほど厳しくはない。
ボクの記憶では、ワットポーで服装チェックがあるのは涅槃仏のある建物で、もしそこでダメ出しをくらっても、スタッフが羽織ものを貸してくれるから、中へ入ることはできる。
この涅槃仏を除くと、服装基準はわりとゆるくなって、ショートパンツ姿の白人女性が境内を歩いていたのを見て、ビックリしたことがある。
この写真だけでは確かなことは分からないが、このモデルさんも涅槃仏のところでは羽織ものを着て中へ入り、境内はこの格好で歩いていたのか、もしくは写真を撮る時だけ、この姿になったと思われる。

「裸パーティー」事件とか、タイで問題視される観光客のマナー違反は、まず現地で大きな騒ぎになって、日本人の知るところとなるのが一般的だ。
でも、今回は違う。
日本人に問題視されたのがコトの始まりで、タイ人の反応はわからない。

 

日本では、神社やお寺の服装規定はゆるくても、マナー警察のチェックはめちゃ厳しい。
このモデルさんも、タイの文化や常識を尊重していたはずだ。
でも、モデルとしてのプロ意識がそれを上回り、自分の「写真映え」に気を取られてしまった結果、プチ炎上したと思われる。
それと、タイ社会にあふれるマイペンライの解放感も影響したのでは?
伊勢神宮や法隆寺だったら、こんな姿をインスタにアップすることはなかっただろう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。